名古屋丸の内の静かな路地に佇む「寿し道 桜田」。
いまや予約困難店だがありがたいことにお誘いいただいたので名古屋まで。
オープンは2019年3月1日なので今年で4年目。
店名は太田大将のご両親の姓である「桜井」「太田」をそれぞれ一文字ずつとって「桜田」。
桜は日本を象徴する花であり、「桜の様に愛知を代表する鮨屋」を自らの寿し道で突き進んで行くという思いも込められている。
店内は8席のカウンターのみ。
12時、18時の一斉スタート。
おまかせコースは25,000円~。
大将:太田雄斗さん
東京の「銀座 久兵衛」、「鮨とかみ」で研鑽を積み、なんと29歳で独立。今年で33歳ですって。すげぇなぁ。
地物、東京時代の卸から食材を取り寄せ、修業先で学んだ江戸前鮨の技術と地元の食材を組み合わせた名古屋前を打ち出す。
地物の食材のほとんどは各魚で〆方を変えるという知多の風間水産から取り寄せており、そのレベルの高さに驚いた。
鮨という枠を大きく外れることなく、名古屋の色をふんだんに盛り込んだつまみ、大将なりの工夫がみえる握りはここでしか食べられない料理である。
以下、いただいた料理。
切りたてのシャリと海苔
愛知、岐阜、三重から取り揃え独自の配合でブレンドした赤酢と米酢。
粒が大きく、甘みがある地元愛知県豊橋産のお米「女神のほほえみ」を、岐阜県大垣市の湧き水で炊き上げたシャリ。
特注の熊本産の分厚い海苔に乗せ、大垣産のわさびを添えて提供する手巻きからコースはスタート。
通常の2倍はあると言われる海苔は非常に香り豊かだ。
赤かぶとホウボウの葛打ち
愛知県の知多半島で活躍されている風間水産による神経〆のホウボウとスナップエンドウの葛打ち。
ホシガレイと鰆
神経〆して2日目のホシガレイはムチっとした適度な歯応えに濃縮された旨味がはっきりと味わえる。
鰆は船上〆5日目で皮目に旨味を閉じ込めた焼霜造り。
穴子の白焼き
鰻かと思ったら地物の800gアップの巨大穴子でした。
穴子に合わせ、どこか土っぽいニュアンスがある新牛蒡とセリをオニオンヌーボー(世界で一番早く収穫される玉葱)で仕上げたニンニクっぽい味わいのある玉葱醤油でいただく。
のれそれ
穴子の稚魚であるのれそれを赤い紅芯大根の大根おろし、雪うるい、さらに「じゃばら」という柑橘のジュレで仕上げた一品。
紅芯大根の赤色をまとったのれそれも春っぽく、ツルッと柑橘と爽やかにした食べさせ方にセンスを感じます。
鮟肝最中
北海道の鮟肝に金柑ペーストを入れたもの。
濃厚な鮟肝に柑橘の金柑を合わせる発想素晴らしく、自然な甘みと苦味が絶妙に鮟肝に寄り添う。
クロムツと筍のお椀
クロムツ、筍、信長葱。
ここから握りへ。
真鯛
風間水産。10日目ってだいぶ寝かしてますがダルダルではない。身はしっかりとパワーがあり〆方によって香りと旨味が内包されている。素晴らしい理想的な真鯛の味わいがある。
シャリのサイズはやや小ぶりだ。そう言えばこれまで名古屋の鮨屋には何軒か訪れたがどこもやや小ぶりな店ばかりだった。男鮨ってのはあるのかな?
アオリイカ
風間水産。細かく包丁を入れ甘みを引き出し、シャリの酸味との調和をはかる。
平貝
三河湾。こちらも細かく包丁を入れ、シャリ馴染みをよくしたもの。口の中でホロホロっと平貝が崩れていきます。
鯖のバッテラ
淡路の鯖のバッテラ。
酢飯の上に酢〆の鯖、甘酢で煮た白板昆布を重ねた寿司。鯖は脂のっててふわふわです。
車海老
周りは強火でサッと茹で、中心は64℃で甘みと味わいを引き出す。味の濃い尻尾も切って中に忍ばせる工夫も。
温度の関係上、一つづつ殻むきして握るという手間はあるがその手間こそがこの味を生む。
赤身
卸はやま幸。こちらは静岡下田の背の赤身。
天身部分でしっとりと舌触りよく、なにより鮪としての味は濃い。美味いなぁ。
中トロ
魚体は変わり、京都舞鶴の定置網。
血合いぎし部分で脂はあるが決して嫌味にあらず。どちらかと言えば春を思わせる品ある酸味が印象的。
大トロ
同じ魚体の蛇腹のトロ。
海老せんべい
先程の車海老の頭をプレスしたもの。愛知の県魚は車海老です。
小肌
天草。塩水で浸透させたおかげでジューシーさが担保されてる。小肌としての味も馴染んでます。
バフン雲丹
根室。澤井スペシャル。
穴子
塩とタレの2種類で。脂ののりも良くホワホワで見事な穴子だ。仕入れのレベルが一貫していい。
葱トロタク巻き
味が濃いトロの脂による甘みに、海苔の力強い味わいに葱の香りが渾然一体となる。
味噌汁
八丁味噌は5年寝かせたもの。
玉子焼き2種
八丁味噌を使った厚焼き玉子に、低温調理で5時間かけ焼き上げた愛知らしいういろう風の2種類。これも名古屋を表現してます。
本日のお酒
ビール、日本酒でお会計は約31,000円。
シャリは小ぶりだがトータルの満足感は高いのは様々な趣向を凝らし、愛知と大将のセンスで仕上げたおかげ。
ソムリエさんもいて本当は酒を飲んだ方が楽しめるんでしょうがあいにくこの日は二日酔い。万全な体調の時にまた再訪したい。ごちそうさまでした。
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