【長野県長野市】すし崇「海なき信州にて、鮨屋をやる意義。」

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寿司(鮨)

長野県の善光寺近くにある「すし崇」。いまや長野を代表するお店になった。

大将の久保さんは2022年「シャリサミット」のシャリ切り講師として出席。「切らないシャリ切り」で他の鮨職人達を驚かせていた。

久保大将とはよく飯に行ってるのに店にはなかなかお邪魔できてない事に気づき、今回はその切らないシャリ切りで仕上げた握りをいただきに約2年半ぶりに再訪した次第であります。

場所は長野駅から歩くと約20分ほど。

雪もふった形跡があり、夜になると外観は一層雰囲気が出てくる。そしてめちゃ寒いな長野。

海なし県。

物流も発達し、いまやそれが足枷にならない時代。海なし県に県外からでもこの鮨屋の為に客がやってくる時代。

随所に信州の色を出すつまみと握り。個性であり、信州人としてのアイデンティティを料理に盛り込みまさにここでしか食べられない料理のオンパレード。味噌だまりやアマゾンカカオまでも使う久保さんは間違いなく唯一無二の鮨職人である。

以下、いただいた料理。




神経〆のプロ・長谷川さんの神経〆した蛸。血抜きしてるため、ピュアな味わい。逆に言うと蛸感があまりなくなるのかな。

せいこ蟹

内子、外子、身を贅沢に。

トラフグの白子のポン酢餡がけ

濃厚なトラフグの白子の丸みと天龍村でとれた柚子の果汁で作った自家製のポン酢餡の柔らかな酸味とのバランスが秀逸です。

クエのしゃぶしゃぶ

あんず干しと日本酒で作った煎り酒。こちらも酸味とクエの脂による甘みとの調和がいい。

少しの火入れで身の弾力とパワーを残す。

メジマグロ

味噌だまりで作った自家製の海苔の佃煮。

ご飯が欲しくなります。

あぶらぼうず

信州味噌と日本酒「大信州」の酒粕を漬け込み焼いたあぶらぼうず。品ある甘味と味噌の香り、あぶらぼうずのふくよかな脂が美しく調和する。

黄金蟹の茶碗蒸し

カラスミ、数の子

カラスミは一年ほど塩漬けに。甘い味噌と甘酒に漬けこんでいてしょっぱいかと思ったら意外とまろやかだ。

もう一つは幻の数の子「にぎりこ」。とれたてのニシンをその場で捌いて塩漬けした全体の1%しかいない希少なもの。鮮烈な食感と独特な苦み。




ガリ

味醂や少しの柑橘を使用したガリは蜜の様な味わいにキレがある。

墨烏賊

2022年のシャリサミットでも我々を驚かせた「切らないシャリ切り」。

ガーデニング用のスプレーで赤酢をお米に噴霧するという画期的なやり方。シャリを切らないので米を傷つけない。米の粘りが出ないため、口の中でパラパラにほぐれていくが鮨ダネと一体感のある握りが出来上がった。

まつかわがれい

しっかりとした弾力、噛んでいくとどんどん甘くなっていく。

白甘鯛

メカジキ

塗っているのは味噌だまり。決して嫌味にならない味噌だまりの香りがメカジキにのる。

蛤のつゆを1000個分ためて作った煮ツメ。燻した様なコーヒー的なビターな味わいと深みがある。

中トロ

きめ細やかで味は濃く、脂の甘みもある。理想的な一貫。

大トロ

筋は噛めば噛むほど味が出る。だから後半から味がどんどん深まる。

小肌

赤身

一番味の濃い赤身部分。これより下にいくと血合いぎし。脂に邪魔されない鉄分感じる鮪本来の味わいを堪能した。

ウニ胡瓜

海苔ではなく軍艦仕立ての胡瓜。濃厚な雲丹に合わさる瓜の香りと食感が新鮮です。

車海老

黄身朧が海老の旨味と甘みを引き立てる。

味噌汁

信州味噌を使った海老入りの味噌汁。

穴子

ホワッホワ。ツメには烏賊のゲソを入れている。

芝海老ではなく帆立のすり身とアマゾンカカオを使用。カカオの酸味が絶妙で甘々にならない塩梅が素晴らしい。

デザート

本日のお酒

お会計は26600円。

つまみ、握り共に久保さんの地元である信州の色を使い仕上げる。間違いなくここにしかない信州前の鮨である。

久保さんと色んな信州のお店に行って食事をさせてもらったこの二年半。「信州人として信州から逃げるわけにはいかない」と言う太田哲雄シェフの言葉の通り、何らかの覚悟をもってこれからも久保大将は信州前を世に出し我々を魅了させてくれる。ごちそうさまでした。

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