東京・御成門にある鮨屋「冨所」。
御成門駅から歩いて数分。オフィス街の一角にひっそりと佇むのが、2018年に誕生した寿司店 「冨所(とみどころ)」 です。
カウンター5席のみという小さな空間で、厚みのあるネタと赤酢のシャリが織りなす迫力ある江戸前鮨を堪能できます。
【冨所】ってどんな店?
大将を務めるのは佐藤浩二氏。
1985年に北海道で生まれ、18歳で寿司の世界に飛び込んだ。
地元・帯広の老舗「すしの久田」で約7年間修業を積んだのち、さらなる高みを求めて上京。
西麻布の星付き店「鮨 真」で10年間腕を磨き、江戸前寿司の技術と哲学を徹底的に学ぶ。
そして満を持して、自らの名を冠した「冨所」を独立開業。
ちなみに店名の冨所は母親の苗字から。
その寿司の特徴は、何よりも 大ぶりに切り出されたネタと赤酢を効かせたシャリ。
赤酢特有の深みと香りを活かしたシャリに、厚みのあるネタを乗せる。
ひと口頬張れば、米と魚の旨味が一気に広がる力強い味わいだ。
酒肴から握りまでの流れもよく練られており、ただ豪快なだけでなく繊細さも併せ持つ“男鮨”として知られている。
冨所から独立したのが2025年7月15日に新富町にオープンした「芳尾」である。
2024年1月訪問
2024年一発目のサロンの食事会。
何度も来てるから説明は不粋かと思うが、一応。
正統派の江戸前鮨がいただけるお店で、握りは大きく私は「男鮨」と呼んでいる。
男鮨と言っても決して粗いわけではなく、仕込みは端正。味わい、香りをばっちりと引き出している。
カウンターは6席のみ。客との距離も近いので内密な話したいときは合わないかも。
本人は決して仕事自慢はせず、わかる人だけわかればいいというスタンス。
おまけに出てくるスピードも速く、いまの鮨屋慣れしてる人からすると「凄くはやく終わってしまった」という印象を抱くだろう。
この日は一時ちょっと。
いいじゃん、二次会いけるじゃん。
ってそのあとは真上のイタリアンBAR「イジョコタス」へ。
新年に相応しい「うんまい鮨」をみんなでいただいた。ごちそうさまでした。
2021年11月訪問
気づけば桂太と冨所をループしてた2021年。
さて、寒くなってまいりました。11月の冨所。
三周年を迎えられたそうだ。
逆に周年日は休んだと言うから、緩い。
この日は6名で貸切会。存分に冨所の握りを堪能した。
特徴はやはり男らしさある握りのサイズ感だろう。いかにも鮨食ってる!という感覚は昨今の居酒屋化した鮨屋にはない本来の鮨屋の姿ではなかろうか。
最高級のピンネタは使わずいいネタを自らで厳選し仕事を施す。だから金額もそこまで跳ね上がらない。当たり前のことを当たり前の様にやってる。
ここに来ると鮨屋とは何かみたいな事をなんとなく感じさせられる。
以下、いただいた料理。
2020年12月訪問
本日は今年2回目の冨所へ。
場所は御成門駅から徒歩5分ほど。新橋駅からでも10分くらい。
一見、目立った看板がないからスマホのマップないとなかなか辿り着けないかもしれない。
そろそろ冬にさしかかろうとしてるのにこの日は暖かかく店のドアは開けっぱなし。
虫もいなくてそよ風が凄く気持ちいい。
半年ぶりの佐藤大将、いい意味で何も変わってない。安定感抜群で押し付けがましくなくひたすら心地よい接客。
つまみもあくまで握りを引き立たせるくらいに抑えられてはいるが食べてわかる仕事の丁寧さ。
この時代に「足しすぎない」というのは確固たる自信の軸がある証拠。
握りはネタの切りつけ大きく、シャリもコクと酸のバランス良くまるで非の打ち所がない。
これほどまでに地に足がついた握りを食べられるとは同年代としてただただ嬉しい。
以下、いただいた料理。
平目
香りが凄くいい。魚体の力を感じる。
カマス
ねちっと脱水され身は柔らかくほどける感覚。旨味残る。
鰆
皮目を炙っており燻したスモーキーさの余韻からのねっとりとした身質。
皮目から身に意識がいくにつれ旨味、香りが右肩上がり。
蛸
佐島。柔らかくしすぎず蛸の食感はきちんと。
シンプルに香りを楽しませる一品。
蝦蛄
濡れ感あるしっとりとした食感に嫌味のない甘口の味付け。味も濃く甲殻類の香り広がる。
鰯
一夜干しにして焼いたもの。
香り良く脂もガッツリと。焼きの香ばしさと脂に大根おろしと王道だけどシンプルに美味い。
牡蠣
絶妙な火入れによるねっとり加減。
サラダ油はスッキリと。
白子
トロンと濃くまったり、もったりな白子にもみじおろしのピリ辛、ポン酢の酸味が素晴らしいアクセント。
塩あん肝
甘く煮付けないあん肝。これ出すのここくらいじゃない?
