東京・水天宮前にある鮨屋「箱崎町すみと」。
水天宮前駅より徒歩5分ほど。
黒川清人親方はあの横浜の名店「なか條」から独立した方。
親方: 黒川 清人さん
「すみと」とはなんだろう?と思ったらシンプルに親方の名前でした笑。いいお名前です。住所は日本橋箱崎町だから「箱崎町すみと」。鮨屋なのかなんなのかわからない店名です。
「築地 寿司岩」、銀座「鮨 新太郎」、横浜「なか條」での修業を経て、2023年9月に同店を開業。
一斉スタートではなく、時間はバラバラ。
おまかせコース27,500円〜鮨のみコース19,800円〜があるが、実は予算によって自由に設計できる臨機応変さがある。
ネタは「なか條」出身ということもあってとにかくハイクオリティ。だがネタがいいだけでなく、ネタへの仕事とほぼ米酢のシャリとの調和もまた素晴らしい。
以下、いただいた料理。
・アラ
・水蝦蛄
普通の蝦蛄よりも食感はふわっと軽く柔らかい。
甘味も味も香りも濃厚だ。
・数の子味噌漬け
脳に微振動する歯応えが心地よい。
軽く炙り味が浮き出る、苦味も美味。
・モモカニの東寺蒸し
湯葉と蒸して、蟹の甲羅で出汁をとった餡をかけた「東寺蒸し」。
まさかここでモモカニに出会えるとは。1kgにならないズワイ蟹の雄で西で獲れる希少な蟹です。
脚は細いので淡い身の甘味を楽しむというよりは濃厚な味噌を楽しむ蟹である。日本版の上海蟹とでも言おうか。兵庫県柴山港産。
・白甘鯛の湯切り
軽くしゃぶしゃぶにしたシラカワはグッと旨みがふかまった。
・白甘鯛
八幡浜の白甘鯛。
シャリは酸が一本立ったもので白菊メインで香り付け程度に赤酢の千夜。
・墨烏賊
綺麗な歯切れ。
墨烏賊はこれだよ。この食感こそが墨烏賊の命だ。
だから墨烏賊に包丁を入れまくるのは好みではない。噛んでいくと次第に甘味と味が湧き出てくる。
酸味のあるシャリと惹かれあい、渾然一体となり、余韻だけを残していく。
烏賊は個人的には甘味あるアオリイカよりもスカッとした食感の墨烏賊派だ。
・カワハギ
中に肝と葱を忍ばせてコクと香り付け。
・青柳
青柳はなんて独特な香りなんだろう。甘味の後に青柳特有の香りがあるため貝が苦手な人はとことん苦手な貝だろう。ちなみに青柳の貝柱は別で売られてた小柱と言う。
・鰤
余市の鰤は脂控えめであっさりと。
・赤身
岩手県山田の定置。
厚めに切ってるのにしなやかな食感を感じられ、艶やかな鮪本来の深い香りを感じられる。
定置は特に厚く切るのが定番と中條さんも言ってたな。
これが大変素晴らしい鮪でこのあとの中トロ、大トロと同じ魚体なのに表情を変えてくる。
・中トロ
脂の円やかさと赤身の香りが混じり合う。
・大トロ
筋は口内で蕩け、官能的な余韻が残る。酸味の効いたシャリと渾然一体となり丸く馴染む。
この3貫、このシーズン出会った鮪のなかでもピカイチだ。
・小肌
ナカヅミに近いサイズ。
やっぱりこのくらいのサイズになると味がしっかりしている。〆加減はそこまで強すぎず、ふっくらとした食感を残して。
・イクラ
卵を感じさせる丸い丸い濃厚な旨みにシャリの酸味。そして海苔の香りが全てを包みこむ。軍艦たる意味をしっかりと感じさせる。
・バフンウニ
昆布森。
・玉
玉は出汁巻と芝海老のすり身の2種類から選択。
選んだこの芝海老の方は大和芋不使用。メレンゲのようなふわっと軽い淡い口当たり。ギリギリの火入れとはこのこと。
ビール、麦焼酎2杯でお会計約28,000円。
あらためて鮨って美味いなぁと思わせてくれるお店でした。ごちそうさまでした。
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