東京駅から米原駅まで新幹線で2時間ちょっと。そこからJRに乗り換え長浜駅まで10分程。
駅からは徒歩5分で「京極寿司」に着く。
創業60年以上、商店街の中で三代にわたり続く老舗の鮨屋。
関西鮓と江戸前鮨の融合であるまさに近江前がいただけるお店。
仕入れは主に金沢近江町市場からということで関西でありながらも時期によっては北陸のネタも味わえる贅沢さがある。
大将:眞杉国史(ますぎ くにちか)さん
札幌の「すし善」時代に知り合った福井県の「鮨 十兵衛」塚田大将は兄弟子にあたり、家業を継がれる前に十兵衛に入り修練を積む。
お話好きで、鮨に対しての情熱は並大抵ではない。
地の利を活かしたネタに江戸前鮨をプラスさせたここでしか食べられない近江前がいただける。
コースは「おまかせ鮨割烹 11,000円」
以下、いただいた料理。
鯵、琵琶鱒のなめろう、煮蛸
福井の鯵は梅肉、大葉、浅葱を巻いたもの。塩〆で程よい脱水と旨味を残す。
琵琶鱒の贅沢ななめろうに昔ながらの江戸前の仕事の蛸は柔らか煮は甘辛の味付け。
カワハギ
活〆でプリッとした身に肝の濃い旨味。肝醤油と黄身ポン酢と共に。
鰹・しめ鯖
瞬間燻製。鰹は段々と脂のってきてむっちりねっとりとした赤身とのバランスがいい。
鯖は逆に脂乗り過ぎずしつこ過ぎなくてしっかりと身を堪能できた。単体ならこの位の脂加減がベスト。
鱧と無農薬野菜の天ぷら
鱧、オクラ、カラフル人参、人参の葉。
特に人参は味が濃くて甘く雑味もありません。
これらの野菜は単なる鱧の添え物でなくメイン食材級。
天然鰻
琵琶湖の天然鰻がいただけるとはラッキーなタイミング。関西なので地焼きでパリッと、そして中はトロンと。
サイズは大きくないけどちゃんと脂まわりもいいです。
鮑の姿煮
水、塩、酒だけで柔らかくなるまで煮詰めた鮑。上には肝を。
高温により鮑の香りも立つ。握り以外で鮨屋でこんなに高温なのが新鮮。
漬け鮪をなんと昆布〆。
これは後ほど。ではここから握りに。
赤烏賊
外の硬い皮は削いで、中の部分を叩いてあり、後半から烏賊本来の甘味が強くなっていく。
印象的だったのがシャリの甘さ。
米酢の酸味に砂糖が入った京極寿司の昔ながらのシャリは手に取ると形を保ちながらも口の中でハラリと解けネタと調和。
もっちりとして温度はやや低め。一斉スタートでなくてもクオリティを担保する為の温度帯の様だ。
金八
本名「近目金時」。キントキダイの仲間。
滑らかな触りとアッサリとした身質なのでよりシャリの旨さに意識がいく。
かなりジューシーに仕上がってます。
甘海老
氷で一晩寝かせプリッとフレッシュな食感かと思いきやねっとりともして甘味もかなり強い。
シャリの甘さが一層引き立ててるような。
甘み強く、辛、微酸。
天然琵琶鱒
醤油に柚子ポン酢を加えた。
トロンとした舌触り、品のある鱒の香り、脂の甘み、あとに残る柑橘の爽やかさ。
ひたすら余韻が長い。
白子茶碗蒸し
古株つや子さんというチーズ職人のチーズ入りというかなり思い切った酒肴。
確かに卵とも出汁とも相性がいいのでしっくりくる。鱈の白子のクリーミーさでさらにコクがマシマシ。
地元で活躍する生産者を応援したいという大将の想いが伝わってくる。
赤身の漬け
塩釜の5日目。
先ほどから昆布の上で寝かせていた漬け。
もちろん昆布時間は短いので旨味というより後からほんのり昆布の香りを楽しむと言った感じ。シャリの甘味と漬けが何ともいえない調和を生み出す。
中トロ
こちらは昆布締めでなくノーマルの鮪を岩塩で。シンプルに塩で脂の甘みを引き立てる。
小肌
仕上がりはジューシーに。
甘シャリなので朧もなし。あとから柚子の香りがさやわかに。
バイ貝
石川。こちらは寝かさず新鮮なもの。
磯の香りに海苔の風味、歯応えがいい。
しめ鯖
4枚漬けにすることで表面積を増やし、より鯖の味わい、脂を感じられるようにする狙い。
シャリとのバランスというより口いっぱいしめ鯖を堪能する。
イクラの2色丼
琵琶鱒のイクラはプチッとして割とあっさりしてます。
キタムラサキウニ
透明感ある甘み。
また滋賀に来たことを思い起こさせる一品。
甘シャリなんだけど高温の為、酢飯の酸味も際立つ個性的な味。
トロタク
大将が「すし善」時代に学んだ一品。
理屈抜きでうんまいです。
玉子焼き 2種類
こちらは「鮨 十兵衛」から教わった江戸前と関西の出汁巻。江戸前には甘海老入りでしっとりと火加減絶妙。正直どちらも甲乙つけがたい完成度。
抹茶のアイスクリーム
「すし善」時代、また魚を触らせて貰えなかった頃に覚えたデザート。
なんか一つ一つが無駄じゃないんだなと。
本日のお酒
お会計は14,300円。
琵琶湖でとれるネタ、関西、北陸のネタを使い関西鮓と江戸前鮨を学び、さらには「すし善」「鮨 十兵衛」での経験をふんだんに活かしたコース。
極め付けは京極寿司の甘みのある米酢のシャリがなんとも言えない個性を放ちまさにここでしか食べられない握りであった。
ごちそうさまでした!
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