【映画】楽園【ネタバレ感想】村八分、差別、偏見…限界集落で起きたあり得る話

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2019年/日本映画/129分

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ある地方都市で起きた少女失踪事件をきっかけに知り合った孤独な青年・豪士と、失踪した少女の親友だった紡。不幸な生い立ち、心の傷、それぞれの不遇に共感しあうふたりだが、12年後に再び同じY字の分かれ道で少女が姿を消して事態は急変する。一方、ほど近い集落で妻の忘れ形見の愛犬と穏やかな日々を暮らす善次郎は、周辺住民といさかいとなり孤立を深める。次第に正気は失われ、誰もが想像もつかなかった事件に発展する…。


 

「怒り」と同じ原作者ということで観となきゃと思い鑑賞。

今回は短編小説「犯罪小説集」のうち二本を映像化したもの。

だから綾野剛のパート【罪】、佐藤浩市のパート【罰】と大きな軸が二本あり、そのパートをつなげるヒロインと謎証のパート【人】で構成されている。

以下、ネタバレ感想。

しかし今回は胸糞悪い内容だった。

特に佐藤浩市が村八分にされる話。

鑑賞後知ったがどちらも実話をベースに作られているらしくさらに胸糞悪くなった。

簡単に言うと限界集落での老人たちによるイジメの話です。

小さな限定された空間にある田舎特有の陰湿な嫌がらせの数々。

だけど当の本人達はそこまで悪気がないからタチが一層悪い。

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人に対する積み重なる悪意。

佐藤浩市はやがて精神に異常をきたし村人たちを惨殺することになる。

綾野剛のパートも外国人に向けられた差別と偏見によるイジメ。

ある時少女の誘拐を疑われ「あいつが怪しい!」と町の人たちから追われることに。

彼の場合は人を殺すのではなく自らに火をつけて焼身自殺をはかる。

特に確証もないのに疑われ結果死に至るという全く救いようがない話。

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自分に関係ないのに不倫した芸能人に対して正義をふりかざしエゲツないほどのアンチコメント浴びせる人たちとか我々の周りにもこれに似たようなことってたくさんあるから尚のことリアルだし気分が悪い内容だと思った

限定された空間の中の同調圧力の怖さ、差別、偏見、根底にある人に対する悪意など凄くよく描かれていると思う。

さて、問題は最後の【人】のパートだ。

これが今回個人的には蛇足だと思った。


 

前の二つのパートはどちらも共通する部分があってこの二つだけを映像化してくれればテーマ性がはっきりしたのだがこのパートのせいで映画としてなんだかボヤっとしてしまった感がある。

昔友達が誘拐され心に傷をおったヒロインの話なんだけど正直いるかな?

あまりに前二つのパートが胸糞悪いものだったのでラストの「それでも生きていく」という希望の部分を足したかったのかな?

特に二つのパートみたいに何があるってわけじゃないし無駄に尺が長くなってるだけの様な気がしてならない。

さらに問題なのがラストあたりで少女の誘拐犯が綾野剛だったみたいなシーンがあってそうなったらそうなったでまた話は変わってくる様な気がするので余計なことはしない方がよかったのではないかと思ってしまった。

結局匂わすだけ匂わしてといて決定的なシーンがないので果たして綾野剛が犯人だったのか確証がもてないまま映画は終わる。

「あとは想像におまかせ」って丸投げパターンはいかがなものかと…

謎解きミステリーとして観ると結論を出してないのでかなりモヤモヤが残る。

これなら佐藤浩市のパートを膨らませて2時間にしてくれた方が良かった。

無理やり三つのパートにしたせいでシーンが結構とんでるのもなんか嫌だ。

村八分にされた佐藤浩市の頭がだんだんおかしくなっていって泥を食べたり奇行にはしるまではいいんだけどそこからシーンが飛んで殺した後になってる。

観たいところをはしょられた感覚。

謎解きではなくあくまで人間ドラマとしてみるんだろうけどそれにしても最後の【人】のパートはとってつけた様なもので作品としては中途半端な印象をもってしまった。

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