本日伺うお店は「熟成鮨 万」。そのまんま熟成鮨のお店です。
熟成鮨っていうと二子玉にある「すし 喜邑」以来だ。
あまりの手間とリスクと専門知識が必要なため、やる人がいない分野。
(できる人がいないと言った方が正しい)
予約は一ヶ月前にした。オープンしてまだそんなに日は経っていないが確実にお客は増えている様だ。
場所は広尾から1キロほど。表参道からも六本木からもそれなりにあるのでタクシーで向かう。
着いたはいいが看板がないから全くわからない。普通のマンションの様だ。
なんとなくマンションのポストを発見したので301を押してインターホンを押す。
すぐに中の人が出てくれ、エレベーターで三階にあがる。ようやく着いた。
ちょっとした秘密基地のようだ。
店内はカウンター6席のみ。
静かなBGMが鳴っている。大将はまだ若く29歳とのこと。
ここの熟成はまず津本式血抜きという水圧で毛細血管レベルまで血抜きをしてからネタごとに熟成の作業を施す(血抜きをしない魚もあるが)。
それから各魚ごとに細かい仕事を行う。
話を聞けば聞くほど一貫ごとに膨大な時間と労力がかけられていることがわかる。
ちなみに大将も動画を観てくれていたようでとてもざっくばらんにお話を伺うことができた。
以下、本日の料理の数々。
まずは1人ビールで乾杯。
鱈の白子と金目鯛の酒粕
白子は焼いたものでとても香ばしくトロンと口内を纏う。金目鯛の酒蒸しも甘みが凄い。
白山大将が目の前でシャリを切る。
酢のいい香りがしてくる。
酢は赤酢と米酢ですね。
あん肝の茶碗蒸し
青森大間産のあん肝。
とにかくあん肝の甘みと茶碗蒸しがとても合っていてこれ絶対に日本酒が必要。
ガリ
酸味、甘み、辛味がとてもバランスがよくガリだけでもとても美味しい。
海苔とシャリ
名刺代わりにまず海苔とシャリを。
シャリは赤酢と米酢をブレンドしたもの。
酸味、コクとバランスがいいもの。
中トロ
32日目。
大間産の鮪。やま幸から購入しているそうだ。
驚いた。まるで大トロの様な脂だ。
熟成させることで脂がまわるとのこと。
この一貫で熟成の可能性を感じる。
赤身の漬け
中トロと同じ鮪。
ネットリとして鮪の味が濃い。
トロ 40日
40日目。
先ほどの鮪とは別の個体。
こちらも甘みが物凄い。
そしてちゃんと鮪の味だ(当たり前だけど)。
適切な熟成方法でここまで変わるのか。
サヨリ
10日目。
酢を通すと白くなるらしい。
今まで食べてきたサヨリの食感とも違う。
縞鯵
31日目。
こちらも縞鯵の味が濃くとても濃厚で味わい深い。
甘鯛の鱗焼きと金針菜
握りの合間につまみも出てくる様だ。
甘鯛の鱗はパリパリとしてとても香ばしく身は甘い。
金針菜も噛んでるうちに甘みが出てくる。
真鯛
22日目。
とても柔らかく鼻から抜ける香りも強い。
剣先烏賊
12日目。
上に乗っているのは烏賊墨で作られた塩。
烏賊が口内で溶けた。
めちゃめちゃねっとりとして濃厚な烏賊。
8枚ほど薄くカットしているらしい。
鰹
6日目。
千葉県房総半島産。
まさか鰹もこれだけ寝かせるとは。「ひき縄」という漁法で釣った鰹で身にストレスがない為、寝かせることができるらしいです。
こちらは血抜きをしてしまうと鮪の様な食感になってしまう為、あえて血抜きをしないで熟成させているとのこと。
鰹の味が濃く旨味も強くなっている。
ますのすけ
43日目。
もの凄い旨味とまるでゼリーの様な口溶け。
それでいて味はちゃんとサーモン。
ホッキ貝
11日目。
とてもみずみずしく貝の旨味も凄く感じる。
スズキとカラスミ
くろむつ
31日目。
千葉県銚子産。身は柔らかくて本当に甘味が強い。
寒鰤 45日
45日。
氷見産。
ただでさえ脂が多い寒鰤を熟成させると普通は脂っぽくて食べられないがこちらはその脂を抜きながら熟成させる様だ。
もはや圧倒的口溶けで脂の甘味も強烈だがクドすぎない。
絶妙なバランスを保っている。
煮はまぐり
10日目。
九十九里産。10日も熟成させてるのにみずみずってどういうことだろう?
旨味も凄い。
鯖
23日目。
八戸産。旨味が濃縮している感じだ。
穴子
26日目。
壱岐産。脂がまわってもの凄く甘味を感じる。
赤だし
中には海苔が入っている。
あとは巻物と玉子焼きで一通り。
どうせなら他の熟成もみてみたいということで3貫程追加。
鯵
10日目。
五島列島産。
旨味が鼻から抜ける。鯵は時期じゃないけど熟成によってまるで旬の鯵を食べてるみたい。
ボタン海老
10日目。
究極的にねっとりと、そして甘みももの凄い。
マカジキ
56日目。
本日最長熟成期間。ということは2018年11月末くらいのマカジキ。
とにかく柔らかくて味が濃い。
干瓢巻き
熟成ではないけど作るのに5日かかったそうだ。
もはや手のかけ方が尋常じゃない。
嫌みのない甘さと食感が素晴らしい。
玉子焼き
甘鯛のすり身を入れた玉子焼き。
例えるならプリンのようだ。
炭で二時間かけて焼くらしい。
玉子焼きにも物凄い時間と労力をかけている。
白山大将は終始腰が低く感じもよく真面目さが伝わってくる。
熟成鮨をやるようになったきっかけや思いを色々と聞かせてもらった。
腐敗と熟成は別のものだが表裏一体でもある。
詳しくは動画にしているのでもしよかったらご覧いただきたい。
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