東京・二子玉川の住宅街にひっそりと佇む鮨屋「すし喜邑(きむら/㐂邑)」。
2005年の開業以来、“熟成鮨”という新境地を切り拓き、全国の鮨好きから熱い視線を集める名店です。
「すし喜邑」とはどんな店?
店を率いるのは、大将・木村康司氏。
2005年に二子玉川で「すし喜邑」を開業し、それまで“鮮度=命”とされてきた鮨の世界に、「熟成」という概念を持ち込みました。
店内はカウンターわずか9席。完全予約制で、予約は「OMAKASE」や「TABLEALL」のみ受付という徹底ぶり。
ランチ・ディナー共におまかせコースのみ、価格は3万円台と高級ですが、その内容は唯一無二で鮨の可能性を広めました。
2018年3月訪問
ここは鮨好きの人なら知らない人はいない程のお店。熟成鮨のパイオニアです。
「熟成肉」は流行ってるけど「魚を熟成」って腐らないの?という凄く当たり前すぎる疑問を解消してきた。
場所は二子玉川。鮨屋のイメージがない所に店はある。
ハマグリ酒
食前酒的なもの。しかしいきなりハマグリ酒とは…
牡蠣バター
またまた面白いのが出てきた。
マイルドだけどしっかり牡蠣の風味があります。ちょびちょびつまみながらビールを。
雲丹蕎麦
びっくりした。まさか蕎麦が鮨屋で出るとは…
雲丹のクリーミーさとコシのある蕎麦のマッチングがハンパない。蕎麦の風味が消されてるという心配はなく香り高く美味しいです。
もう一杯普通にこれだけ食べたいくらい。
この時点でこの鮨屋、只者ではないことに気づく。
マナガツオ
ホロっとあっさりとした身に脂加減と香りも絶妙です。シンプルで王道のつまみが出てきた。
このこ
ナマコの卵巣です。これを干したものが「ばちこ」になるわけです。
ツルツルっとした食感で美味しい。
渡り蟹の塩辛
手でみんなでちゅうちゅう音をさせながら吸い付きます。
「みんなさ、気取らずにここらでリラックスしてよ」まるで大将の木村さんがそう言ってるかのよう。
塩辛も酒が進みます。
トラフグのお吸い物
中に入っているのがトラフグの白子。濃厚でトロンとしてて日本酒が進みすぎる。まだ鮨いってないのに。
ここでシャリを海苔に巻いて渡される。
何も入ってない。シャリは硬めで塩っけは抑えめ、酢も効きすぎないマイルド系。
ネタを活かすタイプだ。
さて、ここから握りへ。
甘鯛
何日寝かしたのだろう?
ねっとりとした濃厚な旨味が濃いんです。これが熟成鮨か。
サヨリ
熟成期間一週間。
完全に脱水され、もっちりした食感に旨味が濃くなっている。いままで食べてきたサヨリと明らかに違う。
桜鱒
熟成期間20日。
大丈夫なんだろうか?
濃度が物凄いぞ。すごーく濃い。先からそれしか言ってないけど。
なんじゃこりゃ…とにかく美味い。
とり貝
貝って寝かせるものなの?
めちゃくちゃ甘い。なんなんだこの甘さは。
熟成させるとここまで味が変わるのか…
鯵
鯵の味も1.5倍増し。
とにかく旨味がすごい。
シマエビ
もう甘辛で煮込んでるじゃねぇかってほど甘い。そしてねっとり感もハンパじゃない。
さっきから甘いとねっとりしか言ってないね。エロい。余韻も長い。
カワハギ
身は淡泊なカワハギだけど深まってます。
もはやそれしか言えない。
金目鯛
旨味が濃縮されている。香りというより旨味の余韻だ。
大将の木村さんは魚を腐らせる直前まで熟成させ美味しさを引き出す。
これ以上寝かせると匂いがでてくるらしい。徹底的な研究結果の賜物。
メジマグロ
本鮪の子供。
この店ではメジャーな魚は使わない。
鰯
鰯ってただでさえ味が強いのにちゃんとシャリと一体化してる。凄い。
マカジキ
驚異の54日間熟成。約2ヶ月だよ。まじすか。
もはや何を食べてるのかわからなくなってくる。1つ言えることは美味い。
あと濃厚、ねっとり。
鰹の手ごね寿司
ここらで握りじゃないものが出てきた。当然箸でいただきますよ。
いくらでも食べられそう。
玉子焼き
フワフワ。甘みはすごく控えめ。
以上。
あと一貫食べたいので追加注文。
イサキ
感無量。最後まで美味しくいただけた。
熟成鮨。何日か寝かせるだけなら他の寿司屋もやる。
だけどここのは寝かせる期間が桁違い。
他の寿司屋が真似しても腐らせるだけらしい。ここまでくるのに限らない実験の日々。
魚の原価を考えらと恐ろしい…
誰もやらなかった前人未到の境地。そしてかつて味わったことのない鮨…
それだけではないつまみの独創的なこと。
全てが唯一無二。ごちそうさまでした。
店舗情報
店名:すし 喜邑(㐂邑/きむら)
所在地:東京都世田谷区玉川3-21-8(東急田園都市線・二子玉川駅より徒歩約6〜7分)
オープン:2005年7月7日 席数:カウンター8〜9席(貸切は7〜9名)
営業時間:昼12:00~14:00/夜18:30~22:00(2部制:~20:00または~22:00)
定休日:月曜・火曜(不定休もあり)
予算:ランチ・ディナーともに約30,000〜39,999円(高価格帯のおまかせ)
予約:完全予約制。WEB予約はOMAKASE(国内)、TABLEALL(海外)のみ受付
支払い:現金不可。クレジットカードのみ使用可(VISA, Master, JCB, AMEX, Diners)
その他:完全禁煙。
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