雑味一切なくひたすらマイルド、コク、厚み。
自家製塩辛
塩味は抑えられ限りなく輪郭は丸みを帯びた味わい。
ガリ
目がさめる様なキレキレ感。
酸と辛。砂糖も入ってるけどそれを感じさせないソリッドさ。
墨烏賊
スッと綺麗な歯切れ。咀嚼を重ねると最後は甘みに。
シャリは若干の酸味を感じた後にスッと引いていきコクを感じるように。
握りは硬すぎず柔すぎずまさに理想的。
鯛
皮付き。
赤身の漬け
ねっとりと香りの持続度を感じながらシャリとの調和を楽しむ。あぁ、鮨って美味い。
カッコイイ構図
大トロ
こちらは赤身と母体が違うらしい。
三週間弱。香りはさっきの赤身の方があったけどやはり甘みはこちらに軍配があがる。
相変わらず淡々と握っていく。
いい意味でラフ感がある。
小肌
天草。水分が適度に抜かれみっちり、もっちりとした身質。
〆加減が絶妙すぎる為、残る水分と小肌の旨味、酸、塩が見事なバランス。
ブリ
脂はしっかりまわってるけどもたれるような嫌な脂は一切ない。
小柱
サクッと歯切れの良い食感、小柱の香り、磯の香りの後に唾液と混ざり合う事で貝の甘み。
蛤
甘く濃厚なツメの存在感に意識がいきがちだが徐々に蛤本来の香りが主張。次第にシャリとの見事な調和に驚かさせる。
下手したらツメに負けそうになるところをしっかり相乗効果となっている。
春子鯛
酢〆。口当たり滑らかで優しくほどける。
イクラ
一粒一粒の濃度が高く塩味は抑えられてる。
新いくらとまでは行かないが皮も程よく柔らかい。
次第に海苔との調和も楽しめる。
鰆
これが個人的に握りで今日一。
秋の脂ののった鰆はトロンと口触り滑らか。
ねっとりと程よく脱水され旨味、香り、甘みの三拍子。
つまみの鰆もよかったけどシャリと合わせると倍増するなぁ。
車海老
存在感ある大きさ。鮨屋の海老はこうでなきゃ。
紫雲丹
こんもんりと盛ってもらった。幾分水分少なめめもっちりと。
穴子
サイズ大きくかなりのきめ細かさ、滑らかさが舌を覆う。
玉子焼き
味噌汁
日本酒かなりのんだけど一人あたり24,000円。
個人的には鮨屋で3万オーバーだと一気に再訪のハードルは下がる。
だって全てのネタが完璧なクオリティじゃなくていいんですもん。実は緩急ついたコースの方がちゃんと印象に残ってるもんです。
これだけ食べてこの金額だとやっぱりいい印象しかないしまた来ようと思える。ごちそうさまでした!
