2013年/アメリカ映画/165分
主人に妻を奪われた奴隷のジャンゴは、賞金稼ぎのシュルツに助けられ、彼と共に妻を買い戻そうと決意。
アメリカ横断の旅の末、ついに二人は妻が捕らわれる若き暴君カルビン・キャンディの農園に辿り着き、奴隷商人を装い乗り込んでいく。
しかし老獪な奴隷頭スティーブンが二人の正体を暴き、予想外の決闘が始まる…。
監督は映画オタクの奇才クエンティン・タランティーノ。
タイトルの「ジャンゴ」とは主人公の元黒人奴隷の名前。
ひょんなことから差別を嫌うドイツ人のシュルツに救われ共に賞金稼ぎの相棒に。
賞金稼ぎとして悪党を殺しながら生き別れになってしまったジャンゴの最愛の妻を2人で探すというのが大枠のストーリー。
黒人差別真っ只中のこの時代にあえて黒人を西部劇のヒーローとして扱ったかなり画期的な作品。
っていうかタランティーノって相変わらず大胆なアイディア打ち出すよね。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でもマンソンファミリー事件の最後を大きく変えてみせたし。
彼の型破りで「常識に囚われるな」精神は好きです。
ジャンゴを自由の身にしたシュルツは巧みな話術と射撃の腕の良さを発揮し冒頭からなかなか爽快なシーンの連続。
ややこしい話は特にないので全体的に何のストレスもなくあっという間に話に引き込まれる。
一応ラストはスカッとする終わり方ではある。
だけど強いて言えば…敵役が弱い。
確かにディカプリオは存在感があり黒人奴隷同士を闘せるシーンなんかはかなり狂気性を秘めていた。
黒人のジャンゴに対して常に何をしでかすかわからないと言ったドキドキ感はさすが。
だけどね、意外にもサクッとやられてしまうんですよ。
せっかくディカプリオ使うならもっと膨らませてもよかったのではないかな?
ただでさえ2時間越えの長い作品だからこれ以上引き延ばすのは厳しかったのかしれないがちょっと勿体ない気はする。
ディカプリオに仕えてたサミュエルLジャクソンも結構あっけない。
多分最後の爆発シーンをやりたいが為にサミュエルLジャクソンを残したんだと思うけど憎悪を掻き立てる演出が足りないせいでカタルシスが消化しきれてない感じがする。
とは言え、サミュエルLジャクソンに関してはなかなか興味深いキャラクター設定だった。
白人に仕えていて極めて立ち位置的には白人寄り。
例えが間違っているかもしれないけど「ドラえもん」で言うところのスネ夫みたいな。
白人のディカプリオにはヘコヘコするが黒人奴隷にはやたらと厳しく管理する。
黒人差別真っ只中のこの時代、サミュエルLジャクソンみたいな立ち位置の人間って実は結構いたんだろうなと妙に納得してしまった。
逆に主人公のジャンゴに関しては最後まで魅力を感じなかったのが残念だった。
暴力シーン好きのタランティーノなので一部グロいシーンはあるもののわかりやすい勧善懲悪ものでストーリーも王道ということで誰が観ても楽しめる作品となっている。
スパイク・リーがこの映画を「奴隷制度は娯楽にしていいものじゃない。祖先に対して冒涜だ」と批判したみたいだけど奴隷制度の残酷さを存分に知るきっかけとなるという事に関しては意義のある作品だと思うんだけど。
多少感情論みたいなものはあるのかもしれないが事実は事実なのでここから学ぶ事ってたくさんあると思う。
むしろ「暴力を助長する」とかトンチンカンな批判する人も出てきそうなのはいつの世も変わらないしタランティーノは永遠に言われ続けていくのでしょう。
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