外苑前のフレンチレストラン「プレヴナンス」へ。
場所は外苑前駅より徒歩3分。
オープンは2013年11月。
「Prévenance」プレヴナンスの原義は
「先を見据え、行動すること」。つまり、既にある現状ではなく、未来を思い描き、そこから何かを表現してゆくこと。
ということで料理は古典を踏まえながらも静井シェフのフィルターを通した表現を皿に盛り付けていく。
ディナーコースは19,800円。
メニューペーパーはなく、最初にザッとサービスの方から本日の料理を説明してくれる。
結構早口の説明なので集中してないとあっという間に聞き逃してしまうので注意。この辺り、説明を聞いてしっかり理解できる人が一体どれくらいいるんだろう。
というかメニューペーパー用意しない理由ってあるのかな。
料理はまず最初に驚かされたのがフィンガーフードの豊富さ。ここまでの種類を出してくる店に出会ったことがない。
料理は古典を主軸に春の苦味、酸味、旨味を展開させ、「大地と海の恵み、自然のもつ力強い生命力を、シンプルに伝えたい」というシェフ想いの通り、確かに味付けこそされてはいるが素材の旨味をまっすぐに楽しむことができる皿の数々。食材にこだわりがあるのがよくわかります。
全体的な盛り付けのセンスやバランスは凄く勉強になる部分があった。
個人的にはお椀的要素のあるコンソメ、フォアグラ、鴨節の皿がお気に入り。
以下、いただいた料理。
グジェール
シュー生地にチーズを加えたグジェール。
中に千葉県のリコッタチーズを挟んで。
鶏の白肝のムースとプラムのコルネ
アオサ海苔と胡麻のチップス
コルネ型(円錐型)の生地にふくよかな色濃い旨味の白肝のムースを。使われる塩も割と強め。
アオサ海苔のチップスはバターなどで旨味を持たせ香りと旨味を同時に楽しませる。
外はサクッと、中はホクホク。
味わいに嫌味はなく、フライと言ってもアッサリしてるのでパクパクいけそう。
アボタク
トロタクならぬアボカドといぶりがっこ、キャビアを合わせたもの。
キッシュ
中には玉葱、グリュイエールチーズ、上にはリンゴのブランデーで漬けて塩漬けをした自家製カラスミをかけて。
ホクホクとして濃厚な旨味とワインのコラボがたまらない。
猪と鴨のリエット、ジャンボンペルシェ
上はカリカリに仕上げられた猪と鴨のリエット。味わえば程よい野生味を感じられる。
下はブルゴーニュの伝統料理ジャンボンペルシェというハムとパセリのゼリー寄せテリーヌ。
という事でアミューズとしてはかなり多い7種類。だいぶ攻めてます。
菊芋のスープ
下は玉葱のフラン、菊芋を使った暖かいスープの二層構造。中には帆立の貝柱のグリル、上には菊芋のチップスを。
もったりとしたバターの主張強めのどっしりとしたスープに菊芋や玉葱の柔らかな甘みが印象的。
自家製ブリオッシュ
マカジキ
マカジキはグリルし藁で燻してあるがレア気味に仕上げられている。鮨屋で出てくる様な寝かせた感じはなく幾分身はしっかりと力を保持している。
そこに赤玉葱、大根、グリーンピース、白魚のフリット、はっさく、菜の花、アンチョビのソース、西洋山葵と盛り沢山。
はっさくによる清涼感やアンチョビの塩気、菜の花の苦味がさらに皿を盛り上げる。
色々乗ってるがそれぞれの食材が喧嘩することはない。なるほど、これが「大地と海の恵み、自然のもつ力強い生命力を、シンプルに伝えたい」というシェフのやりたい事なのかも。
烏賊墨のクスクス
下は世界最小の粒状のパスタ「クスクス」を烏賊墨で仕上げたもの。
焼き上げた白烏賊や手長海老の濃い香りに塩レモンでメリハリを。
ホワイトアスパラガス、フォアグラ
牛のコンソメスープには国産の七谷鴨の鴨節、ホワイトアスパラガス、フォアグラを盛り付ける。
コンソメ自体割としっかりと旨味が感じられるものだがフォアグラなどを崩していけば油脂分や食材の香りがコンソメスープに溶け込んでいき味が徐々に変化していく。
この味のグラデーションはどこか日本料理の「お椀」を彷彿とさせ、一口目と最後とでは味が全然違ってくる。
これに細い麺なんか入れたら美味そうだな。
平目
島根の天然の平目にパン粉とチーズ、海苔バターをペースト状にして張り付けて焼いてある。
バター香り、塩味はハッキリとしてます。
貝出汁の泡状ソースの中には香り豊かな静岡の筍、甘味が魅力的な蛤、爽やかな山椒の新芽をアクセントに。
鹿肉
ソースは胡椒の効いた甘酸っぱい王道のポワブラードソース。
付け合わせは筍、新玉葱、新じゃがいもなど。
時期的にも脂が抜けてだいぶあっさりと。
鹿肉特有のクセもなく少し物足りなさは感じる。
パンナコッタ
パンナコッタ、苺、苺のムース。
檸檬のタルト
タルトにアールグレイ風味のガナッシュ、レモンのクリーム、柑橘、ミントのシャーベット、メレンゲ、食用のバラのアリッサム。
茶菓子
本日のお酒
お会計は約30,000円。
国産の食材を使いフランス料理の調理法で仕上げる静井シェフの料理は一見足し込ん出るようにもみえるが味わってみると実に凛として誠実さがある。
その理由を考えてみるとソース一色になっていないからだ。
フレンチにおいてソースが大事な要素なのは百も承知だが、ソースはあくまで素材を引き立てる一つのエッセンスであり古典フレンチの様なソースが主役!にはなっていない。
そこには日本食材の魅力をフランス料理を通して未来に伝えたい。そんな想いがコースから感じ取れた。
ごちそうさまでした。
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