石川・金沢の焼き鳥屋「蛤坂 まえかわ」。
いわゆる金沢の予約困難な焼鳥屋。
こちらの前川大将は東京・目黒の名店「鳥しき」の出身です。
アクセス
電車でのアクセス
北陸鉄道石川線 野町駅 徒歩11分(約872 m)
北陸鉄道石川線 西泉駅 徒歩25分(約2.0 km)
北陸鉄道浅野川線 北鉄金沢駅 徒歩35分(約2.6 km)
バスでのアクセス
北鉄バス 「広小路(金沢市)」停 徒歩2分(約148 m)
北鉄バス 「野町広小路」停 徒歩3分(約195 m)
北鉄バス 「片町(石川県)」停 徒歩4分(約249 m)
タクシー/その他
金沢駅からタクシーで約10分(約1,500 円前後) ※道路状況により異なります。
色々考えるとタクシーが一番無難そうですね。
「蛤坂まえかわ」はどんな店?
犀川大橋たもと・蛤坂沿いの築100年の町家をリノベーションした、趣ある完全予約制の焼き鳥店。
この外観は地方ならではですね。
鳥しき出身ではあるが、ストップ制ではなく、おまかせコース(13,500円税込+サービス料10%)である。
スタートもバラバラではなく、2回転でキッチリコースを堪能させてくれます。
店内は靴をあがるスタイルで、時間になるまで待合室で待たせてもらいます。この時、撮影に関してなど注意事項を受ける。
席はL字カウンター8席のみ。
お弟子さんたちの掛け声や動きもピシッとしている。
金沢にいながらどこか「鳥しき」の凛とした空気感を感じる。
使う鶏は高坂鶏、伊達鶏をはじめ、北陸各地の銘柄鶏を部位ごとに最適な火入れで提供。鳥しき出身者はみんな伊達鶏オンリーかと思ってたのでちょっと意外でした。
さらに石川の旬の食材をふんだんに使い、コースからこの地と季節を知らせてくれる。
大将: 前川良輝さん
もともとサラリーマンだった頃ち金沢で食べた焼鳥に感動し、32歳で脱サラし、4年間料理を経験したのちに上京。
名店「鳥しき」で研鑽を積み、鳥しきの分店であるニューヨークの「鳥えん」立ち上げにも参画。
その後、金沢に凱旋し、2020年12月10に同店をオープンさせ、ミシュランガイド北陸2021年度版では一つ星を獲得。
現在予約はOMAKASEのみ。
実食レビュー 2024年5月訪問
・高坂鶏のもも肉
新玉葱には能登島の塩の塩ポン酢がかかっている。地鶏ならではの皮の厚さ、ハリのあるもも肉は旨味も濃く塩ポン酢でさっぱりと。
・かしわ
やはり焼鳥と言えばかしわですよ。鳥しきでも最初に出てくる一品でいわば焼き鳥の顔的存在。
プリっとしてジューシー、鼻を抜ける薫香、品のある甘辛のタレ。秀逸です。
・マルハツ
伊達鶏のマルハツはプリっと口中でジューシーが爆発。
ごま油の風味や新生姜がハツのジュースと口内で一体となる。
・アスパラ
これが驚くほどジューシーで香りもいい。水分コントロールが秀逸です。
・ちょうちん
弾力のある伊達鶏もものすね肉に葱を挟み込んである。
一口でパクリといけば肉肉しい食感や葱の香り、こららを濃厚な卵黄がソースのように全てを包む究極の口内調理。
季節に応じて色々な地物野菜を用いて一口で表現する「鶏のすき焼き」をイメージしているそうだ。
凄い個性的で焼き鳥の表現方法ってまだまだ可能性があることを教えてもらった。
・自家製厚揚げ豆腐
揚げたての厚揚げを備長炭で焼き、上から鬼おろしの源助大根をたっぷり乗せて。
カリッと揚げ焼きされた厚揚げは香ばしく、中からトロリと柔らかい大豆の甘味が広がる。この食感コントラストがたまらない。
揚げたてを焼く事で脂切りとなるようです。
・大和肉鶏のセセリ
名古屋コーチンと軍鶏の掛け合わせ。地鶏ならではの強い食感と旨み。脂はそこまで感じません。
・高坂鶏のササミ
胡麻ダレと共に。
・ホロホロ鳥の白レバー
濃厚でいて透明感がある。柔らかい火入れにより口の中でトロッと溶け出す。臭みとは無縁。
・筍
石川県の筍。
・つくね
