東京・新橋の名店「新ばし しみづ」。

全国の鮨職人からリスペクトされる清水邦浩氏。
清水氏が1999年にオープンさせた「新ばし しみづ」についてレポートしていきます。
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「新ばし しみづ」ってどんな店?
その前に、一応先に江戸前鮨についてお話しておきます。
江戸時代、
握り鮨を考案したのが華屋与兵衛という方。
そう、和食チェーン店の名前になっているのでこの名前だけはご存知の方も多いはず。
彼の流れを汲む店が1848年頃から営業してた千住の「みやこ」という店。いまは閉店してますヨ。
そこで修行した金七さんが浅草で開いたのが「弁天山美家古」。ここはいまも営業してます。
で、そこの出身者が開いたのが神保町の「鶴八」であり、そこから独立した新橋の「新橋鶴八」の石丸久尊氏のもとで修業して独立したのが「新ばし しみづ」となります。
長いねぇ。
つまり、「新ばししみづ」は江戸前寿司の祖先の血を引いてるお店なんですね。家系ラーメンで言えばまさに直系。
ちなみに1999年当時は「鮨処しみづ (東京都港区新橋2丁目15-13)」という店名で、2009年6月23日に現在の場所に移転しました。

だから少し「今の鮨屋」に慣れてる人からすると印象が違うかもしれません。
だって本来鮨屋のつまみはつまみ用に購入する事はありませんでしたから。
いまはつまみがゴージャス、握りもゴージャス。
それいい悪いの話じゃなくて、昔はそうだったというだけの話です。
さて、ピンと筋が通った正統派の江戸前鮨がいただける名店がこちらです。
ここから巣立っていったお弟子さんは多数。
京都・祇園の「鮨 まつもと」、その「鮨 まつもと」から出たのが「鮨 ほしやま」と関内の「鮨 みやした」(どちらもしみづの孫弟子にあたります)。
銀座に「鮨竹」、その「鮨竹」から出たのが仙台の「鮨徳」。そして「鮨 こばやし」。
直接は修業してないが、大阪新町にある「鮨 あさひ」だって清水親方から多大な影響を受け、大阪に正統派江戸前鮨店をオープンさせた店の一つだ。
さらにミシュランの星も断った経験もあるなど、いろいろとその後の鮨業界に多大な影響を与え続けております。
さて、この記事では実食レビューを含めてじっくりと「新ばし しみづ」がどんな店なのが味わっていただくことにしましょう。長い記事になりまっせ。
実食レビュー【2025年12月訪問「貸切会」】
「いまの鮨屋はどこもレストランになっちゃいましたね」

その言葉にハッとさせられた。
確かに本来鮨屋とはもっといい意味でラフで居心地のいい空間だったはずだ。
いまの鮨屋は確かに説明し過ぎだったり、ソムリエがいるところある。
別にそれらを否定してるのではないが、私はここに来るたびに「鮨屋ってやっぱこうだよね」と妙に納得させられるのだ。

清水親方は決して客に緊張させないし、かと言って近すぎない絶妙な距離感。あくまでリラックスさせ、締めるところは締める。
そう言う意味でも清水親方の接客が私の中の鮨職人の答えと考えている。
産地の説明も特にない。聞けば答えてくれる。
これでいいのだ。産地を聞いて美味しく感じるのか?食べ手には関係ないでしょ。
この日は料理に集中して写真はこの辺にして。下にスクロールしてもらえれば過去の写真が膨大にありますのでそちらをご覧ください。

こちらはこの日のつまみで最も感動したイカの塩辛。こんな濃厚な塩辛食べたことがない。人生一の塩辛だったのでここに記しておく。
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実食レビュー【2024年5月訪問「貸切会」】
久々の再訪で貸切会。
ここは基本撮影禁止。だけど貸切会の時だけ撮影OK。

本来というか昔の鮨屋ではわざわざ「つまみ用」に食材を購入する事はありませんでした。
例えば赤貝。
握りで使わないヒモをサッと焼いて一味唐辛子をかけて出す。鮨屋のつまみはこういうものだったんです。
だけどいつしか鮨屋が居酒屋化していまじゃどこもつまみ用に食材を仕入れる。
それがいい悪いではなく、昔の寿司屋はそうだったのです。
そもそもつまみなんてものは握りへの序章的存在ですから、つまみが鮨より目立っちゃいかんのです。
結婚式の新郎新婦よりも招待客の服装の方が目立つみたいな。
いまの鮨屋、酒の種類も沢山おいてますね。そりゃ利益になりますからね。だけど昔の鮨屋は酒の種類は極端に少ない。

