愛知・名駅にあるもつ焼き屋「のんき屋」。

名古屋駅の喧騒を抜けて徒歩10分。
昭和の面影を残す西区・名駅二丁目の一角に、70年近く愛される赤提灯が灯る。
その名も「のんき屋(のんきや)」——。
八丁味噌の香りと湯気が漂うこの店は、戦後から続く名古屋の味噌文化の象徴であり、
いまや名駅裏の聖地として、地元民と観光客を引き寄せる老舗酒場だ。
「のんき屋」ってどんな店?

創業は1954年(昭和29年)。
戦後復興の勢いが街を包む中、庶民が気軽に寄れるもつ焼き屋として誕生。
創業以来、名古屋特有の「味噌文化」と共に歩んできた。
現在は四代目が暖簾を継ぎ、炭火で焼く串と大鍋のどて煮が店の象徴。
店構えは決して派手ではないが、木のぬくもりと煤けた提灯が歴史を物語る。
カウンター越しに聞こえる鉄板の焼ける音、漂う香ばしい味噌の香り——
この空気感こそが「のんき屋」の最大のごちそうだ。
創業と歴史
昭和29年、初代が名古屋駅西口に「のんき屋」を創業。
当時は、出張帰りの労働者たちの胃袋を満たす小さな屋台から始まったという。
やがて戦後の復興とともに常連が増え、店舗を構えるまでに成長。
平成、令和と時代をまたいだ今でも、基本の味は変わらない。
四代目が守るのは「薄めない・甘くしすぎない・煮込みすぎない」という教え。
この三拍子が、「のんき屋」らしい濃厚ながらも飽きない味噌味を支えている。
名古屋らしい酒場の空気

26席ほどのこぢんまりとした店内は、いつも人で溢れている。
L字型のカウンターとテーブルがぎゅっと並び、夕方の開店直後にはすでに満席。
入口には立ち飲みスペースもあり、缶チューハイを片手に語らう常連の姿が定番だ。
壁に貼られた短冊メニュー、磨りガラス越しの光、そして、どて鍋の湯気が照らす赤提灯。
どこを切り取っても昭和がそのまま生きている。
この空間に流れるのは、肩の力が抜けたのんきな時間。
まさに名古屋人の気質そのものを映したような店だ。
名物料理
● 味噌串カツ
「のんき屋」といえば、これを外すことはできない。
濃厚な八丁味噌だれが衣にたっぷり染み込んだ串カツは、香ばしさとコクが融合した唯一無二の一品。
1本110円という価格も、創業時からの庶民派精神を感じさせる。
● どて焼き
大鍋でグツグツと煮込まれる味噌仕立てのもつ煮込み。
串に刺されたスタイルで提供され、とろけるような食感のモツに、甘辛い味噌がじんわりと絡む。
ひと口で名古屋の下町の風景が蘇るような懐かしい味わい。
● 味噌おでん
のんき屋のおでんは“味噌を添えて食べる”名古屋式。
大根や玉子に八丁味噌をたっぷりのせて食べれば、その濃さと深みが酒を誘う。
関東風の出汁おでんとはまったく別の世界観だ。
2025年9月訪問
まさに昔ながらの赤提灯系のお店。好きな人は好きだろうな。
外では立ち飲みも可能。時期によってはそれもいいね。
店内もノスタルジックな雰囲気で地元客も観光客も多め。
この日は長テーブルで相席。

お酒にはそこまでこだわりがないのかな?
けどこの缶酒も嫌いではない。

名物のもつ煮込みは、旨味がしっかりと染み込んだもつ。
格別感動はないが甘辛の安定した味覚が酒をすすめてくれます。
名古屋のB級グルメを堪能するなら必訪でしょう。
長居をする店ではないので飲んでサクッと出ます。ごちそうさまでした。
まとめ:昭和が生きる、名駅裏の“心の止まり木”
のんき屋は、ただの居酒屋ではない。
名古屋の味噌文化と下町の人情が、今も息づく生きた遺産だ。
味噌の甘み、もつの旨味、常連の笑顔。
そのすべてが、戦後から変わらぬ「名古屋の原風景」そのもの。
もしあなたが名古屋を訪れるなら、観光地の喧騒を離れ、この小さな赤提灯を目指してほしい。
1本の串と一杯の酒が、70年の時間を語ってくれるはずだ。
店舗情報
名称:のんき屋(のんきや)
住所:愛知県名古屋市西区名駅2-18-6
最寄駅:亀島駅(名古屋市営東山線)徒歩約4〜5分/JR名古屋駅徒歩約10〜15分
営業時間:月〜土 16:30〜20:30(売り切れ次第終了)
定休日:日曜・祝日
席数・設備:26席(カウンター・テーブル)/店頭で立ち飲みスペースあり
支払い方法:クレジットカード・電子マネー不可
創業:1954年(昭和29年)








