東京・人形町にある天ぷら屋「天ぷら 中山」。
東京・人形町。
江戸の情緒が色濃く残るこの街には、昔ながらの味を今も守り続ける名店が数多く存在する。
そのなかでも天丼好きなら一度は名前を聞いたことがあるのが──「天ぷら 中山」。
創業はなんと昭和5年(1930年)。
90年以上もの長きにわたってこの地で暖簾を掲げ続ける、正真正銘の老舗天ぷら店だ。
「天ぷら 中山」ってどんな店?
お店は人形町駅から徒歩3分ほどの路地裏。
大通りの喧騒から一本入った先に、控えめながらも風格ある暖簾がかかっている。
創業当時の面影を残す木の看板。少し煤けた暖簾。
店の前に立った瞬間、「老舗」という言葉の意味が自然と体に染み込んでくるようだ。
この空気感は、いくら演出しても真似できるものではない。
店内はカウンター6席と小上がり座敷8席。こぢんまりとした空間に、年季の入った木の柱、ゆるやかに立ち上るごま油の香り、そして店主の揚げる音が心地よいBGMになる。
カウンターの目の前にはネタケース。天ぷら屋の舞台がそこにある。
この空間は、昭和から令和まで時代が移り変わっても変わらず、訪れる者に「江戸の香り」を感じさせてくれる。
名物は黒々とした「天丼」
「天ぷら 中山」といえば、やはり名物は「天丼」。
丼のフタを開けた瞬間、ふわっと広がるごま油の香りと、食欲をそそるタレの香ばしさ。
そしてなにより──その黒い見た目に誰もが驚く。
この黒さこそ、中山の天丼の象徴だ。
タレは創業以来90年以上、継ぎ足し続けられてきた秘伝のもの。
濃口醤油と出汁、そしてごま油の香りが何層にも重なり合い、奥行きのある香ばしさを放っている。
ご飯にまでしっかり染み渡っていて、一口目から濃厚な旨みが口いっぱいに広がる。
具材はエビ、キス、ナス、ししとうなど季節によって変わるが、衣の仕上げは一貫して軽やか。
油のキレがよく、見た目のインパクトに反して重さをまったく感じさせないのが特徴だ。
2025年10月訪問
平日11時20分着で12名並んでる…
と思ったら隣のとんかつ屋だった。あぶねー。
この時間は外待ちは一名。
カウンターの後ろにも店内で待つ席があり、そこでメニュー表をいただく。ここは天丼目当てなので天丼一択で。
注文とメニュー
メニューは下記。
天丼 1,650円
海老天丼 1,760円
海老穴子天丼 1,870円
穴子天丼 1,980円
天ぷら定食 1,760円
精進定食 1,430円
天丼・天ぷらセット 2,365円
黒タレ天ぷら定食 2,475円
海老抜き天丼 1,540円
海老抜き天ぷら定食 1,705円
ご飯大盛り +110円
店内は動画撮影禁止など色々注意事項が記されている。守りましょう。
って中国人がずーっとベラベラと喋りながら食べてるのにイラっとくる。丼ものはサクッと食べて出て行きましょう。カフェじゃないんだから長居は無粋です。
店員さんは中国語喋れないっぽいので注意するにも難しい問題ですよね…まぁこの辺含めてのインバウンド景気なんでしょうけど。
店内はカウンターと奥に小上がりがあるいかにも昭和の匂いが色濃い。こういうのは狙って作れるもんじゃないからこれからさらに貴重になるでしょうね。
揚げてるの年配の女性だ。家族経営でしょうか。
カウンターでは常に揚げてる音がBGM。目の前にはネタケース。
黒天丼、到着
・天丼 1,650円
先に漬物、お茶、おしぼり、割り箸。
出汁が効いたシジミの味噌汁は塩味穏やかなもの。合わせ味噌だろうか?
天丼がきました。黒い。
海老2本、魚2種、野菜2種。
衣はタレが染み込み、独特な色気を放っている。
創業以来継ぎ足し火入れを繰り返してきた秘伝のタレの色。
醤油、出汁、ごま油からくる、深く香ばしい香り。
長い年月のなかで煮詰まり、旨味と香りが幾層にも積み重なった液体の歴史ともいえる存在だ。
ごま油はブレンド油とみられるが、香りの主役は間違いなくごま油。
江戸前天ぷらの伝統を受け継ぎ、油切れよく香ばしい仕上がりを生み出している。
この香ばしさと黒タレの組み合わせは、唯一無二。
天ぷらは揚げたてをサッとタレにつければ多少はさくっとするものだが、タレにつけてる時間は長めなのだろうか?ずいぶんとシナシナだ。
肝心の味は確かに甘辛ではあるが、ほのかに苦さもあってわりと見た目より濃くはない。
歴史のあるメイラード反応の積み重ねか。
海老2本、鱚?細切り人参のかき揚げ?穴子?ししとう?
正直タレの味が全面にでていて判別が難しい。
素材を楽しむのは食感だけでこれはタレを楽しむ丼なんだと気づいた。そう、主役はタレ。
味噌汁は口の中をリセットするような優しい味わい。漬物の塩気と酸味がタレの甘辛さと交互に来ることで、食べ進めても飽きが来ない。
丼ものは副菜が大事。
鰻の蒲焼並みのタレ。こう言う天丼もあるんだ。
江戸の歴史に触れた味覚でした。ごちそうさまでした。
店舗情報
住所:東京都中央区日本橋人形町1-10-8
アクセス:東京メトロ日比谷線・都営浅草線 人形町駅から徒歩約3分(約225m)/東京メトロ半蔵門線 水天宮前駅から徒歩約3分
営業時間:昼 11:15〜13:00/夜 17:30〜20:30(L.O.20:00)
定休日:土曜・日曜・祝日
席数:約14席(カウンター6席、小上がり座敷4席×2卓)
駐車場:なし(近隣にコインパーキングあり)
予算目安:昼・夜ともに ¥1,000〜¥1,999
支払方法:現金のみ(クレジットカード・電子マネー・QR決済不可)
禁煙・喫煙:全席禁煙
創業:昭和5年(1930年)
ジャンル:天ぷら・天丼・日本料理