東京・門前仲町にあるフレンチレストラン「慈雨 (jiü)」。

2025年3月19日、予約が取れないビストロ「渡辺料理店」が斜向かいに新店をオープンさせた。
初月予約件数はなんと1400件。予約開放の瞬間から約3ヶ月が埋まる化け物級の注目度だ。
店名の慈雨の由来は、
「慈雨は万物を潤し育てる雨、日照り続きの時に降る恵みの雨という意味」。
渡邉幸司オーナー曰く、「jiu」にウムラウトをつけたuを入れてローマ字にすると上に点が4つ並ぶ。
それは雨の滴であり、炎でもあるとのこと。
なんかオシャレ。素敵。
店舗情報
ジャンル:薪火フレンチ
住所:東京都江東区富岡1丁目(門前仲町駅から徒歩数分)
アクセス:東京メトロ東西線・都営大江戸線「門前仲町駅」より徒歩約2分
営業時間:ランチ 12:00〜、ディナー 18:00〜(完全予約制)
定休日:水曜日(不定休あり)
予約方法:公式Instagram(@jiu.makibi)
シェフ: 大和田龍之介さん
フランス料理人の父を持ち、自らもフランス料理人となった大和田シェフ。
コースに薪を使うことはいまや珍しくなくなったが(六本木の「Metis」などが有名)、ここではいやらしくチャラついた薪のパフォーマンスは特にない。実直に料理に薪の存在を灯していく。時に仄かに、時に激しく。
味はボヤけることなく、だけど味わいはどこかスッキリとして重さはなく、そして薪の香りが全体を調和する。フランス料理の持つバターなどのふくよかな旨みに酸味、そして薪の香りが全体を調和する。
時に野菜に、時にソースに、薪の香りを感じさせるこれが「薪火フランス料理」の完成だ。
「渡辺料理店」ではアラカルトだが、薪を使うならそれは無理だろう。つきっきりで薪の面倒をみなきゃならないからコースなのも納得できる。
2025年4月訪問
コースは16,000円。税込で現在サービス料はなし。それでも目の前で動いてる人間の多いこと。
これ、儲かるの?
店内は2階席まで席を開放。3階も現在作っているところだとか。
2階席の目の前に流れる大横川の両岸には桜並木が映る。
桜も散り、僕の目の前には大男が鎮座する残念な絵だ。
カトラリーは?と聞くと「引き出しをお空けください」と。
以下、いただいた料理
燻製桜鱒のタルタル
フォアグラのテリーヌ 薪セミドライトマト
蛍烏賊 薫香ポムピューレ 菜の花
アミューズから薪火による香りがしっかりと植え付けられている。それもクドさはなくフワッと心地よく香るいい塩梅だ。
フランス料理のアミューズと薪を見事に融合させた泡が進むアミューズ。
ポタージュサンジェルマン 帆立
グリーンピースをベースにしたスープ。クルトン、ハーブサラダ、燻したクリーム。
旨みと薫香がしっかりと備わっており、構成バランスもいい。
鰆 アスパラガスと空豆 土佐文旦
薪焼きにした鰆、アスパラガス、空豆。文旦と一緒にサラダ仕立てに。
薫香を包むマイルドで酸味のあるソースにフレッシュな文旦の酸味も加わり、こちらも全体的にバランスがよく仕上がっている。
シェーブルリゾット 焼きブロッコリー
ブロッコリーは薪焼きで。
かなりクセ強のシェーブルチーズは燻して固めてるものを削ってあり、全体に香りのメリハリをつけてあり、薪とはまた異なるベクトルの香りで緩急をつけてあるのもいい。
フォアグラのポワレ 新玉葱
ド直球なフォアグラ料理。ソースは少し甘めのポートワインと生クリーム。
ふくよかなで濃厚なフォアグラの旨味に薪火でじっくり一時間ほど火入れして糖化させた玉ねぎの甘味が寄り添う。
オマール海老・ホワイトアスパラ
肉感的で弾力に富むオマールにも薪香が爆発。
泡のミルクにも薪の香りを移したものを。
これまさに鼻で食わせるフランス料理だ。
NZスプリングラム
オマールも凄かったが、まさにこの料理のための薪火なのではないかと言うほどインパクトあります。
もともと薪は水分量が多いため、薪火で焼いても炭とは違いこのようにしっとりジューシーに仕上がる。焼きの技術も素晴らしく潤いに満ちた香りのあるラム肉を楽しんだ。
添えてあるのは椎茸と甘長唐辛子。フォンドヴォーのソース。
こちらは相方のフランス ビゴール豚。
この豚も脂が甘く、実にいい。
できれば2人で来てシェアするのがベストかと。
千葉県柏市の蕪のアイス
唯一薪を使っていないお口直しの蕪のアイス。
素材をアイス形を変えて蕪を感じさせる。下には蕪の葉っぱを使ったソースが隠れている。
リュバーブ 苺 薪ミルクソルベ
ブリュレ、クッキー、リュバーブ。そしてアイスが燻製ミルクソルベ。これ単体だとかなり薪の香りだが色んな素材と一緒にいただくとバランスがいい。
茶菓子も使用した薪を粉砕してマカロンにしてある徹底ぶり。
お会計は一人約28,000円。一万円はムルソー代。サービス料なしの16,000円は大丈夫か?
薪は時間かかるし、目が離せないから人件費的に大変だと思う。ってなんだか心配になっちゃうよ。
グランメゾン仕込みのフランス料理にありとあらゆる薪の可能性を感じさせるコース内容でした。ごちそうさまでした。
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