福岡・博多にある「鮨 さかい」。

2020年12月訪問
本日は2回目の「鮨 さかい」へ。
周りの鮨好きが行くもんだからどうしても行きたくなって。
ということで羽田空港から2時間かけて福岡県へ。
福岡のいいところは空港から都心の博多駅まで近いってこと。
最寄りの中州川端駅も空港からだと4駅で着きます。そこから徒歩3分位のアクセスの良さ。
相変わらず靴を脱いであがるスタイル。
全員が揃った所で堺大将が現れご挨拶。
こんなきっちり挨拶してくれる店を知らない。
同時スタートだからこその一体感。
こちらとしても身が引き締まる思いだ。
堺大悟大将

その日の全てのお客さんの名前を覚え一人一人にちゃんと話しをふる。相変わらず感心するくらい徹底したおもてなしの精神。
「遅いよ」
大将がお弟子さん達に指摘した。決して声を荒げることなく。
その瞬間、店は独特の緊張感と興奮に包まれ、お弟子さんたちの動きは加速する。
なんたるバイブスだろう。
この瞬間に立ち会えてる事に興奮するばかりだ。
お弟子さんには技術だけではなく「おもてなしの精神」を教え込む。
つまりこの方はなるべくして一流になられた方なんだろう。
以下、いただいた料理。
鱈の白子
トロンと舌を優しく覆う白子はひたすら綺麗でまっすぐな旨味。
雑味皆無でとことんクリア。
蛸

志賀島。蛸の食感は残しつつも香り強くシンプルながらもきちんとした仕事を感じる一品。
松葉蟹

塩茹でし味噌と和えたシンプルなもの。蟹の王様だけあって甘み旨味がギュッと凝縮されている。
蟹の香りと花穂紫蘇の爽やかさが綺麗な相乗効果。
香箱蟹

外子のプチプチ感、切りたてのシャリの酸が印象的。
シラカワ、牡丹海老

福岡の一週間寝かしたシラカワは身がもつ力強い旨味と香り、皮目の香ばしさがとにかく上品。
北海道増毛の牡丹海老は脱水による強めのねっとり感に牡丹海老独特の濃い甘み。
虎河豚

福岡の虎河豚、島根のあん肝。
余市のあん肝とは違い幾分ワイルドが故にソースとしてはパンチのある仕上がり。
もったり、ねっとりとした肝酢が虎河豚の甘味を引き立てる。
ネギの香りもいいアクセント。
食べ終わったら掃除用のワカメを入れてくれる。
生イクラ

グニャっと溶ける様な皮に卵の甘み、そして柑橘が爽やか。
ヤイトガツオ

皮目に塩を当て藁で叩いた塩叩き。
口に入れるとフワッと藁のスモーキーな香り、赤身肉、そして脂の甘みはどこか中トロにも通ずる。
薬味としては強めの辛味大根、ポン酢もこの脂に負けていない。
甘鯛の若狭焼き

山口県萩。しっとりとほぐれ、皮目の旨味を感じながらも後に残る余韻はひたすら贅豊。
日本酒の甘みを纏わせ、さらに炭の香りを。
ガリ

酸、辛。甘さはほぼ感じない脂切のいいガリ。
カラスミ
箸休めとして。贅沢な箸休め。
平目

対馬二キロ。とにかく昆布による香りの余韻の長いこと。
赤酢のシャリは完璧な形を保ちながら口の中であっという間にほぐれ、タネと混ざりあう。
うまい。この一貫食べただけでやっぱり凄い店だと確信する。
鰤

氷見。一週間寝かせたもの。
個人的に鰤はクドいのであまり得意ではないのにこの日の鰤は凄まじかった。
上質なトロにも引けを取らない身質、媚薬的淫靡な余韻、赤酢のシャリとの調和も完璧。
もうずっと口に含んでいたいくらい。
小肌

天草。しっとりと、脂は控えめ香り良し。
大間の鯖

大間。むっちりとした赤身肉を噛みしめると鯖の上品な香りが鼻腔をくすぐり、じんわりと脂が滲む。
身肉から出た濡れ感に舌を絡ませシャリとの調和を楽しむ。
鮪はやま幸から。大間の延縄。

