銀座のミシュラン一つ星の日本料理店「茂松」にて福島県浪江町とのコラボイベントに参加させていただいた。
12年前の東日本大震災において甚大なる被害にあった福島県浪江町。
浪江町産の農林水産品は流通業者に対して食品中における放射性物資の検査が行われており、現在は安全性が確認されている。
しかし、いまだ福島県内の産品には風評があるのも事実。
この食事イベントは少しでも多くの人に浪江町の魅力である大堀相馬焼と産品を浜通り出身の実力ある料理人のコラボレーションと共に発信していくという主旨がある。
親方 : 松原茂之さん
親方である松原さんはまさに浪江町出身の料理人。高校卒業後、青森県八戸の鮨店へ3年間修業し、上京。会員制の和食店や星付きの日本料理店などで研鑽を積み、渋谷の割蒸料理店で料理長を務める。2016年10月に独立し、「茂松」をオープン。
今回は浪江町の豊富な食材を一流料理人が調理し、器には大堀相馬焼を使い、そして福島県双葉町出身、中目黒「髙崎のおかん」の熱燗師による熱燗とのスペシャルなコラボイベントとなった。
以下、いただいた料理。
・ズワイガニ ガニマキ風
ガニマキとははモクズガニという蟹で作られる郷土料理。普段はモクズガニを殻ごとつぶし、濾して煮たてて浮いてきた部分を食べる料理。
だが、モクズガニが禁漁となっている為、相馬港産ズワイガニを使ってガニマキを表現。殻ごとクラッシュされたズワイガニのピュアな蟹の旨味がたまらない。
・玉ねぎ 素麺 白魚 天麩羅添え
素麺の様にカットされたブランド玉葱「浜の輝」はまるで新玉葱の様に瑞々しく甘い。
さらに浪江の白魚、サクッと華やかで香ばしい香りが広がる相馬の海苔の磯辺揚げを出汁と共に堪能。食感、香り、温度感のバランスもいいです。
・安康どぶ汁春巻き
鮟肝を炒って野菜をぶちこみ、身を入れて炊く漁師料理の「どぶ汁」。
これを今回は煮詰めて春巻きの具にした。使うのは相馬港産の鮟鱇。
鮟鱇の出汁、味噌、旨味などがすべて凝縮された熱々な一品。
・ヤリイカ飯薄衣揚げ
もう一品は相馬産のヤリイカにもち米を入れ上げたもの。
・キンキのスープ仕立て
相馬港産 キンキ、浪江町産 長ネギ・ほうれん草。
水と昆布とキンキだけ。
特にこの浪江町産のほうれん草は土っぽい香りに徐々に甘くなってくるグラデーションが素晴らしい。
・平目
浪江町請戸港産 平目。4キロ以上の「座布団平目」と言われるビッグサイズ。
柚子ポン酢、黒にんにく醤油、山塩と共に。ちなみににんにくは浪江町産 サムライガーリック。
・オニトウジン 鱗焼き肝ソースかけ
オニトウジンは鱗焼きにし、肝をサムライガーリックと合わせてソースに。
浪江町産のキャベツ、紅菜苔、白髪ネギ。
焼くと割と淡白さがあるがニンニク肝ソースや原酒のお燗とのバランスがまたいい。鱗の香ばしさも引き立てる。
・ズワイガニとじゃがいもの饅頭
相馬港産 ズワイガニ、浪江町産 じゃがいも。
米粉で揚げられたじゃが芋は香ばしくもナチュラルな甘さが印象的だ。蟹の餡と絡めれば一体感がある。
・えごま坦々麺風
麺は浪江町名物のなみえ焼きそばのもの。浪江町産のエゴマを擦り、担々麺風に。
挽肉の変わりにシラスを。特に浪江町のシラスは有名で豊洲でも一番札がつくほど。
エゴマの華やかな香りの良さに旨味あるシラスと麺が絡む。
・たこ飯
浪江町 請戸港產 タコ、浪江町産 米・コシヒカリ、浪江町産 長ネギ。
蛸は非常に柔らかく仕上げており、葱は香りよく甘さが際立つ。その葱の存在感は蛸に負けていない。
・鈴木酒造店甘酒葛豆腐いちごソース
葛でうっすらと固めどこかフルーチェの様な。
浪江町の食材の美味しさは勿論のこと、単なる日本料理に終わらずしっかりと松原親方の個性を宿す料理の数々。何よりも松原さんによる浪江町の食材への愛情を存分に感じることができるイベントだった。ごちそうさまでした。
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