子は親を見て育つ
まさにこの映画にピッタリの言葉だ。
【STORY】
親が始めた金物屋を引き継いだ葛城清は、美しい妻との間に2人の息子も生まれ、念願のマイホームを建てた。
思い描いた理想の家庭を作れたはずだった。しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。
長男・保は、幼い頃から従順でよくできた子供だったが、
対人関係に悩み、会社からのリストラを誰にも言い出せずにいた。
堪え性がなく、アルバイトも長続きしない次男・稔は、ことあるごとに清にそれを責められ、理不尽な思いを募らせている。
清に言動を抑圧され、思考停止のまま過ごしていた妻・伸子は、ある日、清への不満が爆発してしまい、
稔を連れて家出する。そして、迎えた家族の修羅場・・・。葛城家は一気に崩壊へと向っていく。
前作の『その夜の侍』が結構良かったので観てみました。
被害者側の家族視点で描いた前作とは対照的に今回は加害者の家族視点と死刑制度という非常に重いテーマを描いてます。
以下ネタバレ
明日は我が身
三浦友和は偏屈ですぐに怒鳴り散らしもっともらしい理屈と説教で子供たちや妻をがんじがらめにする。
だけど本人にその自覚はない。
これって日常生活でよくある話ですよね。
本人はまったく悪意はなく正しいと思ったことを言ってるが実は相手には鬱陶しいだけでまるで響いていない。
それどころか相手に対して不満が募る…
僕も後輩なんかに注意する時とか結構言葉選んだりします。特に説教とか指摘とかって一歩間違えれば恨まれるケースがあるんですよね。
三浦友和は鬱陶しいし親父を見事に演じ切ってました。よかれと思っての説教。
YouTubeのコメント欄でも日常的によく見かける光景。
一般論や自分の成功体験だけで語る人。
それってその人の性格や現在の状況なんかを考慮に入れながら話さないと相手には響かないことを知らない人。
この三浦友和演じる主人公の親父もまさに頭ごなしに自分の価値観を押し付ける典型的な人。
結果、この映画では息子は殺人まで犯してますけど決して極端な話ではないと思います。
この映画を観ていくうちに「特別な人が殺人を起こしたのではなく、誰にでもその可能性があるという怖さを感じました。」
観ていてとても他人事ではないなと。
これを観ると親は子供の教育方針を一度は見直すことになるでしょうね。
そしてこの映画は実際に起きたいろいろな事件をモデルにしたそうです。
つまりどこの家庭でも起きる可能性がある。
うん、重い。映画でこんなに重い気持ちになるなんて。
夢も希望もないラスト
映画的なことを言うと正直言って田中麗奈の立ち位置がよくわからなかったです。
死刑制度反対なのはわかるけど殺人犯と獄中結婚までする熱の入れようはなんなのか?
別に犯人に惚れてるとかでもないしなぜ周りの信用を失ってまでこの殺人犯にこだわるのか理解に苦しみます。
「結局何もできなかった」わけですし彼女は一体何だったんでしょう?
ちょっと釈然としません。
三浦友和は最後に田中麗奈を襲おうとして惨めにも説教されて庭で首つり自殺を試みます。
だけど枝が折れて失敗。
仕方なく部屋に戻って一人でまた飯の続きを。
おしまい。
なんちゅう救いようない絶望的なラストなんだ。
子供が殺人を犯した原因が自分にあるとは全く気付くことなく最後の最後まで最低な親父。
今後もそれに気付くことは・・・ないでしょうね。
飯を食う。
これは明日もまた生きていくということ。
自分が家族やまわりに与えた影響に気づくことなくずっと生きていく。
こんな残酷なことがあるでしょうか。
家には誰も残されていない。
子供は自殺と死刑、妻は精神病院。
一生懸命建てたマイホームでたった一人で飯を食って終わるラストシーン。
もうホラー映画よりもホラーでした。
【映画・ドラマ】6本目
コメント
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怖くて、見られない・・・