西麻布の「鮨 やま田」。広尾駅より徒歩8分ほどと絶妙な距離。六本木からだともうちょい歩くことに。
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場所は少しわかりづらい建物の地下一階に位置し、フラットなカウンター8席のみのお店。
時間は18時、20時半の二回転制。
大将は日本料理出身の大阪の方。コースは和食と握りの半々で構成されている。
「関西流」と紹介されているが、いわゆる西の方の甘々なシャリとは異なり、砂糖による甘さは感じない。あくまで角を無くした食べ疲れのないシャリである。だからと言って酢による酸味の主張もちゃんとあり紹介の仕方一つで偏見を持たれそうなのは可哀想かな。
いわゆる「バキバキの喉が乾くシャリが苦手」だそうで、コクはあれど穏やかな味わいのシャリとイメージしてもらえばわかりやすいかも。
聞けばシャリにはなんと米酢5種、赤酢3種をブレンドして合計8種類のお酢を使っているそうだ。
ネタに合わせてシャリを作るというよりも、シャリに合わせてネタを仕立てる。握りはシャリがあってなのです。
一発目のフエフキダイでは白身を咀嚼させる狙いがありしっかりと握りを形作る。逆に次の包丁を数多く入れたアオリイカではふわりと空気を含ませた握りに変える。
このようにさりげなくネタによって握り方を変える工夫もみられるが大将自身は一切仕事自慢をしないのも個人的には好印象だ。
中華や焼鳥など別ジャンルからインスパイアを受けるという大将の一品料理は個性的でありコースにおいて緩急的な役割と存在感を放っている。
これが関西流。みたいな主張はなくあくまで大将自身がやりたいようにやる鮨、寿司。
鮨にも幅があっていいと思うのでもっとやりたいようにやりまくっちゃってください。
以下、いただいた料理。
フエフキダイ
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いきなり握りの名刺代わり的一貫。シャリは硬めに炊かれ、シャリと鯛をしっかりと咀嚼させる。
イシカゲ貝、とんぶり
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トロッと、ネバっと、プチプチっと、プリッと、食感変化に富む。
アオリイカ
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前述したように細かく包丁を入れシャリはふんわりと握られている。シャリの空気感とアオリイカの甘さ。
秋刀魚
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あたり葱。程よい脂、程よい味わいと香り。
ニシンと海老芋の炊き上げ
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なるほど、この時点でつまみは握りの引き立て役ではなくしっかりと一品料理として提供してるんだなと気づく。
赤身
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やたらと味と香りがあるなぁと思ったらやま幸からだそうで。やたらめったら包丁入れないのも素材への信頼が伺える。
中トロ
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文句なしに旨いです。香りと脂による甘さのバランスもいい。
スズキ
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ソースには微量のニンニク入り。シンプルに最高の当て。
小肌
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小肌というとパキッと酢と塩が立ったものをイメージするがシャリと共に味わいも寄り添う〆方。
ジャガイモのすりながし
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伊勢海老、せり、味噌醤油。
イクラ雲丹丼
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金目鯛
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脂強めなのでややシャリが負けてしまってる。もうちょい穏やかな脂加減だとシャリと合うと思います。って顔したら大将も同じ顔してた。
伊勢海老と芹の揚げ物
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伊勢海老を芹を巻いて揚げた中華を思わせる一品。
穴子
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伝助穴子。ほわほわでめちゃ柔らかい。
干瓢きゅうり巻き
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かりんとう饅頭
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サーターアンダギーの様な熱々で外側サクッと、中ホクホクしっとりなサツマイモ。食感のコントラストと品のある甘さが素晴らしい和菓子。
本日のお酒
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一人当たり約24,000円。
コース税込20,000円で酒を飲んでも二万円台に収まるのは理想的です。酒もバカ高いわけじゃないし良心的だと思います。
つまみは握りの引き立て役ではなくしっかりとした一品料理として成立している。
ストイックに握りをメインに食べたい人向けではないが鮨屋と和食屋の二つの店を満喫できる贅沢さがある。
細やかで考え抜かれた料理と新鮮なアプローチで新たな鮨屋の形を提唱する新生。ごちそうさまでした。
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