無農薬で蓮根を育てる「川端れんこん」を混ぜ込んだつくね。肉肉しさのなかにシャキッとした食感がアクセントに。
おろしには柚子の香りが爽やか。
・ホルモン焼き
食道、リンパ、首の皮、ハラミなど様々なホルモンを贅沢に一串に。
・手羽先
〆のご飯は2種類用意され、サイズを4種類から選択。どちらも中盛りを選択。
・鶏のスープ
・野セリと川端れんこんの塩そぼろご飯
そぼろ肉の薫香、セリの香りがめちゃいいです。
・筍入りの親子丼
先ほどの石川県の筍入りの親子丼。
この2つのご飯ものは季節によって変えているそうです。
・ブランマンジェ
日本酒「手取川」の酒粕を使ったブランマンジェと能登島の塩のゼリー。
「鳥しき」から受け継いだのは技だけではない。精神を受け継ぎ、名店をなぞるだけに非ず。
石川県で仕事をするには鶏以外の食材は地元のものを使い、前川大将のアイデンティティを串に注ぎ込む。
師匠を超える超えないではない。名店を経て、「蛤坂 まえかわ」というまた新たな道を作ることに成功している。
間違いなくここでしか食べることが焼き鳥をいただいた。ごちそうさまでした。
実食レビュー 2025年7月訪問
季節を変え、一年2ヶ月後に訪問。さて、夏の蛤坂まえかわでどのような料理をいただけるのか?
日が長くなったこの季節。紅葉が見え陽の光に包まれながら酒を飲み、焼き鳥を食べる。なんて素敵な空間なんだろう。
相変わらず、前川さんのコースは石川を存分に感じさせる。
河北潟の完熟トマト、白山市のとうもろこし、きよし農園のヘタ紫なす、ズッキーニ、トマトなど地物の野菜がコースを彩り、前川さんの焼きによって個々のポテンシャルを存分に引き出している。
また、高坂鶏のほかに三河赤鶏、名古屋コーチン、地頭鶏(じとっこ)など鶏の種類もさらに増え、より豊かな味わいが広がるコースとなった。
全国的にみても焼鳥を通して土地と季節をこれだけ表現できる職人は稀有な存在と言える。
石川の風景をみた珠玉の2025年夏のコースだった。
以下、いただいた風景。
・高坂鶏もも
皮はパリッとしながらも脂がとにかく甘く、梅ポン酢和えがバランス良く引き立てる。
・三河赤鶏 かしわ
プリっとした軽快な肉質は口中で鮮烈に弾ける。甘ダレに薫香の付け方がこのうえなく素晴らしいバランス。
・名古屋コーチン セセリ
これまた素晴らしい薫香バランス。銘柄鶏よりも力強い跳ね返えるような肉質。それに伴い旨味も湧き出る。
・白山市とうもろこし
石川県白山市黒澤農場の朝どれのとうもろこし。
皮が柔らかく、弾けるようなとうもろこしのジュース。薫香と甘さが際立つ。
・地頭鶏(じとっこ)砂肝
地鶏なので歯ごたえもあるが、その分旨味も強い。
・エルフランス
・自家製の厚揚げ
揚げたてを備長炭で焼いた灼熱の自家製厚揚げ豆腐。これがサクッと、トロッと豆腐の味濃厚でコントラストがいいんです。
・地頭鶏(じとっこ)白肝
臭みは皆無のミルキーな肝。品質、鮮度の良さが伺える。
・お吸い物 高坂鶏しんじょ きよし農園ヘタ紫なす
ふわふわと空気のように軽い鶏しんじょ。出汁は鶏出汁と鶏節を合わせたものでややスモーキーなニュアンスがある。
・「奥野農園」ミディトマト
灼熱です。お気をつけて。酸味、甘味、薫香、噛むごとに様々な表情が現れる。トマトってのはね、やっぱり酸味が大事なんです。
・地頭鶏(じとっこ)丸ハツ
繊維が厚いというかかなり肉肉しいです。
・新生姜入りつくね
高坂鶏の脂の香りがバターっぽいミルキー感があります。
上にはおろしてはなく「角切り」の大根で食感を演出。
・名古屋コーチン手羽
・実山椒、茗荷、新牛蒡のそぼろごはん
多重層にもなる香りがたまらない。
・地元野菜の親子丼 トマト、焼きなす、ズッキーニ
鶏肉が入ってると思いきや、地物の夏野菜の親子丼という新感覚の親子丼。
・「火いら寿」酒粕のブランマンジェ、塩ゼリー、メロン
お会計は約23,000円。
是非また季節を変えて来たい。ごちそうさまでした。
コメント