麻布十番は、港区の中でも高級寿司店が集まるエリアの一つだ。
銀座ほど肩肘を張らず、それでいて一流の職人仕事を楽しめる店が多く、会食や接待、記念日利用にも適している。
近年は予約困難店や紹介制の店も増え、寿司好きからの注目度も高まっている。
そこで本記事では、私が実際に訪れた麻布十番周辺の寿司店の中から、会食やデートで使いやすい名店を厳選。
価格帯や空気感も含めて整理した。
※新しい店が増えれば、このリストは随時更新する。
鮓 ふじなが|分子ガストロノミーを取り入れた独創的な鮨体験

麻布十番に構える完全紹介制・会員制の高級鮨店。
2017年に「すし通」出身の藤永大介氏が開業し、熟成鮪や創作料理を組み合わせた独自のコースで国内外の食通から支持を集めている。現在は会員数が8,000人を超え、新規入会は停止中。訪問には会員の同伴が必要となる。
最大の特徴は伝統的な江戸前鮨に加え、分子ガストロノミーの考え方を取り入れた独創的な料理。
50回以上の隠し包丁を入れた熟成鮪、トロたくキャビア、温度管理を徹底した香箱蟹など、一皿ごとに旨味を重ねる構成が印象的だ。
握りだけでなく、キンキの鉄板焼きやラーメンなども登場し、鮨店という枠を超えたコースが続く。
赤酢のシャリと熟成魚の組み合わせも独特で、一般的な江戸前鮨とは異なる方向性を追求。
鮨を食べるというよりも「藤永氏の料理」を体験する店と言った方が近いかもしれない。
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みつい|青空譲りの技に炭火料理を重ねるニューウェーブ鮨

店主の三井祥氏は長野県上田市出身で、ヒルトン東京で和食を学んだ後、銀座「青空」で8年半修業。

その後、西麻布「鮨祥」で漬け場を経験し、満を持して独立。
握りは青空の系譜を感じさせながらも、シャリの方向性はかなり異なる。
長野県産コシヒカリを中心とした高地栽培米を羽釜で炊き、ミツカン白菊、塩、少量の砂糖で仕上げる穏やかな味わい。酸や塩を前面に出すよりも、米の旨味とネタの香りを自然に合わせていく印象だ。
つまみでは炭火料理の存在感も大きい。店内奥の炭台では三井氏の中学時代からの親友・君波真吾氏が担当し、金目鯛や穴子、太刀魚などに香ばしさを重ねる。
女将による日本酒や泡盛を交えたペアリングも含め、正統派江戸前鮨に新しい感覚を加えた一軒。
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麻布十番 秦野よしき|脂と酸が交差する独創的な江戸前鮨

大将の秦野よしき氏は札幌の名店「鮨 一幸」に強い影響を受けており、魚の脂とシャリの酸を組み合わせた独自の表現で知られる。

洗練されたカウンター空間も特徴で、伝統的な江戸前鮨を土台にしながらも独創的なアプローチを随所に取り入れている。
この店を象徴するのは酸味をしっかり効かせたシャリ。キンキや鯵、鮪、穴子といった脂の強い魚に合わせることで、脂の甘みや香りをより立体的に引き出している。
茄子の揚げ浸しや稚鮎の南蛮漬けなど、酢を活用したつまみも多く、コース全体を通して一貫した世界観が感じられる。
特にブランド鯵「どんちっち」や炭火で火入れしたキンキは高い評価を集める人気の一品。
ひょうきんさと緊張感を併せ持つ秦野氏の接客も含め、他の鮨店にはない個性を楽しめる一軒として知られている。
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鮨 薪介|港区らしい遊び心が光る個性派江戸前鮨

