【山口県山口市】鮨 なかたに : 萩・瀬戸内の豊富な魚種×微甘シャリが調和する独自の進化を遂げた山口前!(148軒目)

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山口県山口市にある「鮨 なかたに」へ。

鮨の話をほとんど聞かない山口県

今回はリスナーさんからの情報で訪問。

 

新幹線で新山口駅まで向かい、今度はバスに揺られること約40分(乗り継ぎの関係で電車よりバスの方が早い為)。

豊栄という所で降り、そこからのどかな道を歩くこと5分ほどで見えてきた「鮨」の文字。

なんでしょう、何故かアウェイの土地でこの字を見ると安心する。

店の看板や表札はなく、真っ白な暖簾がかかっているだけ。一瞬不安になる外観だ。

先代によると「知ってる人だけ来て」ということだそうだ。

5年前に世代交代し現在は銀座「寿司幸本店」で修行された二代目がつけ場に立つ。

 

店内はカウンター席、小上がり、ガラスのネタケースと昔ながらの街場の鮨屋といった感じ。

なんだか時間がゆっくり流れているようです。

コースはおまかせのみで現金のみ。

仕入れは萩と瀬戸内の半々。

魚種が豊富な山口ならではの握りを堪能できる。

以下、いただいた料理。


 

 

おから、菜の花・蛍烏賊

ほろ苦い菜の花、酢味噌和えの蛍烏賊、おからと春を感じさせる前菜。

 

春菊の白和え

上からカラスミを。

 

真河豚・虎河豚

河豚の女王「真河豚」と身皮は河豚の王様「虎河豚」という贅沢な山口らしい一品。

真河豚の皮には毒があって可食部は筋肉と白子のみ。

身皮の甘さは後半からじんわりと。

 

蕗の薹の天ぷら

サクッとして、ホクホクの蕗の薹の香り。

レモンがまた爽やかな清涼感を発揮。

握りの前に揚げ物もいいですね。酒が進みます。

 

中落ちと中トロの赤ワイン漬け

左は60キロクラスのフレッシュな中落、右は二週間寝かした約40キロの中トロの赤ワイン漬け。

中落はサラっとしており、赤ワイン漬けの方は九州醤油の甘めのどっしりとした味付け。

寿司幸時代の親方が赤ワインが好きだったことからここでも提供しているようだ。

 

サヨリの昆布〆焼き

身はサッパリとして昆布による旨味と塩が効いた秀逸な肴。

辛い酒とも相性が良かった。

 

サゴシ、常節(とこぶし)、金太郎

サゴシとは鰆の幼魚。

常節は鮑に似てるけど別物みたいです。

もともとサイズが小さくムチムチでとても柔らかく旨味がある。鮑の香りとはまた異なる。

萩名物の小魚の金太郎(魚の名前ですヨ)は後味ほんのりと海老っぽく甲殻類の様な香りがするのが特徴。市場に出回らないんですって。山口に来なかったら出会うことなかったかも。

 

ねぎま

ここで鮪の吸い物。生姜でサッパリと。

ここから握りに入ります。

 

虎河豚 

一貫目から虎河豚の握りとは笑

煮切りは甘めの醤油と土佐醤油をブレンド

シャリは小ぶりで幾分硬めに炊かれ、米酢、塩、砂糖を使ったほんのりと甘みのあるもの。

シャリ玉だけもらったけど全く嫌味のない甘さで上手くネタを引き立てると思います。

江戸前鮨のシャリとは違う地方ならではのシャリ。

 

赤身の漬け

トロンと小さなシャリを包む赤身。

漬けの煮切りによる甘みとシャリの甘みの調和がまた独特な旨味に昇華してます。

 

トロ

砂ずり。煮切り、シャリの甘みにさらにトロの甘みが加わる。

 

椎茸

焼き椎茸。寿司幸本店からの歴史ある一貫を鮨なかたにのシャリで。

 

連子鯛

皮目付きキダイ自体は柔らかく真鯛とは違い、水分が多い。

そこに木の芽が主張するかなり独特な一貫。


 

 

金太郎

先程の金太郎を握りで。

脂ではない身がもつ蕩ける様な柔らかさ。

小魚ながらも皮目による香り、味にパワフルさがありこの甘味のあるシャリとの調和が美しい。ここでしか食べられない一貫。そして食べるべき一貫。

 

小鰯

大葉入り。鰯の脂とシャリの甘味と見事な一体感。

 

赤貝

宇部。甘酢で味付けし、仄かな香りにツンとした山葵、後半は貝の甘みを。この味の変化が魅力的。

 

車海老

シャクシャクの身肉に旨味とコク。

 

鱚子

酢〆。意外とプリッとした歯応えあり。

 

穴子

 

追加 干瓢巻き

海苔が入ることでまた別の角度からシャリの旨味を堪能できた。一つは朧入り。

 

デザート

チョコプリン、苺、チョコレートケーキ。

最後のデザートにケーキとははじめてです笑

大将は下戸らしく大将が好きな甘々でコースを〆る。コーヒー飲みたくなったヨ!

 

お会計は11,200円。安すぎる…

修行先で技を得、その色を随所に散りばめながら丁寧に仕事を施された豊富な魚種と先代からの伝統的なシャリで握る鮨は江戸前とも異なる独特の進化を遂げたもの。

父親の代からのシャリはあえて変えずに突き進む姿勢は地方鮨の鑑であり、今後も残すべき文化だと思います。全ての鮨屋が東京と同じ赤酢のシャリになったらつまらないしね。

大将の柔らかな接客が居心地良く、終始快適に過ごせました(観光の案内までしてくれて)。

ごちそうさまでした。


 

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