Netflixで久々に海外ドラマ「LOST」を観た。

このドラマ、本当に大好きで当時リアルタイムで観てました。全部でシーズン6まである長いドラマです。
何でこのドラマにこんなにハマるのか?
もちろん謎の島でのミステリー要素やSF要素などストーリーも魅力なのだが、それぞれのキャラクターの人間ドラマにも同じくらいの主軸を置いてるからだろう。
とにかく各キャラクター、全員過去にトラブって問題抱えてます。まぁ失敗や挫折のない人間なんていないので当たり前ですが、この人たちは島でも街でも実は辛いことばかり。生きていくって辛いね…
ラストは「夢オチ?」とか言われてますが、
のっけからネタバレします。
オチ
夢オチではありません。
島での出来事は全部本当に起こったことで、みんなそれぞれの人生を全うし、天国へいく一歩手前の「魂の世界」で再会するのが最終回です。
この「魂の世界」をアメリカ人は「煉獄」と捉えて観ていたようです。「煉獄」とは天国には行けなかったが、地獄にも墜ちなかった人の行く中間的なところとされ、苦罰によって罪を清められた後、天国に入るとされています。宗教的なニュアンスが含まれているため、我々日本人からすると少しわかりづらい部分はありますがふわふわしててなんだか妙な余韻に浸れるラストではあります。
ではシーズン6の「フラッシュサイドウェイ」はなによ?と言うことになるが、多分自分の見解ではそれぞれのキャラクターたちが成仏するうえで「こう生きたかった」という願望なんじゃないかと考えてます。
さて、このオチをわかったうえで久々にシーズン1から観ていきました。相変わらずなげーのなんの。
シーズン1「面白いけどテンポ悪い」
もう第一話目からグッと捕まれますね。冒頭の飛行機が墜落したあとのシーンはめちゃめちゃ金がかかってます。ハリウッド映画やん。
僕、結構苦手なんですよね。主人公のジャック・シェパード。頑固で自分本位に物事進めたがるタイプ。
一見優等生タイプかと思いきやどんどん嫌なやつに見えてきました。
逆にソーヤーの回はいいですねぇ。自分の両親がソーヤーと言う詐欺師に騙され母は父に殺され、父も自殺。いつしか一家を崩壊させたソーヤーのように自分もソーヤーと名乗り詐欺師に成り下がった。皆んなに嫌われようとしたのはソーヤーを否定したい自傷行為のようなものだったのか。
一気に視聴者が大嫌いだったソーヤーに同情し出す話でした。
サイードの同級生のナディアがサイードに書いた文章に「来世で会える」とあったがこの時から最終話を想定していたのかな?たまたまか?
ちょっとヒステリックぎみな妊婦のクレア、子供を縛り付けようとするマイケルにだんだんうんざりさせられる。
全体的にテンポはそんなに良くなく、じっくりと登場人物たちの人間ドラマにスポットを当てている。
シーズン2「気の強い人たちに辟易するシーズン」
ママ・キャスの曲からなるオープニングから痺れますね。本当にセンスがいい。
マイケル本当に嫌い。照明弾を上げたのは君も同意してただろ?それを息子が攫われたらソーヤーのせいにしたりイライラポイントが募る。
されにさらにジャックが嫌いになる。絶対に自分の信じるもの以外は頑なに信じない。ロックは逆に信じすぎるが。この頑固な感じにも辟易…
アナスタシアの気の強さもイライラポイント。
なんだろう、シーズン2になってキャラクターの我の強さや気の強さにうんざりさせられる。
ここでケイトが追われてる理由がわかりましたね。実の父親から母親を守るために殺害したのだと。
しかしケイトを捕まえた警察官、事故起こしすぎ。シーズン1の回想シーンでも事故の連続。挙げ句の果てにソーヤーに急所を外され苦しみながら死ぬと言うある意味ぶっちぎりで幸なし男。
後部座席の人間、他の者、デズモンドの登場などなかなか大きな展開がありました。特にあのハッチの4、8、15、16、23、42という数字もミステリー好きにはワクワクポイント。
どうやらこの場所は磁力エネルギーのダムになっていて溜まった磁力を108分ごとに放出して保っているんだとか。これをやらないとダムが決壊し世界が終わるらしい…。
そしてついに最終話ではボタンを108分過ぎても押さなかったら?という問いに対してのアンサー話。
やっぱりあのボタンは本当だったんですね。
シーズン3「中だるみシーズンだが最後には」
今回は他の者達の村からスタート。どうやら平穏な暮らしをしていて一概に「悪」というイメージから離れている。のちに「他の者たち」の1人が「俺たちをなんだと思っている?」という問いをジャックに問いかける。
この辺りがより一層物語に深みを増している。
しかし、ジャックはキモい。元奥さんが他の男にとられ、嫉妬に狂った彼は「初キスはいつか、そいつのどこを気に入ったのか」をしつこく調べようとする。器が小さ過ぎるし気持ち悪い。どんどん嫌いになる。
挙げ句の果てに親父を妻の相手と疑う始末。もはや精神病レベルです。
デズモンドの回は面白い。だんだんとLOST自体マンネリしかけてきた頃にタイムトラベル要素をぶっ込んできた。この話がわりと好評だったことから徐々にこの要素へと方向転換し始めた節はある。
ソーヤーが追っていた詐欺師が実はロックの親父だったという事実や、シーズン1から活躍してきたチャーリーの死などちゃんと見所はあるが相変わらず展開はスローペースでこのシーズンから離脱者は増えそうだ。
さて、いままでフラッシュバックシーンは「過去」だったが最終回では「未来」の映像が差し込まれた。つまり、島を出たあとの話が今後差し込まれる胸熱展開。と言うことでこのままシーズン4へ。
シーズン4「当初こんな感じじゃなかったでしょ」
話的には折り返し地点で、エピソード数も半分となり、結末に向けて物語は一気に加速するシーズン。
シーズン3までは良くも悪くもわりとダラダラとしてたけど、LOSTはこのシーズン4から面白くなると個人的に思っている。絶対当初はこんなストーリーまで練ってなかったでしょ。
島の者たちの他に今回はさらにヘリコプターでやって来た者たちが加わり物語は一層立体的になった。
このヘリコプターの者たちはベンを殺しにやって来たわけで、ロック側につくかとかジャック側につくかとかもうかなり話は入り混じってる。
さらに差し込まれる島を出たあとのフラッシュフォワードがさらに効果的に複雑にさせている。付いていけない人は付いていけないだろうが、ファンはここから一層LOSTに深入りしていくことになる。
しかし本当にケイトが嫌いになっていく。父親を殺したくせに「懲役くらうのは絶対に嫌だ」とかほざく始末。なんなんだこの女は。この覚悟があって父親を殺したのでは?泣いてばかりで泣けば済むと思ってるのか?
