最初からこんな感じですよ
テレビ放送はいまから12年前。
「水曜どうでしょう」のDVDは元のテープ一から再編集しているため発売には時間がかかる(レギュラー放送は1年に2本ペース)。
これはテレビの放送時のものをそのままパッケージ化するいまのテレビ業界ではかなり異端。
ぶっちゃけた話、テレビ放送時の編集の方が好きな回もあったりするけど編集者の強いこだわりは好きなのでDVDが出るたびに毎回買ってしまう。
さてヨーロッパの完結編となる本作は本編だけで四時間半もある超大作。
副音声まで聞いたら九時間。
どんだけ楽しませてくれるんだよ。
正直なことを言いますと、個人的には当初この作品に対してあまり面白いイメージなかった。
だけど今回改めて観るとやっぱり面白いなと思わざるを得ない。
レギュラー放送が終わり数年に一回のペースになり視聴者の水曜どうでしょうに対するハードルが上がりまくってる状態で観るわけで、そこは可哀想だなとは思うが私もかつてはそうだった。
しかも「ヨーロッパ完結編」と銘打ってるからにはどうしてもテーマが壮大で期待してしまう。
さらに期待させるような予告編を作るディレクターも罪深いが。
だけど今作はいい意味でも悪い意味でも内容がショボい。
ベトナムの時みたいな感動はないし、夏野菜の時にみたいな馬鹿笑いはなく、終始「クスッ」程度の笑いが四時半続く。
大きな笑いの部分は「みっちゃんと糸ようじ」くらいか。それも今までのどうでしょうに比べればそこまででもない。
きっと全体的に地味だからそこが目立つのだろう。
基本的には街を出れないだとか、部屋がショボいだとか、宿がないだとか、ディレクターが足くじいたとか、後部座席が疲れるだとか、身内のモノマネだとか…
「ヨーロッパ完全制覇」とうたいながらも実際はかなりショボい内容が続く。
だけどね、みなさん。
言っちゃ悪いけどこんなもんですよ。
最後に大泉洋がほぼゴール地点でこんな事を言う。
「もうね、こんな感じですよ」
最後にユーラシア大陸の最西端をゴールとし、そこを目指すが迷って全然辿り着かずに諦めて言い放つ一言。この一言にこの作品の全てが集約されてる気がする。
私は気付かされた。
過度な期待を持って観てたけどまぁ昔からこんなもんじゃないか。
この自然体が心地よくてどうでしょうを観てたのに勝手にハードルを上げちゃって「すまん」と言いたい。
とは言ってもつまらないわけじゃない。
相変わらず四人の会話には引き込まれるものがあって副音声では彼らの会話をサッカーに例えていたけどパス回し、ゴールへの流れが上手い。
小さいテクニック、小ネタが随所にあって何故かずっと観れる。この位のユルさの方が実は何度も観れるのではないかとすら思う。
番組当初、大学生だった大泉洋はこの時には33歳ということでいまの私の年齢と同じ。
「ハケンの品格」というドラマでようやく俳優として全国区になった時期である。
フィールドは違えど何だか頑張ってる人をみるとモチベーションに繋がるんだよな。
視聴者の中にはこの作品以降どうでしょうに対して批判的な人も出てくる。
「昔に比べてどうだとか。」
動画配信をしている私には彼らの言われる立場が非常によくわかる。
そんな批判する視聴者に言いたい。
「人は年齢をとれば心身ともに色々変化する。その変化をも楽しもうぜ。
その変化を含めて彼らを見守っていこう。
それこそがファンではないか。」
昔の方が面白いと思うなら昔の作品をずっと観て満足していればいのだ。
この四人がどこへ行こうと関係ない。
元気に旅をしてまた我々を癒してくださいな。
そしてまた自然体などうでしょうを観せてほしい。
そう思う次第であります。
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