東京・麻布十番にある鮨屋「みつい」。
東京・麻布十番に2025年5月オープンした話題の鮨店「鮨みつい」。
銀座「青空(はるたか)」で8年半もの修業を積んだ店主・三井 祥(みつい しょう)氏が独立し、開業からわずか数ヶ月で予約困難店となっている。
大将・三井祥さんの経歴
親方:三井 祥さん
1988年、長野県上田市生まれ。
幼い頃からモノづくりが好きで、日本の伝統文化への憧れから自然と料理人を志すようになる。
高校卒業後、武蔵野調理師専門学校に入学。
卒業後は新宿「ヒルトン東京」で和食を学び、ふぐ調理師免許も取得するなど地道に技術を磨く。
その後、銀座「青空」で高橋青空氏の鮨に惚れ込み弟子入り。以来、8年半にわたり江戸前鮨の技法を徹底的に学び、2021年7月に「豪龍久保」の姉妹店である西麻布「鮨祥」では漬け場を経験。
そして2025年5月、満を持して麻布十番に「みつい」をオープンさせる。
酒ペアリングにも注目
女将を務めるのは、沖縄県出身の美紀さん。
沖縄の甕出し古酒や泡盛をアクセントに、日本酒を主軸としたペアリングを提供している。
そして大将・三井氏自身も、日本ソムリエ協会認定の「酒ディプロマ」の資格を保有。
鮨を引き立てる酒の提案はまさに職人技。
これはぜひペアリングで注文したいところだ。
炭火料理を担う親友の存在
さらに店内奥の炭台では、君波真吾さんが炭火料理を担当。
実は三井氏の中学校時代からの親友で、イタリアン「トラットリアシチリアーナ ドンチッチョ」で研鑽を積んだ経験を持つ。
イタリアン×江戸前鮨×炭火のクロスオーバーは、つまみからして期待しかない。
実食レビュー 2025年6月訪問
おまかせコースは27,500円(サービス料5%別)。
・アズキハタの湯引き
叩いたオクラと梅で夏らしく。ハタとオクラのネバネバ食感。
・穴子のうざく風
炭火で炙った穴子とサッパリなキュウリ。
・金目鯛
こちらも焼き台で炙った銚子の金目鯛。
皮目の香ばしさ抜群。脂がたっぷり乗っておりトロトロ大根おろしに叩いた葱もサッパリして辛味がよく合います。
・生アワビ
つるりとして、クッとした強い歯ごたえ。噛んでるじんわりと甘くなっていきます。
・トラフグ
気仙沼のトラフグと鮟肝。
この夏の時期のフグは白子がない分、身に旨味がいく。だから旨味が濃いです。濃厚な鮟肝と合わせると旨味は倍増。
・味噌漬けのカラスミ
信州味噌を使ったカラスミ。そう、親方が長野県出身だったね。
・太刀魚
実山椒のソースがけ。そして長谷川さんがとってきた山菜のユキザサ。
噛んでいくと甘くなっていくアスパラのようなニュアンス。
この焼いた太刀魚と実山椒との組合せが実にユニークでいい。
本日は北海道噴火湾のマグロ。夏の始まりを感じさせます。
さて、ここから握り。
・アオリイカ
細かい包丁が入っており見た目が美しい。甘さもしっかり引き出されております。
シャリには、三井さんの出身地である長野県産コシヒカリをはじめとした高地栽培米を使用。
羽釜で炊き上げることで、ネタと一体化しつつも口の中でほどけるような食感を追求している。
シャリはミツカン白菊、塩、そして少しの砂糖。
砂糖は角をなくす意味合いで、酸も塩味も穏やかで米の旨味が際立ちます。
塩や酸味ガツンとした青空親方のシャリとは全然印象が異なります。
・鯵
素晴らしい身質です。ドゥルンドゥルンのこの身質がまさにいい鯵の証拠。
・赤身
ちゃんと香りがあってまろやかさがあります。もとろん夏のマグロなので脂は控えめ。
・赤身
これが大変素晴らしい赤身で、酸味と香りと味の濃さは夏のマグロの醍醐味だ。
・大トロ
夏のマグロのなかでも脂ものっており、かなりポテンシャルが高い。
・ニタリクジラ
・小肌
佐賀。若干の海苔っぽいニュアンスがある。
・しらすおろし
マダケというタケノコを使ったシラスおろし。これがユニークでセンス溢れる肴ですね。
・ニタリクジラ
シャリとよく合います。聞くとマグロとクジラをベースにシャリは構成されているようです。
・車海老
柔らかく、味も深まっている。
海老専用の筒を作り、最初に頭だけ茹でてそのあと身は15秒ほどサッと火入れ。
頭と身を別々に火入れする。
・赤貝のヒモ
・赤貝
閖上らしい香りが鮮烈。
・雲丹
海苔の香り高さに雲丹が霞むくらい。
・穴子
・金目鯛のお出汁
・玉子焼き
・クルミとマカデミアンナッツのアイスクリーム。
お会計約38,000円。
青空と言えばもちろん「すきやばし次郎」の系譜だが、正統派江戸前鮨からさらに一歩も二歩も幅を広げた三井親方の新たな鮨の世界を堪能させてもらった。
確かな技術がありながらまさにニューウェーブでこれからを牽引する職人の一人なのは間違いない。ごちそうさまでした。
店舗情報
住所:東京都港区麻布十番2-3-12
アクセス:東京メトロ南北線「麻布十番駅」徒歩3分
営業時間:17:00~22:30(最終入店20:00)
定休日:日曜・祝日
席数:カウンター9席+個室カウンター4席
予算:27,500円(サービス料5%別)
予約:完全予約制