世界の美食家たちはこのレストランに行くために南米ペルーを訪れるとも言われている「Central」。
ペルー先住民の食材に現代の調理技術を適応させたペルービアン・キュイジーヌを展開するレストランであり世界の美食家たちから熱い視線が注がれるレストランである。
そんな「Central」がプロディースし、2022年7月1日に東京ガーデンテラス紀尾井町内にオープンしたのが「MAZ」。
「 Central」のシェフ兼ディレクターであるVirgilio Martinez(ヴィルヒリオ・マルティネス)とSantiago Fernandez(サンティアゴ・フェルナンデス)により自身の世界観とペルーの生物多様性を「MAZ」で表現する。
日本で馴染みのないペルー料理というものをファインダイニングで表現する。ペルーの異なる高度が織りなす9つの風景と生態系を表現したコース。
日本の食材がコースの8割くらいを占めており、残りの2割は南米から取り寄せている。お馴染みの食材でも表現の仕方一つで全く異国感が出るから不思議だ。
なによりこのレストランが凄いのは秀逸なコンセプトとメニュー作り。
右側の数値は、“MBSL=水深、MASL=海抜を表し、9皿の料理はそれぞれの風景と生態系を表現する。まるで南米ペルーを旅しているようだ。ここまでコンセプト、メニュー表にこだわっているレストランってどれだけあるんだろうか?
VERTICAL EXPERIENCE 24,200円
今回はコースにアルコールペアリングをつけた。他にもノンアルペアリングなんかも用意されている。
まず最初にレストランの入口でペルーの食材の説明を簡単に受ける。
原種が数多くあるペルーはとにかく食材の種類が豊富。中には全く食材に見えないものも…え、食用の粘土?
以下、いただいた料理。
冷たい海 エビ・イカ・キュウリ -5 MBSL
各料理ごとに風景を表すテクスチャーを一枚づつ用意してくれる。すごいなぁ、この世界観。まずこちらは「冷たい海」。
中は牡丹海老と頭からとったソース。ハイビスカスで色を付けた胡瓜のピクルスを紐状にしたもの。
綺麗だなぁ。珊瑚礁的な?なんとなく海の中を表現しているのがわかる。見た目は奇抜だけど海老のソースは日本人にも馴染み深い味です。
スミイカのクリスプ
墨烏賊で作ったサクサクのクリスプ。上は塩漬けにした烏賊をペースト状にしたもの。
スビルリナ(海藻)、烏賊の内臓、白海老
烏賊の内臓から作った温かい球体。その上に白海老を添えて。
海岸砂漠 タラバガニ・カボチャ・ウニ 85 MASL
お次は海から海岸砂漠へ。
アメリカの南瓜「バターナッツスクワッシュ」のくりぬいて器に。中にはタラバガニ、海老の頭で作ったソース、スクワッシュのクリーム、海藻のパウダー。これも甲殻類のクリームソースを想像してもらえればわかりやすいと思う。
南瓜の生地の上に雲丹、キャラメルソース。
海岸線 ホタテ・サツマイモ・グラバラリーフ 0 MASL
続いて海が目の前に広がる畑へ。
下には柑橘系ソースと和えた帆立、マコモダケ、金時草、オレンジと紫の2種のサツマイモをクリスピーにしてネットの様にかぶせている。その上にはグラパラリーフという多肉植物を。
柑橘帆立がサッパリとしたサラダです。
海霧 タコ・海ブドウ・スピルリナ -15 MBSL
蛸が岩に隠れてるようなイメージの料理。
スピルリナという藻の一種で青色に着色した蛸出汁のソース。下はグリルした蛸に海藻のクリームソース、蛸墨とメレンゲを混ぜたもの。
青いソースは見た目こそ奇抜だが海藻の味で料理自体は物凄く、蛸です笑
なのでどちらかと言えば日本人に馴染み深い味です。
極端な高地 トウモロコシ・熟成牛肉・ワカタイ 4200 MASL
標高は一気に上がった。ここでは牛とトウモロコシの料理を。
熟成してスモークさせた山形牛、白いトウモロコシのピューレ、紫とうもろこしのクリスプ、卵黄の棒状のフレーク。
別皿で黒いマカを練り込んだパンにとうもろこしのパウダーをかけたもの。
淡水 淡水魚・柿・チアシード 225 MASL
秋田県のイワナの料理。イワナをヤシの新芽の野菜「パームハート」と和え、柿のスライス、とんぶり、仕上げに、赤いチアシードがけ
シャキシャキの食感のパームハートという野菜と柿の食感がいい
アンデスの森 チャコ・牛頬肉・キウィチャ 3260 MASL
ワティアというアンデスの伝統的なじゃが芋の調理法で、チャコという食べれる粘土と塩を混ぜて作った塩釜じゃが芋料理。
アンデスのハーブや唐辛子を混ぜたソース。酸味も感じます。独特。
牛頬肉をペルーの唐辛子で
牛頬肉 ペルーの唐辛子のソースに24時間煮込んだもの
キノコ、紫芋のピューレ、牛の出汁ソース、キウィチャというアンデスの穀物
乾燥させた牛のハツを削ったもの、
高地の森 カブヤ・グアバ・ココナッツ 1890 MASL
カブヤというサボテンの蜜とハーブを合わせたソルベ。
仕上げにバワハナッツのシリアルやココナッツなど。
国産の銀杏、グアバというフルーツ、ココナッツの泡、
アマゾニア チュンチョカカオ・マカンボ・コポアス 750 MASL
旅の締めくくりはアマゾニア。
上)コポアスの果肉のシャーベット、マカンボの種のクレームブリュレ、そして紐状にしたマカンボ。
下)カカオの種の粘液のゼリー、チュンチュカカオのスポンジケーキ、カカオニブのペースト。
最後はカカオなどを使ったデザート。どれもリキュールに合います。
テクスチャーカードはお土産として持ち帰ることができる。以上がペルーの壮大な旅でした。
ワールドペアリング
写真や絵画ではなく料理でペルーのいまを表現する唯一無二のレストラン。
お会計は約45,000円。この金額でペルーへ旅したと思えばめちゃ安いくらいですな。東京から最速で行く南米ペルーの旅でした。ごちそうさまでした。
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