「静岡で肉割烹?」
確かに静岡は海鮮の印象が強く、肉のイメージがない。と思ったらいまや静岡を代表する和牛ブランド「峯野牛」があるではないか。
峯野牛とは浜松市の峯野牧場で育てられ、「脂」よりも「赤身の旨味」を追求した牛。
そんな峯野牛を扱う肉割烹店が静岡市にある「肉割烹 巳峯」である。読み方は「しほう」。
静岡市は初の肉割烹をうたうお店。
オープンは2019年2月。
最寄りは新静岡駅で歩くと10分ちょっと。
お店はビルの2階に位置する。
店内はカウンター6席に個室あり。なんでも一回転制とのこと。
大将は現在27歳。
日本料理を経験した後、もともと肉を使った懐石料理をやりたかったそうで独立のタイミングで店を出す。
オープンして2年でオーナーから店を譲り受けいまは完全独立という形となる。
凄く勉強熱心で気になる店があれば都内にも食べに行く。
「牛肉の炭火焼きはまだ勉強中です」と素直な一面も好感度が高い。
本日は3種類の中で一番高い12,000円(税別)のコースを。
以下、いただいた料理。
お椀
出汁は利尻の昆布、鰹の本枯節、鮪節から。
ふんわりとしたズワイ蟹のしんじょの甘みに仄かな銀杏の苦味が季節を知らせ優しく身体に染み渡る。
牛肉のタルタル
牛肉のタルタル、マイクロキュウリのピクルス、さりげなく右端にフェンネルの花を。
スパイスのクミンやピクルスでどこかハンバーガー感を思わせる。思わずビールが欲しくなる一品。
ブルーチーズの春巻き
根セロリのピューレ、和牛の生ハム、白トリュフオイル、イタリアンパセリのマイクロハーブ。
生ハムの塩味にブルーチーズので今度はワインが欲しくなる…
この枠に囚われないジャンルレスな見せ方にやられてます。
ミノ・海老芋
磐田の海老芋は出汁で炊いてから軽く衣をつけて揚げてある。
ミノは昆布〆にして幽庵地に漬け、炙って七味と和えたもの。出汁に漬けた三つ葉の茎と共に。
サッパリしたミノなので海老芋の存在感を際立たせる。
焼肉以外でミノを食べるのは初めてかも。
ミスジは甘さと余韻を残し溶けてなくなった。おろしのおかげで脂もクドさはない。
三角バラ
峯野牛の三角バラ。上に栗のペースト、隼人瓜の花とツル、ペコロス(子玉ねぎ)、マイクロハーブ。味付けは甘口醤油。
おがわの雲丹
北方領土。
トモサンカクの牛サシ寿司
こちらは定番具材のやつ。牛肉も柔らかく食感の調和もいいです。
焼き芋のジェラート
シルクスイートという品種。濃厚なミルクと焼き芋の風味で口直し。
タン元
黒毛和牛の牛タンのタン元を西京焼きに。
これだけ分厚いタン芯だと食感が爽快。ひと噛みすれば脂がジャワりと。
甘めの西京味噌もよく馴染んでます。
峯野牛のイチボ
椎茸は「とんじゃか丸」という品種。
脂はサラリと嫌味なく、噛めば噛むほど牛肉の濃さと甘い香りを感じられる。脂で溶けるとかそういったものでなくこれは一層咀嚼の楽しみを堪能させてくれる牛だ。
ニンニクやゆり根と共に。
峯野牛シャトーブリアンのすき焼き
ご飯は長野県産の「極献上米」。
信楽雲井窯でふっくらと炊きあげた。
むっちりとした赤身肉、香り高いご飯。
もう言うことなし。
松茸ラーメン
出汁は峯野牛、孔子、昆布など。
香りは秋。すすると松茸の香りが直に。
満腹でもラーメンなら食える。
山崎入りアイス
茶菓子
中に長野の巨峰と磯自慢の大吟醸の酒粕で作ったカスタード入り。
お会計は約18,000円。
個人的に脂が得意ではない自分からすると峯野牛との相性がいいようだ。なにより重さや食べ疲れがない。
これらの料理を全て一人で仕込んでるとは驚きだ。
肉料理の可能性を感じる枠にとらわれないジャンルレスな料理の数々。
静岡を牽引する肉割烹店なのは間違いない。
ごちそうさまでした!
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