盗作疑惑とか含めて色々と話題になった映画。
制作費は300万円で興行収入は30億円。
めちゃ儲かったんだなと思いきや大部分が映画会社に入ったみたい。
作り手がもっと映画で稼げれば邦画のレベルも上がると思うが。
さてかなり評判がよかった映画だけにハードルは上がり気味で観たんだけどこれが自分としては正直微妙だったのでここに記すとする。
ネガティヴな感想になっているのであくまで一意見として読んでください。
とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。本物を求める監督は中々OKを出さずテイクは42テイクに達する。そんな中、撮影隊に 本物のゾンビが襲いかかる!大喜びで撮影を続ける監督、次々とゾンビ化していく撮影隊の面々。 ”37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイブムービー!”……を撮ったヤツらの話。
以下ネタバレ
三谷幸喜の「ラジオの時間」じゃん
この映画、前半と後半で大きく分けられる。
前半がゾンビドラマ。
後半がそのゾンビドラマのメイキングのドタバタ劇。
メイキングで話を膨らませる手法は確かに新しいとは思う。だけどそのメイキング劇は三谷幸喜の映画デビュー作「ラジオの時間」そのまま。
「ラジオの時間」では生放送のラジオドラマを作るという設定で本番中に突然外国人の設定に変わったり、女優が役を降りたりとかしてそれにアドリブで対応するスタッフたちのドタバタ劇をコメディタッチで描いたものだった。
ラジオドラマとの違いはあれど大枠の生放送でのトラブルに対処するドタバタ劇は全く同じ。
何が言いたいかと言うと別に私はパクリじゃねぇかとボロクソに叩きたいわけではない。
だけど「斬新だ」とかこんなに絶賛される意味がよくわからない。
海外メディアでも「天才的な発想」とまで言われており、ちょっと待てよ?と引っかかる自分がいる。
確かに楽しめたしなるほどねと納得する部分はあった。
だけど「ラジオの時間」があまりによく出来たコメディ映画の傑作であり、個人的にも凄く思い入れがあるが故に手放しにこの作品を絶賛することができない。
途中の血しぶきヒントはいらない
前半の血しぶきがカメラのレンズに付着しスタッフがそれを拭くシーンがあるんたけどそのシーンで「あ、これを撮ってるって設定か」と気づいてしまった。
だってカメラを回してるスタッフにはゾンビは襲ってこないしむしろ気づいてない設定になってるし手ブレも半端ないから「誰かが撮ってる」のは明らかだ。
なんであんなわかりやすいヒントを出すんだろう?
「ゾンビドラマが終わって今度はこのドラマを撮るためのスタッフ側の話になるんだろうな」と思ったらあまりに想像通りだった為拍子抜けしてしまった。
ここからもう一捻りあればよかったけどさすがにこの感じはないかなと思ってたら普通にエンディング。
うーん…
「絶対に騙される」みたいなキャッチコピーがなければもっと純粋に観れたんだろうけど。
宣伝って難しいよね。
改めて作品はフラットな状態で観るのがベストだと思った。
残念な点
ゾンビドラマに出ていたキャラと現実のキャストのキャラとのギャップはなかなか面白かった。
ゾンビドラマでのアイドルは真面目な役なのに実際のメイキング部ではちょっとおちゃらけた役だったり、アイドルの彼氏役も実際はめんどくさいやつってのもいい。
だけどそれは最初だけで後半はいまいちそのキャラを活かさずに普通にエンディングを迎えるのでなんか勿体無い気がした。
後半キャラが立っていたのは監督の奥さんくらいか。この人のキレっぷりはよかった。
まとめ
見返して楽しむことができる作りになっているのでこの作品が好きな人は二回目も観てみると新たな発見があるかもしれない。
繰り返すけどこの作品のことを嫌いというわけではないです。
だからこの作品のことをクソミソにいって評価を下げてやろうとか企んでるわけでもない。
純粋にこの映画を観た感想があまりに世間とズレていた為、一映画ファンとしてのショボい意見を述べさせてもらっただけだ。
この監督の映画愛もちゃんと伝わってくるし基本的には応援したい。
こうなってくると次回作は相当プレッシャーだろうな。
頑張ってください。
ちなみに「ラジオの時間」を観てない人は是非。傑作です。
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