東京・人形町にある天ぷら屋「天ぷら やぐち」。

東京・日本橋人形町。
老舗の飲食店が立ち並ぶこの街に、天ぷらの名店がある。
その名は──「天ぷら やぐち」。
派手な看板もなく、店先も静謐そのもの。
しかしこの店、食通たちの間では予約困難店として知られ、全国からわざわざ足を運ぶ人も少なくない。
2023年度版の ミシュランガイド東京 では一つ星を獲得。
「江戸前天ぷらの王道」を、圧倒的な技術と緊張感で体現するお店だ。
「天ぷら やぐち」ってどんな店?
オープンは2020年7月1日。
店主は、谷口一樹氏。
長年、天ぷら界の巨匠・ 早乙女哲哉 氏のもとで22年も修業した人物だ。
早乙女氏といえば、名店「みかわ 是山居」の創業者として知られる天ぷら界のレジェンド。
その技術と精神を直系で受け継ぎ、独立して自身の暖簾を掲げたのが「天ぷら やぐち」である。
後輩には「天ぷら あらたみかわ」「天々蕎々 うめ庵」などがいます。
「みかわ 是山居」出身者の天ぷらを幾度といただいてきましたが、谷口氏の天ぷらはなかでも圧倒的な高温で揚げます。
衣はかなりハードでパリッと揚げ、旨味を閉じ込めながらも香ばしく仕上げるスタイルが特徴。
2025年10月訪問
食通の方ならこの集合写真に写っている方達をご存知でしょう。

・「青空 (はるたか)」高橋青空 親方
・「なか條」中條清隆 親方
・「寿司栄」佐藤賀津廣 親方
・品川イッコー
・「鮨處 かざま」風間裕二 親方
・「鮨 おばな」尾花輝 親方
・「鮨 石島」石島吉起 親方
・「鮨 あい澤」相澤博久 親方
矢口さん、さぞやりにくかっただろうなぁ…笑













なんでも好評だった昼の天丼、「高い」と批判があったみたいで「もうやってられん!」とやめられたそうです。
冷凍のもの一個も使わず、穴子だって、イカだって、一品一品仕込んでるのにも関わらず、チェーン店との値段と比べられたのでしょうか?
そう言ったリテラシーの低い人達がよく理解もしようとせずに批判できてしまう、いまのレビューサイトなどのあり方にははだはだ疑問です。
あと過去一、穴子を割くシーンがカッコよく撮れたのでこの記事にサムネにします。
2023年11月訪問
谷口一樹さんの天ぷらを食べてると、改めて江戸前の良さを知ることができる。

いま低温天ぷらが流行ってるしそれはそれで天ぷらの幅が広がるのは素晴らしいことなんだけど、谷口さんの天ぷらはひたすら王道である。
勿論、修行先のみかわの技術や哲学を踏襲してるが、「みかわ是山居」の天ぷらともまた違う。
何よりも素材の味が力強い。こんなに素材の味をフルに楽しませてくれる職人はなかなかいない。
使う油は綿実油と胡麻油。
みかわよりも胡麻油の比率は低めだ。
王道の中にしっかりと谷口さんの個性を出した天ぷら、きっと誰しもが唸る事だろう。
この動画は一番下のリンクから❗️
・蕪とズワイの餡掛け

まずは優しい味わいの餡掛けで胃袋を温め、天ぷらへの臨戦態勢を整える。
・車海老

かなり揚げる時間は短く、短期決戦。
サクッ、プリっと中は半レア気味で甘さがしっかりと引き出されてます。
正確な温度で決め打ちしてこの味になるってやっぱりプロフェッショナルだとこの海老だけで思いました。
・2本目

油の温度は低くなっているため、先ほどより1秒だけ長く揚げたもの。
海老の味も濃くなってます。
・海老頭

長めに揚げることでかなり強烈な海老香が鼻腔内に爆発する。
・アオリイカ

衣は薄く、烏賊は厚く。
烏賊の味の輪郭がはっきりクッキリと。噛んでるとナチュラルな甘味も出てきます。
・スミイカ

食感にストレスがなく一直線。
「墨烏賊は歯切れが命」をしっかりと体現してます。
・大黒舞茸

短期間で高温で一気に揚げる。
香りもしっかりと籠っており、ジューシーさとにくにくしい食感がぎゅっと閉じ込められている。
・鱚

ホクホクで香ばしさもたまりません。
・メヒカリ

サクサクトロトロ。この抑揚がたまらない。
・メゴチ

だいぶ身が締まってる。肉肉しい食感。
・赤茄子

めちゃ熱なんだけど空気の様に軽く、そしてだいぶジュースが出てくる。
・蛤

かなり高温で揚げた蛤はバキッと力強い衣に噛めば噛むほどミルキーで甘さが際立つ秀逸な仕上がり。
・本ししゃも

カペリンではなく本物のししゃも。味わい濃厚。
・銀杏

・雲丹の大葉焼き

みかわよりも早めにあげ、トロトロ感を演出。
・穴子

旨み、味わいがしっかり担保されてます。余計な臭みは抜け、穴子天の完成系がここにある。
・甘鯛

かなり長く揚げていた甘鯛。旨み、味が濃い。ここまで味が濃い甘鯛に出会う事はなかなかありません。
・天茶

前回は天丼だったので今回は天茶。出汁のおかげで爽やかに青柳のかき揚げをするスルッと。
改めて、ここまで素材の味が力強い天ぷらに驚く。二年ぶりだけど前回よりもはるかに感銘を受けました。また季節をかえて。ごちそうさまでした。
2021年11月訪問
店主の谷口一樹さんは天ぷらの神様と言われている早乙女哲哉氏の元で20年以上にわたり研鑽を積み2020年7月人形町に「天ぷら やぐち」をオープンさせた。