僕がすきやばし次郎に行った時も日本酒は一種類でした。
鮨に合うのは、お茶です。

酒でなく、握りで金を取る。これが鮨屋の形です。
だから「新ばし しみづ」でも酒は極端に少ない。

そもそもしみづでは「握りにします?つまみからにします?」と聞かれます。

椅子だってもっと座り心地いい椅子あるだろって言いたくなる丸椅子。

だけど人間工学的にみてしみづの丸椅子は誰がどの姿勢でもストレスにならないものです。むしろ背筋が伸びるってもんです。


握りの向きも客に対して垂直に置かれます。

他の鮨屋で斜めに置かれて、左利きの方は食べづらいと思ったこともあるかもしれません。

しみづでは「右利き、左利きの方も如何様にも」ということで垂直です。

掘るとまだまだ語れることがありますがこれ以上はウザくなるのでこの辺で。



これらを知らない人からすると
「新ばし しみづって酒も少ないし、つまみも質素だったよー」とか言いかねません。
批判する人に限って無知なのです。



食は改めて知識があるのとないのとでは印象が変わってきます。

伝統的な系譜のお店なのに清水親方は堅苦しい雰囲気はなし。何にでも興味を示すし、OMAKASEだってはじめた。

いいものはいい。頭でっかちになるより便利なものは使えばいい。鮨だって変わっていっていい。






清水親方がその姿勢でいてくれるから清水親方をリスペクトする鮨職人たちはだいぶ安心できる。
一年に一度は来て自分の立ち位置を見つめ直す場所となっている。ごちそうさまでした。
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実食レビュー【2022年5月訪問】

よく人から「どこの鮨屋がお勧めですか?」という超漠然とした質問を投げかけられる。
解答としては
【あんたの好み知らんがな。
せめてどんなのが好みなのか、情報出しなさい。】
という思いをグッと押し殺してそんな質問に対しては大抵この店を勧めすることにしている。
ドアをあけると「いらっしゃいまし。」と気持ちよく挨拶される。
以前からお弟子さんも増えたようだ。
ここに来ると写真撮らなくていいから(頼まれてないけど何故か開放的な気分になれる)余計な雑念なく楽しめる。
連れがみんな興味津々に色々と清水親方に質問。
弁天山美家古、鶴八の流れを汲む正統派の江戸前鮨。
映えが主流になってしまった昨今、逆に物珍しくなってしまったのかもしれないがシャリは微妙にマイナーチェンジされており、伝統を守りつつ独自の進化も怠らない。
産地・高級食材自慢もしない、他の店の悪口も言わない、あくまで仕事でみせ、淡々と今日も握っていくだけ。
それが全て。それ以上も以下もない。
大将の握りは酸が最後までしっかりと残るシャリのため特に鮪なんかは赤ワインが合う事に本日気付きました。
まぁ人に勧めても撮影禁止なので除外される事が多いんだけど…
みんな写真撮りに来てるのか鮨食いに来てるのかどっちなんだ。
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実食レビュー【2021年10月訪問】

紹介制でもなければ予約困難店でもない。
予約は1週間前で誰でも公平に訪れるチャンスがある。
「いらっしゃいまし」
清水大将は決して気取らず、砕け過ぎず。
店内撮影禁止、映え要素なし、ピンネタや産地自慢なし。
鮨バブルに一切乗らない孤高の存在。
それなのに全国の鮨職人が憧れる清水大将。
理由は明確。
本来、鮨職人は清水大将みたいにやりたいのが本音なんだよ。
でもなかなかそれができない。商売ってのは難しいねぇ。
現実と理想のギャップがある中それを叶える店が「新ばし しみづ」である。
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実食レビュー【2019年8月訪問「貸切会」】
本日は新橋にある「新ばし しみづ」へ。今更説明不要の超名店である。
前に一度お邪魔したが今回は仲間うちで貸切にさせてもらった。
基本的に撮影禁止のお店だが「貸切ならOK」とのことでせっかくなのでバシャバシャ撮らせてもらった。
(過去にお客さん同士でトラブルになったことがあったらしい)

