福岡・博多、2024年1月にオープンした鮨屋「にしむら」。
博多駅より徒歩15分ほど。
一見看板はなく、建物のドアを開けて階段を上がるとようやく「にしむら」とだけ書かれた表札が現れる。
扉を開けると「いらっしゃいませ」とお弟子さんから気持ちのいい挨拶がある。我々が一階のドアを開けて階段を登っている音を聞いてサッと構えていたということだ。
そして靴を脱いで畳の敷いてある高級感溢れる和風の落ち着いた空間。
そう、店内に入るまで「非日常」を感じさせてくれるこのおもてなしこそがミシュラン三つ星の「鮨 さかい」イズムをしっかりと継承していると言えよう。
純白の一枚岩のカウンター。 「時計は外してください」と書かれたトレーにスマホを置く。 そりゃカウンターは高いですからね。 つまり、鮨屋の命です。
コースは税込29,700円一本。
親方: 西村陽一郎さん
ミシュラン三つ星の「鮨 さかい」で研鑽を積み、「我逢人」で大将をつとめていた西村陽一郎さんによる独立店。
もちろんオーナーはおらず、文字通り完全独立店です。重圧のストレスで2回も胃潰瘍になったんだとか…
それだけ真剣で、人生をかけているのが彼の表情と所作を見ていればわかる。
「我逢人」のように系列店でもなくなったいま、西村親方にとっては「鮨 さかい」は師匠でありながらも、最大のライバル。
随所にさかいイズムを出しつつも、西村親方の柔和な雰囲気とお弟子さんたちとのチームワークでまた個性的な空気感を出す。
食材は九州前ではなく、良いものを全国から取り寄せる。鮪は「鮨 さかい」時代からお世話になっている「やま幸」。
握りは端正。赤酢によるコクと程よい酸がタネと交わり調和する。鮪との相性もいいが、握り一発目の鰈とも抜群に合ってました。
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以下、いただいた料理。
・白海老
富山。ねっとりとした海老の甘味とツンとした山葵との調和。
・ホタルイカの串焼き
ホタルイカはぶちゅっと肝が濃厚。炭火の香りと烏賊の香ばしさがなんとも酒泥棒な肴です。
・金目鯛
静岡県下田の金目鯛を炙って、上から玉ねぎソースをかけて。
皮付きで肉厚にカットされた金目鯛。握りじゃないからこの食べ応えある厚さなんですね。
玉ねぎソースも甘めの味付けだけど、その甘味よりも身の甘味を感じられます。
・シラカワ餡掛け
愛媛の八幡浜であがった白甘鯛。
鹿児島のあおさ海苔を入れたカツオ出汁ベースの餡と共に。
・スルメイカの塩辛
青森県のスルメイカの塩辛。
・あん肝
あん肝と奈良漬は分けて提供。それぞれの味わいを楽しんでもらいたいという狙いか。
余市のあん肝はどこか透明感やクリアさがあってふくよかな旨みが広がります。こりゃうんまいなぁ。確かに奈良漬は味が濃いのでこのスタイルはありですね。
・太刀魚の塩焼き
ホロホロの千葉県竹岡産の太刀魚をシンプルな塩焼きで。
鶴港と言う高菜や白菜などが入った長崎の漬物。
・アマテガレイ(マコガレイ)
明石。2日目。ブリンっと身には弾力があり、噛めば噛むほど香りが弾ける。この仕立て、見事です。
ほのかなコクと酸の効いたシャリとの相性も抜群です。煮切りは少し甘め。
・春子鯛
兵庫県由良。肉厚なカットだけど柔らかく仕立てられています。握りではなく塩で。
・桜鱒
身質はキメ細かく、フワフワです。もちろんシャリとの調和もいい感じ。
・小肌
天草。ややジューシーな仕上がり。
・赤身
赤身としての酸味、香りはしっかりと。シャリともバッチリ抱き合ってます。
・中トロ
・大トロ
鮪が三連発ということでこちらでもシャリは鮪に標準を合わせてあるのがよくわかる。
・車海老
鮨 さかいでもお馴染みの茹でたての仕事。だけどあれは人がもっといないと難しいですね。
素早く殻剥きをし、握りに。プリプリの食感と香り。
・アサリ出汁の味噌汁
塩味は控えめ、出汁で飲ませます。
・馬糞雲丹
・穴子
まさにトロットロのクリーム状。ここまで柔らかく仕立てる店は珍しいかも。
・干瓢巻き
・玉子焼き
プリン系。
流石、さかい出身だけあって握りは抜群です。
もちろんまだオープンしてから3ヶ月という事でご自身の理想的なオペレーションとまではいかないのかもしれないが、今後ますます右肩上がりとなっていくのは間違いない。
一年後くらいにまた再訪してみたいと思いました。「我逢人」時代のファンが多いのも納得な応援したくなるような西村親方の人柄。料理と共にいただきました。ごちそうさまでした。
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