いつもの様に目がさめるとある異変に気づく。
寝坊。
私が寝坊なんてありえない。
なぜならスマホのアラームを毎朝かけてるのでどんなに二日酔いでも強制的に起こされるからだ。
ではなぜ今日に限ってスマホのアラームに気づかなかったのか?
あれ?スマホがない。
いつも枕元に置いてあるはずのスマホがそこにはなかったのだ。
一階に降りて昨日はいていたズボンのポケットやらテーブルを探しても見つからない。
トイレ、キッチン、洗面所とやがて大捜索に変わり焦りも増幅。
あぁ、やっちまった…
これはスマホをなくしたようだ。
では昨日の断片的な記憶を辿っていこうか。
友達と飲み屋でしこたま飲んで二軒目、三軒目とハシゴ酒。
あるとしたら帰りのタクシーか居酒屋のいずれかだろう。
なぁに、前にも経験したことがある。
このどこかにあるはずだ。
店の領収書があるので電話をかけようとしたが夕方から営業なので今は電話をかけても繋がらない。
すぐさま昨日乗った帰りのタクシー会社に連絡する。
「○○から○○方面で乗ったものなんですけど車内にスマホの落し物はなかったですか?」
「白いスマホの落し物ならあるんですけどね」
私のスマホは黒だ。
タクシーにはないか。
礼を告げ電話をきる。
居酒屋があく夕方まで待つか。
通勤の電車の中。
暇だ。
スマホがないとこんなにも暇なものなのか。
しかし車中では驚くほどみんながスマホをいじっている。この光景って改めてみると異常だな。
昼飯を食べる時も意味なくスマホを見てる毎日だから落ち着かない。
別に一日二日スマホがなかったからといってどうなるわけでもないがこんなに落ち着かない&手持ちぶたさになるのか。
夕方になり昨日の居酒屋に電話をかける。
「昨日お邪魔したものなんですがスマホの忘れものってなかったですか?」
「昨日はスマホのお忘れものは出てきてないですね」
「え…そうですか…」
これはマズイことになった。
絶対にあるとふんでいた店にまさかフラれるとは。
では私のスマホは一体どこにあるのか?
電話をかけても電池切れのようでアプリで探そうにも探すことができない。
捜査も断念か。
まぁ二年以上使ってたしたまにフリーズもするしちょうどよかったと持ち前のポジティブ思考で乗り切る。
翌日、ソフトバンクでスマホを購入。
新しいスマホはすぐに慣れた。
私ははこいつと人生を歩んでいくことにきめた。
それから何事もなく一週間が過ぎた頃、事件が起きた。
翌朝またもや寝坊。
スマホが…ない。
嘘だろ?
昨日は電車で帰ったはずだ。
9時ちょうどに電車の忘れ物窓口に電話をかける。
「黒のスマホなら届いてますよ」
暗証番号を告げてロックを解除してもらい私のスマホであることが証明された。
よかった。
今回は流石に嫁には内緒にした。
だけどね、事件はこれでは終わりじゃなかったんだ。
その一週間後、iPodをなくす。
理由は同じだ。酔っ払って紛失。
なんなんだ?なぜ毎回過ちを繰り返す?
自分に腹が立つのと情けなさで酒を飲みたい気分だ。
さて、iPod。
再び捜査が始まった。
まず記憶を探ろうにしても昨日の記憶がない。
電車で帰ったのか、タクシーで帰ったのかまったく覚えてない。
これには困った。
何も手がかりがない。
スマホの時と同じ要領で領収書を探す。
ない。
タクシーで帰ってないのか?
では電車か。PASMOの入場記録を駅員に調べてもらうか。
こうなるともはや探偵である。
自分で自分を追っている感じだ。
さっそく駅員に
「昨日どこで降りた教えてもらえますかね?」
「え?は、はい」
なんなんだ?こいつ。という視線に耐えながらも確認してもらった。
「○○駅ですね。」
最寄りだ。
ちゃんと私は電車で帰ってきていた。
そこでiPodの忘れものはなかったか確認するが
「届いていない」とのこと。
はぁ…
夕方に昨日行った店に電話をかけるがそこでもiPodの忘れものはない。
いや、原因は全て私にあるので何も言えないんだけどそろそろ私も飲み方を考えなければな。
本当に色んな意味で助けてください。
諦め半分で家の近くの交番に電話をかける。
するとそれらしき物が届いてるという。
おいおい、まじか。
すぐにロックの暗証番号を伝えて解除するようにお願いする。
「開きました」
きたーーーーー!!!
その夕方に無事に回収。
なんと拾って交番に届けてくれた方がいたらしい。
しかもその方はお名前も連絡先も明かさず、お礼もいらないとのこと。
なんかね、凄く感動したわけです。
世の中、捨てたもんじゃないなって。
そして落し物を拾ったら必ず交番に届けようと胸に誓った。
さて、この一連の事件の反省会で酒でも飲んできますかね!
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