場所は人形町駅から徒歩5分ほど。直ぐ近くに同じ天ぷら屋の「日本橋 蕎ノ字」がある。

ランチの天丼が安くて美味いと評判だが天ぷらはやはりコースでいただかないと。という事で19時に予約。どうやら時間制ではないみたい。
店内、見渡すととても綺麗に掃除されているのに気づく。ピカピカの揚げ場、単純に気分がいい。流石です。
大将: 谷口一樹さん

非常に穏やかな方で人当たりも良くはじめての人でもとてもリラックスして過ごせます。
修行先は「みかわ」のみ。18歳から修行に入り、早乙女氏のもとで23年間にわたり「みかわ」の天ぷらを学んだ。
単に受け継ぐだけでなく自身の天ぷらを磨くことも怠らない。
以下、いただいた料理。
蕪とズワイの餡掛け

最初の一品は蕪と蟹を使った餡掛けで胃を温め、天ぷらを迎え入れる準備を。
車海老

サクッ、プリっと海老の弾力を感じ半レア状態のまま引き出された火入れによる甘さを堪能。
あぁ、旨い。見事。これぞ海老天の理想ですよ。

車海老2本目
尻尾まで美味しくいただきました。

海老頭
サイズも大きく繊細さよりもバリッと豪快に。
まずは香ばしさ。身の旨味、味噌のコクと海老天の全ての要素を満たす。
特に海老の香ばしい香りはいつまでも余韻に浸れるほど香りがいい。
鱚

高温でしっかりと揚げられた鱚は身はふっくらと柔らかくそして繊細に。
江戸前晋作の様にトロトロではないがこれはこれで王道の旨さがある。
大黒舞茸

新潟。かぶりつけばジャワっと舞茸エキスが滲み出る。衣でちゃんと舞茸汁、旨味、香りがコーティングされてる。
墨烏賊

ねっちりとした気持ちいい食感。
雲丹の大葉巻き

雲丹にはなるべく火を入れない様に大葉でコーティング。おかげで雲丹は溶ける様にトロットロ。

キノコのカラシポン酢和え
口直し。
ヒゴムラサキ

熊本の赤茄子。大将より「相当熱いので食べるの待ってください」とストップがかかるが熱さも旨さと思ってる私はパクりと。
かなりサクサクに揚げられ液状化した茄子は旨さと危険の隣り合わせ。
皮を剥いてコーティングする意味でたっぷりと打ち粉をつけてある。イメージとしては焼き茄子か。

蛤
ワカサギ

淡白な魚だけど香ばしく揚がってます。

銀杏
衣は薄く食感と香りを残す。
牡蠣

大船渡の牡蠣。こちらは厚めの衣でしっかりと牡蠣の旨みを封じ込める。

メゴチ
カリッとしっかりめに揚げられておりとにかく香ばしさが印象的。
メゴチはクセのある魚なのでそれを消すために香ばしなる様にあげているんだとか。
穴子

鉄箸でサクッと割る演出はこちらでも健在。
割れた瞬間穴子から湧き出る湯気と香ばしい香り。


皮と身の間のクセを香ばしさに変える。
クリスピー感にホクホクで脂ののった穴子。
蒸して焼く、まさに師の天ぷらここにあり。
食事は天丼か天茶の2種類から。
本日は胃が元気なので天丼を選択。

食事

蓋をとると甘辛のタレのいい香りと共に小柱の天丼が姿をみせた。
割ってみると中はトロトロだ。
印象を変えるため揚げ方を変えてるんだ。
卵ご飯を食べるようにサラサラっといただきました。

赤だし

ラフランスのシャーベット
天ぷらの油を冷たい爽やかなシャーベットで流す。コースはこれにて。
お会計はビール、日本酒数杯飲んで22,000円。
基本、タネは寝かさず鮮度重視。脂はみかわ時代と変わらず2種類をブレンドだが配合は変えてある。
脱水とメイラード反応による香ばしさ、蒸しの技法は早乙女氏の天ぷらを綺麗に継承。
極端な高級食材は使わない。あくまで受け継いだ技で勝負。
王道でありながら普遍的な天ぷらの旨さを改めて堪能した。
ごちそうさまでした!
この動画を観る⬇️
店舗情報
店名:天ぷら やぐち(Tempura Yaguchi)
所在地:東京都中央区日本橋人形町2-9-7
アクセス: 東京メトロ日比谷線・都営浅草線「人形町駅」A3出口より徒歩約4分
電話番号:03-3527-3701(050-5384-7505も掲載)
席数・形式:8席(カウンターのみ、完全禁煙)
定休日:木曜(不定休との記載もあり)
営業時間:
昼 12:00~14:30 / 夜 18:00~22:00
最終入店 20:30(夜)
価格帯:おまかせコースのみ、ディナー・ランチともに約 ¥26,000から
支払方法:クレジットカード可(VISA/JCB/AMEX/MASTER)
子どもの入店:小学生以下不可









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