2020年3月訪問
本日は御成門の鮨屋「冨所」へ。
御成門駅からは徒歩5分ほど。看板がないので店の存在を知ってないとスルーしてしまいそうな場所に。
こちらの佐藤浩二大将はミシュラン一つ星の名店「鮨 真」出身。
オープンは2018年11月とまだ新しいお店だ。
カウンターは6席のみとコンパクト。
非常に落ち着いており、シックなデザインに洗練された空間。
佐藤さんは温和で柔らかい空気感の方。
「鮨 桂太」の大将と仲が良いそうだがどことなーく雰囲気が似ている気が…する。
話をしていくと今年35歳でどうやら私とタメであることがわかった。急に親近感が湧く。
おまかせコースは18,000円。
以下いただいた料理。
平目
むっちりとして力強い食感。
味も濃く、特に後半から香りが上がってくる。
とり貝
弾けるようなみずみずしい食感にどこかウリっぽさを感じさせる香りが爽やか。
噛んでいくごとに甘みも増すしていく。
ハタ
じんわりと白身本来の旨味を感じる。脂ものってます。
メジマグロ
鮪の子供。ねっとりとして香りがふわーっと。福井の地がらしと共に。
塩あん肝
本日のつまみのお気に入り。
あん肝って甘く煮付けるのが王道だけどこちらは塩で味付けしたもの。
味もクリアで滑らか。コクもあって旨味も強い。
あん肝だけで2.3キロとかなり大きく脂ののりもいい。
蛍烏賊の粕漬け、牡蠣のオイル漬け
ふわっと甘い粕漬けと蛍烏賊が濃厚。
牡蠣もプリッと。
この辺で握りへ。
ガリ
酸が強く、ほんのりと辛い。甘みはほぼ感じないキリッとしたもの。
墨烏賊
烏賊特有のある程度の粘りとサクサク感。
シャリは赤酢と合わせ幾分マイルド。
酸は強すぎないくらいでふっくらと炊かれた米の旨味を感じる。
男らしさを感じさせるしっかりとした握りだけど口に入れるとホロホロっと崩れうまくネタと調和していく。
ネタとシャリのサイズは気持ち大きめで食べ応えもある。
サヨリ
透き通る身は柔らかく後半からだんだんと味が濃くなっていく。
赤身
京都舞鶴の81キロ定置網。きめ細かさと爽やかな酸。
中トロ
めちゃめちゃ綺麗な部位だ。ひたすら上品な香り。シャリの酸との調和もいい。
小肌
佐賀の小肌。肉厚で結構脂がのっていている。
酢と塩加減が絶妙で旨味も強い。
ミルガイ
食感よくみずみずしい。甘みもいい感じ。
しめ鯖
こちらも結構脂がのってて旨味が凄い。
〆加減と脂の甘味が素晴らしい。
蛸
蛸の食感は残しつつ後半から徐々に香りが強くなってくる。味が濃い。
だけど大将曰く、ほぼ蛸のスペック。
海老や蟹などの餌を食べてる蛸は味が強いんだとか。
春子鯛
やや酢が効いており身質も柔らかい。丁寧な仕事ぶり。
煮蛤
漬け加減いいです。
鰆
玉ねぎを漬けた醤油で味付け。
トロトロの食感とコクは極上。
車海老
かなりデカイ。口いっぱいに車海老を頬張る感覚は爽快。
ブリブリで甘みも抜群。
雲丹
盛りが凄い。クリアで特に甘みが強い。
穴子
ほわほわで脂ののりもいい。
玉子焼き
中心にいくにつれてしっとりと。
そして嫌味のない甘み。
以上で一通り。
つまみなしでいきなり握りにいく人も多いくらいしっかり握りで満たしてくれる理想的な店。
ネタの切りつけやシャリも大きさなど一貫一貫のパワーも凄い。
理屈抜きにして「鮨ってうめぇな」と思う。
お会計は18,000円のおまかせコースにお酒も飲んで約22,000円と良心的。
コスパの感覚は人それぞれだがまさに価格に対してのパフォーマンスが優れているといった印象。
6席しかないので確実にこの先は争奪戦になるので絶対に行っておくべき店。ごちそうさまでした!
店舗情報
住所:東京都港区新橋6‑13‑3 1F
アクセス:
都営三田線「御成門駅」より徒歩約5〜8分、JR「新橋駅」から徒歩8〜10分
営業開始(オープン日):2018年11月1日
営業時間:
ランチ:11:30〜13:00(L.O.13:00)
ディナー:17:00〜21:00(L.O.21:00)
定休日:不定休
席数:カウンター6〜8席(カウンターのみ、個室なし)
予算目安: ランチ:約¥7,000(Retty)〜¥8,000‑¥9,999(Foodies-prime)
ディナー:約¥25,000(東京カレンダー)〜¥20,000‑¥29,999(Foodies-prime)
支払い:クレジットカード可(VISA/Master/JCB/AMEXなど)、電子マネー不可
禁煙/その他:全席禁煙。店内は落ち着いた和の空間。隠れ家的な佇まいも魅力
予約:可(電話やTableCheckなど経由)
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