赤身
この日の鮪の中で最も印象に残ったのがこの赤身。
季節柄、酸は控えめだがこれほどまで淫靡なほど鼻腔を刺激してくれる香りにはなかなか出会えない。
中トロ
血合いぎし3サク目の中トロ。香りのインパクトは先ほどの赤身に軍配が上がるが甘味は強烈。
そして赤酢シャリとの相性の良さに意識がいく。
大トロ
砂ずりから3サク目の霜降り。
ねっとりとしてシャリの温度と口内温度であっという間に蕩けていき脂が一瞬にして舌を覆う。柔らかい筋も旨味となる。
「鮪が美味しいのは仲卸のおかげなので」と謙遜する大将。
車海老
天草。秒単位で一人のお弟子さんが海老を茹でる。
そして次のお弟子さんが素早く殻をむき、大将へとバトンパス。相変わらずのチームワークの良さ。
しっとりとして肉厚。火入れによる甘味も強くシャリとの馴染みもいい。
まさに理想的な茹で上げ。
平貝

岡山。平貝というと火入れにより甘さを出す のが定番だがここは脂切という意味であえて生で。
シャクシャクの食感。低温度帯なので自然とシャリの酸に意識がいく。
バフンウニ
昆布森の塩水バフンウニ。
水分が多いので雲丹としての余韻は短し。
だがその分海苔の香りの余韻は長い。
味噌汁

穴子
対馬。恒例の柚子シャッ。脂ものりかなり状態よくフワトロ。濃厚なツメ、柚子の爽やかさ、そしてシャリの酸。
鮪の手巻
鮪の甘み、旨味、赤酢のシャリ、さらに上質な海苔の香りがプラス。改めて鮨さかいのシャリが鮪に合わせて作られてることがよくわかる。
玉子焼き
芝海老と大和芋の玉子焼き。
干瓢巻
最後はキリッと醤油が立った干瓢巻きで締める。
お会計約39,000円。
訪問は2回目だが驚くことに今回の方が感動させてもらった気がする。
作り手の想い、客への感謝、徹底したおもてなし、全てが素晴らしい。
握りは案の定非の打ち所がなく、緩急ついたコースは「おまかせコース」の意味を再確認させてもらった。
流石は海味の故・長野充靖氏の一番弟子である。

ごちそうさまでした!
2019年10月
「鮨 さかい」の予約は7月に入ってすぐにした。
3ヶ月先の10月の予約を取る。
そしたら7/9にミシュラン三つ星と発表。
なんなんだ今年は。「こま田」の時も、「睦月」の時もそうだったが予約した途端ミシュランを獲得していく。
11時5分福岡空港到着。空港から地下鉄で最寄りの中洲川端駅まで10分。
空港から博多まで電車で5分という驚異的なアクセスは福岡の便利な所だ。店には12時ちょい前に到着。

すでに店が開くのをみんな待っている。12時ちょうどに開店。
なんと靴を脱いであがる造り。
リラックスして欲しいという思いがあるようだ。

堺大悟大将が登場し改まってご挨拶される。
空気作りがうまい。
もうこの時点でもってかれてる。
ちなみに堺大将は東京外苑にある「海味」出身。
海味の中村龍次郎大将は堺大将の後輩にあたる。
まずは福岡県「田中六十五」

銀杏
熊本玉名の銀杏でほんのりビターな味わい。
煮蛸
志賀島の煮蛸。かなり柔らかく口内でほぐれるほど。柚子の香りも爽やか。
毛蟹
北海道噴火湾の毛蟹。
蟹味噌と和えて土佐酢のジュレと共に。
ジュレの少し強めの酸がさらに蟹の上品な甘みを引き立てる。
虎河豚

もっとも人気があるおつまみだそうだ。
福岡の虎河豚と島根のあん肝で作った肝ポン酢。
口いっぱいにあん肝のマイルドな味わいが広がる。虎河豚と肝ポン酢の相性も抜群。
ワカメ

お掃除用のワカメ。
余った肝ポン酢につけて。
秋田県「一白水成」
いくら

岩手三陸。プチッという食感ではなくグニャっと。皮が柔らかい証拠。
あまり味は染み込ませず卵の味を堪能。
まるで上質な卵黄の様だ。
鮑
唐津。の鮑を蒸したもの。山葵と塩でいただく。特に香りが良い。
あん肝と鮑の肝
北海道余市のあん肝を炊いて裏ごししたものと先ほどの鮑の肝。あん肝はきめ細かさと嫌味のない甘みが特徴。酒と少しづついただく。
肝はチーズの様で臭みも一切ない。
ボタン海老と赤雲丹

北海道の増毛町のボタン海老を漬けてタンタバーバラの赤雲丹を叩いてかけたもの。
サンタバーバラの赤雲丹はこれからハイシーズンになるようだ。
ねっとりと甘みの強いボタンと赤雲丹は間違いない組み合わせ。
最後残った雲丹にシャリを入れてくれた。