店主は銀座「鮨竜介」や「おのでら」で経験を積み独立した職人で、熟成を取り入れたネタ使いと独創的な発想で知られる。
カウンター8席のみの小規模な店ながら、港区らしいラグジュアリーな空間づくりも特徴だ。
この店を語るうえで欠かせないのが名物の「ノドれんそう」。脂の強いノドグロとほうれん草を合わせた手巻きで、海苔の香りと魚の脂、野菜の風味が一体となるユニークな一品である。
ボウズギンポなど一般的な鮨店ではあまり見かけない食材も積極的に取り入れ、料理人らしい自由な発想が随所に見られる。
握りは白烏賊や小肌、中トロ、大トロなど王道を押さえながらも、穴子は煮ではなく干し焼きで仕上げるなど独自の仕事が光る。伝統的な江戸前鮨を土台にしながらも、随所に個性を盛り込んだ一軒であり、麻布十番の鮨店の中でも独自の存在感を放っている。
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東麻布 さいこう|パンチパーマ大将が魅せる令和の予約困難鮨

店主の齋藤淳氏は銀座の人気店「はっこく」で二番手を務めた実力派で、独立後は東麻布で自身の店を開いた。

カウンターに立つパンチパーマ姿と親しみやすい接客で知られるが、その根底には確かな技術がある。
握りの軸となるのは赤酢と米酢を合わせた存在感のあるシャリ。はっこく譲りの力強さを残しながらも酸味をやや穏やかに調整し、白身や貝類から鮪まで幅広いネタに合わせている。特に中トロや大トロ、金目鯛、小肌といった握りは、シャリの酸と魚の脂が綺麗に重なり合う。
また、つまみの完成度も高い。筍や煮鮑、ノドグロ雑炊、白魚の天ぷらなど季節感を取り入れながら、鮨へ自然につなげていく流れが見事。
スタッフ陣との軽快な掛け合いも含め、肩肘張らずに楽しめる空気感が魅力である。伝統的な江戸前鮨の技術と現代的なサービス精神を両立した、令和らしい人気鮨店の一つ。
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鮨 こん藤|京料理と江戸前鮨が交差する新世代の実力店

店主の近藤元貴氏は京都の名料亭「木乃婦」で約5年修業した後、六本木の人気店「鮨 由う」で江戸前鮨を学んだ経歴を持つ。

京料理で培った出汁や季節表現と、江戸前鮨の技術を融合させた独自のコースが特徴である。
コース前半では、ホワイトアスパラガスのすり流しや甘鯛の松笠焼き、金目鯛のしゃぶしゃぶなど、料亭仕込みの料理が続く。素材の持ち味を引き出しながらも派手になり過ぎず、握りへ自然につなげていく流れが印象的だ。
握りは福島県産「里山のつぶ」を使った赤酢主体のシャリを採用。春子鯛や本ミル貝、アオリイカ、小肌、鮪など王道のネタを中心に構成され、シャリはコクを持ちながらも主張し過ぎない。料理人出身らしいバランス感覚が随所に現れている。
さらにデザートまで含めてコース全体を一つの料理として組み立てているのも特徴。京料理の繊細さと江戸前鮨の力強さを併せ持つ一軒として、東麻布でも注目度を高めている。
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麻布 鮨功|産地に頼らず味で語る実力派の一軒

2022年10月に「鮨 無銘」として開業し、現在は「麻布 鮨功」として営業している。店主の日吉黎氏は20代で独立した若手職人ながら、魚と真摯に向き合う姿勢で鮨好きから注目を集める存在だ。
産地や希少性を前面に押し出すのではなく、素材そのものの状態や仕事によって魅力を引き出すことを重視している。つまみも必要以上に手を加えず、生鮑や赤甘鯛、金目鯛など素材の持ち味を活かした構成が中心である。
握りは赤酢と米酢を合わせた柔らかなシャリを使用。
黒糖プリンで締めるコースも印象的で、若き店主ならではの感性も感じられる。
流行や話題性よりも鮨そのものに向き合う姿勢が魅力の一軒。これからさらに個性を磨いていく可能性を感じさせる、麻布十番の注目店である。
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