店内はカウンター8席。

清水親方は重鎮なのに緊張させなさいような空気を作ってくださる。とても謙虚な方でこの人柄が名店を作るわけだ。
握りだけもいけるがつまみからお願いする。

まずは夏らしく枝豆。豆の香りがめちゃめちゃ強い。この豆から素材のこだわりを感じさせる。

ホシガレイは肉厚で強い歯応えと食感も心地よく、噛んでいると香りが出てくる。

とにかく圧倒的な大きさの鮑。これだけ大きく切ってくれると食べごたえがある。
ムチムチっと食感心地よく、なおかつ味も濃い。

気仙沼産の鰹。とにかく脂ののりがいい。この時期の鰹もこんなに脂がのっているもんなんだ。

噛んでいくと甘味が増していくつぶ貝。噛み締める歓び系。

烏賊、雲丹、鮪のすきみを和えてある「烏賊そうめん」。これがいい酒のあて。

あざく。「うざく」じゃなくて「あざく」のなのは鰻じゃなく穴子のを使用しているから。
穴子とキュウリの酢の物で脂と酢の酸味のマッチングがいい。
ここから握りへ。

甘鯛の昆布締め。シャリは赤酢で酸が強め。この酸味がクセになる。

アオリイカは細かく包丁を入れてあり柔らかさ、甘さともに最高。

三陸の鮪。とにかく赤酢とこのシャリの酸との相性がいい。

脂ののりも良く、特に香りが上品。鮪のいい部分を出してくれた。

小肌。身はモチッとしつつも程よい水分量。シャリの酸と小肌の締め具合で目がさめるようだ。

縞鯵。天然です。脂はのってるがクドさがないのは天然の証拠

しみづさんの店ではこの様に縦に置かれる。
これはお客さんの利き手のかとも考えられており「いかようにも」ということらしい。
確かに最近のお鮨屋さんでは斜めに出してるから珍しくて聞いてしまった。

とにかく柔らかくてジューシーな北寄貝。芳醇でプリプリ。
シャリと相まってさらに甘みも強くなる。

ホッキ貝のヒモと貝柱
もう酒が止まらない。
ちなみにこの日の酒は
・惣誉
・石鎚
・澤屋まつもと
この3種類。お酒はあまり置いていない。

清水親方はいい具合に会話を挟みながら正確に握っていく。

まさに時期の鯵は脂ののりと香りも強いです。

煮蛤のツメは結構甘みを効かしている。ムチムチの蛤、キュッと酸がたったシャリ。

春子鯛チダイの幼魚。しっとりとしている。

車海老は見た目通り大きく食べ応え抜群。
プリプリで甘く、これぞ江戸前の正統派の車海老。

唐津の赤雲丹。甘み強く、だからこそこのシャリとの相性もいい。シャリが雲丹の甘さに負けてない。

穴子はツメと塩。フワフワで脂ものったもの。


味噌汁と玉子焼きでフィニッシュ。

今回貸し切りと言うことでかなり場は盛り上がった。
色々とためになる話やミシュランを断った話など聞けて貴重な1日となりました。
お会計は1人当たり22,800円。これだけ飲んで食べてこの金額は安い。
また来ます、ご馳走さまでした!
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実食レビュー【2019年6月訪問】
本日は以前から行きたかった「新ばし しみづ」へ。
言わずと知れた鮨界の超重鎮であり、このお店出身の「鮨竹」や京都の「鮨 まつもと」には訪問済だがなんだかんだ来れてなかったので今回初訪問。
新橋駅の烏森口から徒歩3分ほど。

烏森口をまっすぐ歩くと右側に烏森神社があるので右折。

その烏森神社を少し入りすぐに左折する。

すると左側に小さなお店がある。

ここがまさに「新ばし しみづ」だ。

なんだろう、この主張しないけどオーラがある感じ。

入ってみるとカウンター8席の小さめのお店。
そこに清水親方が楽しげに常連さんと会話しながら握っていらっしゃった。
大将は緊張させないように凄くフランクに接してくれる。凛とした空気はなく、だけどダラけすぎない絶妙な空気感。
ちなみに過去にミシュランを断ったと言われているアウトローな一面も。
いきなり握りからもいけるが今回はつまみからお願いした。
このお店は基本的に撮影禁止。
前にお客同士で揉めたことがあったそうだ。まぁ仕方ないよね。人に迷惑かけたらいけません。
丁寧に料理の説明をしてくれるお店はあるがここは必要以上のことは説明しない。
「細かいことはいい。食べたらわかるから」といった感じ。
握りは王道であり存在感抜群。シャリは赤酢で強めの酸がネタの甘味、旨味を引き立てる。王道だからこそ飽きる事はない。
なにより大将は鮨を握るのが好きでたまらないといった感じ。
大将にとって金儲けじゃないのかもしれない。
ミシュラン断ったのもなんとなく頷ける。
「うちはマイペースにやりますから」大将の言葉が全てを物語る。
これだけのお店なのに全く飾らない人柄も次から次へと客がやってくる理由なのかな。また来ます。
お会計と伝えると大将が自ら電卓で計算し出した。明朗会計。
24,200円。ごちそうさまでした!
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【新ばし しみづ】の動画
店舗情報
名称:新ばし しみづ
住所:東京都港区新橋2-15-10
最寄駅:新橋駅・烏森口より徒歩3分
営業時間:12:00〜/17:00〜/19:00〜
定休日:水曜日
席数:7席(カウンターのみ)
支払い方法:カード可(VISA/Master/AMEX)※電子マネー・QR不可
予算:20,000〜30,000円前後
備考:完全予約制/香水・強い香り禁止
オープン日:1999年(旧店名:鮨処しみづ)









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