東京・四ツ谷にある鮨屋「すし匠」。

四ツ谷で鮨を食べる夜。
最初から最後まで途切れず続く流れがあり、握りだけでも、つまみだけでも終わらない。
ひと皿ごとにリズムが変わり、気づけばその店のペースにのまれていた。
「すし匠」ってどんな店?
四ツ谷に店を構える「すし匠」は、1989年に中澤圭二氏が創業した江戸前鮨の名店。
東京・二番町に前身となる「すし匠 さわ」を出店し、1993年に現在の四谷に移転。
最大の特徴は、つまみと握りを交互に出す独自の流れの構成。
現在は二代目・勝又啓太氏がそのスタイルを継ぎながらも、素材へのアプローチを現代的に進化。
赤酢と白酢を使い分けるシャリ、熟成を丁寧に重ねたネタ、器・温度の管理まで精緻に組み立てられている。
この店が特別視される理由は数多くの独立店を輩出してきた源流であること。
2000年台には中澤親方の元で修業を積んだ弟子たちが「すし匠 まさ」、「すし匠 齋藤」など暖簾分けの店を開店。
すし匠のDNAを受け継ぐ店は握りのテンポ、つまみの挟み方、ネタの扱い方まで、鮨界の流れそのものに影響を与えてきた存在と言える。
見出し:勝又啓太氏──すし匠の哲学を継承する二代目

1985年、静岡県裾野出身。
幼い頃から料理の道を志し、辻調理師専門学校へ進学。卒業後は京都「嵐山吉兆」で約2年半勤務し、基礎を固める。
食べ歩きの中で出会った「すし匠」に感銘を受けて入店し、初代・中澤圭二氏のもとで12年間の修行を重ねる。
2016年6月、すし匠の二代目店主として就任。伝統的な江戸前技法と中澤氏のスタイルを踏襲しつつ、勝又氏らしいセンスと研ぎ澄まされた仕事でつまみと握りが交互に進む唯一無二の世界観をさらに進化させている。
2025年5月訪問
そう言えば「すし匠」出身の店には何度も訪れてはいるが本家はまだ訪問したことがなかったなと思い初訪問。

1989年創業だからまぁまぁ歴史がある。
さて、「すし匠」と言えば鮨だけ楽しむ店ではない。握りとつまみが交互に出てくる少量多皿で呑兵衛には最高の店である。
店内は凛として、気合いの入った接客。勝又さんは自分と同い年ということで親近感湧きます。
他の「すし匠」系の店では余裕で30品くらい出てくるが、こちらは一般的な鮨屋と品数が変わりません。その代わり追加ができるスタイルだ。少食の自分にはこちらの方がありがたいかも。
以下、いただいた料理。
・海ぶどうとワカメ

こちらは「すし匠」では定番の一品。海ぶどうと鮨って合間見えない組合せだけどすっかり定番になりましたね。
・蛤の茶碗蒸し

蛤のコハク酸に菜花餡が沁みる。
・春子鯛

握りは粕酢と米酢のブレンド。
・真鯛の刺身

勿論香り抜群であります。できればこれは握りで食べたい。
小肌

蛸

イサキ

脂がガッツリ乗っており、香りも凄まじい。やっぱり5月のイサキは絶品だ。仕込みが凄いのか。
鰹

この時期らしくクリアな旨味。
・平貝の磯部焼き

平貝は噛めばしっかりと味が跳ね返ってくる。この貝はやはり火入れこそ活きる貝だ。
さらに海苔の香りが交わりシンプルな構成だがしっかりと完成された味覚となっている。
・墨烏賊

厚みのある墨烏賊。上にはザックリと包丁を入れてシャリとの調和をはかる。
・メヒカリの一夜干し

いいねぇ、凝り過ぎない肴。皮目は香ばしく、シンプルに旨い当て。

・鰯

酢で15秒だけ〆たもの。脂が甘く、酢〆により高級マヨ感とシャリが抜群。本日一番印象的だった握り。
・蒸し鮑


分厚いカット。香りも抜群。鼻が悦んでます。

・桜海老の手巻き

なぜ桜海老?そう、勝又さんは静岡出身なので。
海苔の香りと香ばしい桜海老が合うんです。逆になんで他の鮨屋これやらないんだろ?江戸前じゃないけどせめて静岡の鮨屋はやるべきかと。

・中トロ

定置の舞鶴で厚くカット。
ふわふわで香りも抜群。見事なシャリとの調和。
これが鮨だよ。
・ノドグロ

焼き物。脂もしっかりとまわったもの。
・水茄子

ノドグロの脂を切る。
・車海老

火入れはレア気味。味噌のコクと旨味、甘さとバランスが素晴らしい。
・味噌汁

・追加 赤身

フワフワです。
追加 あん肝スイカ

「あん肝スイカ」とは、あん肝とスイカの奈良漬を組み合わせたすし匠のスペシャリテ。
鮨は何も江戸前鮨だけじゃない。新たな可能性を示してくれたのが紛れもなく「すし匠」であり、何より食事としての楽しさがある。
次の予約は2年後の2027年。それまで元気でいよう。ごちそうさまでした。
「すし匠」系のおすすめ店3選



店舗情報
・名称:すし匠
・住所:東京都新宿区四谷1-11 陽臨堂ビル1F
・最寄駅:四ツ谷駅(徒歩4分)
・営業時間:
月・水・金 11:30〜13:30/18:00〜22:30
火・木・土 18:00〜22:30
・定休日:日曜日
・席数:14席(カウンター11席、個室・座敷3席)
・支払い方法:カード可(JCB/AMEX/VISA/Diners)※ランチでは使用不可
・予算:¥50,000〜¥59,999
・備考:全席禁煙、子供可、隠れ家レストラン
・オープン日:1989年(1993年に現在地へ移転)








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