そんなケイトを「好みじゃないんでね」と言った名前もわからない他の者のオッサン。あとで同性愛者を匂わせるシーンがある。これわざわざいる?
シーズン5「時空を超えた新しいロードショー」
いよいよここからだ。
1話目からぶっ飛ばしてる。タイムトラベルものが大好きな自分にはドンピシャ。
時間軸が過去に戻ったり超複雑。だけどそれ以前から観てきた我々にはそろ点と点が結びつき始める。
展開がはやくもはや目が離せない。シーズン1、2、3までのスローペースは一体なんだったんだ。
島に戻ろうとするジャックたちと島に残ったソーヤーたち。話としては島を出てから3年後と言うことでお互い関係性もだいぶ変わっており、またキャラクターたちの新しい面もみれる。
ジャックは薬でラリっており、ケイトにブチ切れられまくってる。あんなにラブラブだったのに何があったんだよ。
ベンは彼らを島に戻すために四苦八苦。彼らのためじゃなく常に島のため。実は一番わかりやすい人間ってかもね。
何気にデズモンドの子供を「チャーリー」と名付けてるのが微笑ましかった。
シーズン6「素晴らしい結末に向けての同窓会」
やれ、やれ。本当にこのドラマを通してジャックが嫌いになる。思い込みが激しく著しく頑固。
人の意見は聞かず、そして失敗する。
ソーヤーの「うまくいってねぇじゃねぇかよ!」というツッコミが爽快過ぎる。
ソーヤーからすれば順調だったダーマの生活がジャックたちが来たことで壊れてしまう。おまけに愛するジュリエットも死んでしまう始末。怒るのも無理ない。
真田広之は重要人物っぽい感じで登場したのにあっさりサイードにぶっ殺された。なんだったんだ。
あとクレアの扱いもヤバい。もはやイメージダウンじゃね?
さて、シーズン6となると今度はもしも飛行機が落ちなかったバージョンのフラッシュサイドウェイが物語に挟まれる。
このフラッシュサイドウェイは自分たちの理想とする人生の現れ。
ソーヤーの相棒にマイルズのエピソードもいい。なんだか兄弟のようだ。刑事役のソーヤーも凄く馴染んでます。
ちなみマイルズとソーヤーを主人公にした「TRUE DETECTIVE/二人の刑事」スタイルのスピンオフをやるというアイデアが出たらしいが結局は実現しなかったのが残念。
しかしベンはこのLOSTを通して何回、何発殴られてるんだろう。ベンが殴られるシーンは笑わずにはいられない。
ベンのフラッシュサイドウェイもいい。娘と妻の家でご飯をいただくシーン。ベンの願望がフラッシュサイドウェイとなっている。いままで彼はただのヨーダにしか思えなかったけどベンが急にラスト2話で人間味が増す。
各キャラクターの真実を思い出すシーンには感動させられる。
特に最終回の出来栄えは秀逸です。最後のラストシーンはなんだかいつまでも余韻に浸れるいいシーンです。同窓会みたいで、みんなが笑顔。ずっとギスギスしていた物語がほっこりさせられる。おまけにみんなおめかししてカッコよくなって、美人になってる。
やっぱりLOSTは面白かった。
観終えてみての感想
全てを観終わってみて改めて思ったのは、人生って島にいなくてもツライ事ばかりって事だ。登場人物たちは島にいようが、街にいようがいつも苦悩してる。
むしろ島にいた方がいいって人間も出てくるからこれがまた一層物語を深めている。
時に島は美しく描かれ、時に残酷にも映る。この二面性は街でも同じ事。
島にいようが、街にいようが大事なのはどう生きるか。生きようとするかではないか。
ミステリー要素やSF要素だけでなく、彼らの濃厚な人間ドラマこそがこのドラマの魅力であると思っている。
またいつかこのような秀逸なドラマに出会えますように。
コメント