シャリは赤酢ですね。雲丹との相性がいい。
甘鯛の味噌焼き

福岡の甘鯛を味噌焼きにしたもの。
上品な香りで特に皮の部分が焼き加減といい脂がたまらない。
松茸の土瓶蒸し

岩手の松茸を昆布出汁で締めたもの。
とにかく香りが凄く出汁がよく出ている。
栃木県「鳳凰美田」
ガリ
辛味、酸味が強く甘みは控えめ。
本日の雲丹は北海道礼文島のムラサキウニ。
平目

対馬の2.2キロ。一日寝かせたもの。
程よく脱水され甘みが残る。
シャリは赤酢が二種類と塩。
出身の「海味」よりも酸と塩は強めで輪郭がはっきりとしたもの。
真鯛
昆布締め。身質柔らかく上品な香り、シャリの酸もいい。後半から甘みが広がる。
鰆

この日のナンバー1で衝撃的な一貫。
対馬の7.7キロの鰆を一週間寝かせて平漬けにしたもの。しっとりなめら。香りも強くあまみ完璧。
ここまで香りが強い鰆ははじめてかも。
酢飯との絡みも完璧でネタが口内で溶けた後はシャリの旨味が残る。
小肌
天草の小肌で二枚付。
皮は少し硬め。まだ脂はそこまでのっていないのであえて水分は少し残してある。
福井県「黒龍 吟醸 ひやおろし」
鮪はやま幸
赤身
平漬け。香りがとても強く旨味も強い。
ねっとりとなめらかで噛めば噛むほど最後の盛り上がりをみせる。
中トロ
血合いぎし近いのにここまで脂がまわっているのは珍しいらしい。
甘み、香り共に素晴らしく余韻がとても長い。
まさに理想的な鮪。
大トロ
筋もストレスなくとろけていく。
あっという間に口内で溶けその余韻でシャリを楽しむ。
鯖
本日のお気に入り二貫目。
対馬の鯖。しっとり赤身系で余韻は鮪に似てる。
みっちりとした身質で噛めば噛むほど旨味と香りが増す。
脂推しでなく噛むほどに味がでるのがいい。
シャリも負けてない。
車海老
地物の車海老。
熱々を提供する為、握る直前に一つづつお弟子さんが素早く殻をむいて大将にサーブ。
チームプレーがないとできない。
プリプリっと心地よい弾力。
赤酢とのシャリとの相性もいい。
べったら漬け
口直しに。柚子の香りがついてる。
宮城県「日高見」
キタムラサキウニ

北海道礼文島。ねっとりとして甘みも強くシャリの酸が際立つ。
味噌汁
塩分は控えめで出汁を強調したもの。
ボタン海老の出汁がとてもいい。
穴子
対馬。かなりデカイ。
溶け具合もハンパじゃなく圧倒的な食べ応えと旨味でノックアウト。
ネギトロ巻き
あえてネギをザックリとカットすることでシャキシャキっとした食感と香りを堪能。
ネギトロってネギを細かく切るのが定番だと思ってた。
干瓢巻き
甘くなくて自分好み。
玉子焼き
芝エビと大和芋の江戸前の玉子焼き。
中心にいくにつれやわらかく、海老の風味もいい。
コースは以上で一通り。
お会計は35,800円。

つまみは非常に満足度が高く素材の特性を活かし足し算になりすぎない、やりすぎないのが好印象。
握りも形が綺麗である程度しっかり目に握られている。
食べた後の余韻も長いのが驚きだ。
それに堺大将の料理の説明も非常に巧み。
普段カウンター鮨を食べ慣れていない人にもちゃんと理解しやすい味の変化、香りの流れをさりげなく説明される。
そしてそこに嫌味はない。
本気で大将はネタに自信を持っているのが伝わる。
そしてお客さんみんなに声をかけしかもそれが絶妙な距離感。
来た人は全員いい印象なんじゃないかな。
ただ美味い鮨を握るだけでなくこう言ったホスピタリティの部分もミシュラン三つ星の評価に繋がっているのかな。
これまで三つ星は「鮨 さいとう」「こま田」と三軒目だがどの店も共通しているのがこのホスピタリティ。
料理が美味いのはもはや当たり前の話でプラスαの部分って実はかなり大事でこれを出すのは店側のセンスも多分にあるのかも。
素晴らしい食事と経験をした。ごちそうさまでした!
この動画を観る⬇️












































コメント