この映画から抜け出せそうにありません
ある日「ディック・ロラントは死んだ」という謎のメッセージを受け取ったサックス奏者のフレッド(ビル・プルマン)は、その後も不気味なビデオテープに悩まされる。しかもその中には、妻レネエ(パトリシア・アークエット)が惨殺されている映像が映されていた。ショックで意識を失った彼が目覚めたとき、妻殺しの犯人として死刑を宣告されてしまう…。
幻惑的映像の異端派デヴィッド・リンチ監督が、サイコジェニック・フーガ(心因性記憶喪失)をモチーフにしながら迷宮的心理恐怖世界を描いたサスペンス。1人2役のP・アークエット、2人1役のB・プルマンとバルサザール・ケティが巧みに絡み合い、あたかも辻褄合わせも拒否したかのようなスピーディな展開に、観る側はとにかく錯乱。その錯乱に身を委ねられるかどうかが、本作を評価する大きなポイントとなるだろう。
もうね、何回観ただろうか。
約20年前の作品なのにこの映画の魅力は今も色あせることはない。
むしろ観れば観る程この映画の妖艶さを超える作品は出てこないのではないかという位好きになっている。
今回Blu-rayを気まぐれで購入したので久々の鑑賞。
これほど映像の常識を壊す監督はいない
自分の好きな監督である、デヴィッド・リンチの作品です。
映画好きな人なら知ってると思うが、『イレイザーヘッド』、『エレファントマン』、『マルホランドドライブ』、『インランドエンパイア』とか撮った人。
ドラマだと『ツインピークス』。もうこれは傑作中の傑作で新作も放映したばっか。
で、個人的にデヴィッド・リンチの映画の中ではこの作品が一番好です。
何回観ても面白くてストーリーがめちゃめちゃ。
自分なりに順序立てて整理していって「あ、そういうことね」と結論付けたところで最後の最後にまたわからなくなる。
なんとかほぼ完成しそうなパズル。あと1ピースというところで「あれ?全然合わないぞ?そしたらまた分解しなきゃ・・・」みたいな。
ストーリーが無限ループの様に出口が見えないというか・・・
まさにタイトル通りの「ロストハイウェイ」。
観客も観てるうちにストーリーを追ってるうちに迷宮入り。
こういう「考える映画」が苦手な人は苦手だろう。
まぁ、考えてもわからないんだけどね。
私は大学生の頃にデヴィッド・リンチの作品に出合ってこれまで観てきた映画感が180度ひっくり返ったのを覚えている。
本当に衝撃を受けた。
だってほとんどの作品が意味がわからないんだから。
これは衝撃的ですよ。
極端な話、意味わかんないもの作っても評価されるんだって。
開き直りというか
いや、本人は意味わかって作ってんだろうけど。
あぁ、観客に一切媚びない監督なんだな。
自分のやりたいことをやってそれがちゃんと評価された人。
羨ましくもあり到達できないレベル。
逆にこれが評価されなかったら「意味のわからない映画撮った」ただの変人ですよ。
単純な様でで難解。難解な様で単純。
で、内容ですけど、
ジャズ・ミュージシャンのフレッドが妻を殺し、牢屋にぶち込まれるんですけど朝になるといきなり主人公が変わってるんです。
で、そこからいきなり違う主人公の話が始まる。
もうこの時点で大部分の観客が置いてけぼりを食らう。
細かくメモを取りながら観ていく。
夢オチなのか?男の妄想なのか?
脳みそフル回転させてあらゆることを考える。
なんとなく自分なりに解釈を見出す。
「そうか、そういうことね」
ようやくスッキリしてくる。
ところがだ。ラストにはまた最初のフレッドに戻り予想不能なエンディングで映画終了。
おいおい・・・
もうね、わかんなすぎて「気持ちいい!」
あるのは謎の高揚感。
もはや映画の変態ですよ。
色々褒めたたえましたけどこの映画が果たして面白いか?と言われると疑問ですね。
「面白い」
この日本語だとどうもニュアンスが違う。だけど確実に見入ってしまう映像力はある。
テンポだってそんなによくない。しかしデヴィッド・リンチの映像って画に力があるんです。ずっと観てられる。これは理屈抜きで才能なんでしょう。
そして世界各国デヴィッド・リンチのファンがいる。
女優のローラ・ダ―ンも彼の大ファンで後の『インランド・エンパイア』に出演希望して主役を勝ち取ったくらいだ。
気付いたらこの不思議な映像世界にどっぷりはまってしまって抜け出せない自分がいる。
まったく、不思議な監督だよ。
「才能が枯渇した」って嘆いてるらしくもう映画は撮らないみたいだけどドラマの『ツインピークス』の新作で我慢するよ。いつかまた映画界に戻ってくるその日まで。
【映画・ドラマ】5本目
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