東京・渋谷にある「ビストロ バー ア ヴァン コダマ」。
オープンは2020年10月21日。
渋谷の宮益坂を上がり、左に少し入った静かな通りに位置するビストロ。
渋谷のパリと称されるこちらはサービスの方が一名、料理の仕込みと調理はすべて児玉シェフ一人で行っている。
そしてなによりこのメニュー数に驚かされる。これ全部一人で仕込んでるとは…
児玉シェフはあまり自分について語らない方のようだ。だから経歴などは不明。あくまで料理の味だけで勝負したいということのようです。
ちなみに当店はワインが飲めない方はお断り。料理はワインによって味わいが膨らむように作ってあるからだ。コンセプト通り、ガチ勢が多いのか、女性一人で飲食を楽しんでいる方もいた。
こちらで出てくるのは伝統的なフランス料理、郷土料理。日本的な要素をそぎ落とし、日本風にアレンジされた料理やチャラついた要素は皆無で「真のフランス料理」を楽しめる。
フランス人が来ても楽しめるらしい。ほぉ、そりゃ楽しみ。
・根セロリのババロア 1,300円
前菜から胃袋が掴まれた。塩味が自分の舌にハマっているからだ。多分日本のフレンチに慣れてる人だと少し塩味が強いと感じるかもしれない。
あぁ、「ワイン飲めない方はお断り」の理由が理解できた。味は強いが骨太な味わいで塩味が料理に馴染み、ワインを流してはじめて完成されるようなイメージだ。
セロリの香り、トリュフの香り、生ハムの旨みが加わわり、見た目以上に力強さのある前菜だ。アラカルトの前菜はこうでなきゃ。
児玉シェフはまさにフランス人脳でフランス料理を作る事を心がけてらっしゃっている。
フランス人が児玉シェフの料理を食べても全く違和感がないと言われるのはこういことか。
・レンズ豆のサラダ 1,400円
ガツンとした味付けのなかにレンズ豆の風味と香りもしっかりと。ストレートに素朴なレンズ豆の旨みを堪能できます。
味わいとしては強めだが、ポーチドエッグが全体をまろやかにしてくれる。これは是非来たら毎回頼みたい。
・キッシュロレース 1,500円
バターの幸せな香りがする温かいキッシュ。パイはサクッと食感軽妙で、プルッと柔らかなキッシュとのコントラストがたまらない。なんじゃこのキッシュは…
・クネル(タイホタテ)オマールソース 2,900円
クネルとはフランス版のはんぺん。
白身のすり身を焼いたもので今回は真鯛と帆立を使用。
ふんわりとした柔らかな極上の舌触りと優しい旨味に香り高い濃厚なオマールエビのソースが絡む。
・牛バベットステーキ (エシャロットソース) 3,300円
ちなみに「バベット」とは、日本でいうヒレに近いバラ肉の「カイノミ」のこと。かなりポーションも大きい。
グラタンドフィノア(ジャガイモのグラタン)
ミディアムレアに焼きあげられたステーキは肉肉しく噛み締めると肉汁が浮出てきて赤身のダイレクトな旨みを堪能できる。和牛とは違ってしっかりとした歯応えもあり、噛み締める旨味がある。
添え物のグラタンドフィノアも名脇役というより名コンビだ。
どの料理も芯を突いた直球的な旨さがある。だからサービスの方の細かな説明はほとんどない。
小難しい説明を必要としない料理だからだ。自分の小学生の子供でもこの料理なら美味しく食べそうだ。
6名訪問でワインボトルは3本。お会計は一人約15,000円。意外とこういうお店ってあるようでないよね。
フランス料理を愛するすべての人に勧めたい。ごちそうさまでした。
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