恵比寿からタクシーで8分。陸の孤島、南麻布。
最寄駅はない。ここはそもそもタクシーや車で生活する人たちの街である。
タクシーが到着した先は誰かの豪邸かと見紛う立派な外観。
どうやら大使館を改装したようだ。
こんな立地でこんなバカでかい店を経営するって本当にどれほど金がかかってるのか…
ここが現在「日本最高峰」と呼び声の高い中華料理店「茶禅華」である。
周りは見るからに豪邸ばかり。
格差社会は確実に存在するようだ。
予約は4名で個室を取ってもらった(毎度すみません、相澤さん)。
そしてこれが個室から見える景色。
なんでしょう、薄暗い個室で丸い円卓を男四人で囲ってるとアウトレイジ感があるのは。
お店コンセプトは「和魂漢才」。
大陸の模倣に非ず、川田シェフは中国料理と日本料理の融合を目指す。
今回は今が旬の上海蟹コースをお願いした。
さらにお茶のペアリングが評判ということでお茶とお酒のダブルペアリングにしてもらう。
本日のお品書き
料理名は漢字四文字。
ここから何が出てくるのか想像しながら料理が出てくるのを待つというプチサプライズ。
コンセプトにもあるようにベースの調理法は中国料理から。使う食材や素材の良さを引き立たせるという意味においては和食の要素も。
そもそもうま味調味料ガツンの中華料理とは全く別物と考えるべきだろう。
以下、いただいた料理。
青山緑水 (玉露の素麺)
上のはお茶の葉。玉露から抽出した出汁に素麺を入れたもの。
清涼感溢れ、胃が受け入れ態勢を始める。
黄金皮蛋 (黄金ピータン)
四川省の黄金ピータン。白いのは豆乳と黄身の部分を合わせたもの。
上は白身と紅茶のジュレ。味わい深く濃いんだけど臭みはない。
蟹黄春捲 (上海蟹とフカヒレの春巻き)
パリッと噛んだ瞬間に上海蟹の上品な香りがふわっと。春巻のパリパリとフカヒレの食感。
酔大閘蟹 (上海蟹の紹興酒漬け)
上海蟹の紹興酒漬け。まずはメスから。
しかしまぁこれほど旨味が濃いとは。
上海蟹のメスの卵の舌に絡みつくような濃厚さは一度食べると忘れられないほど。
濃厚と言う言葉はこの為に存在すると行っても過言ではない。
ペアリングは紹興酒漬けに紹興酒を合わせる。
オス
オスはメスほど「絡みつく」と言った感じはなく比べるとややアッサリ気味だがコクや甘みも十分強い。
メスとオス、どちらも捨てがたいです。
爪の先
左はメス、右はオス。
爪の先って自分でほじろうとするとかなり大変なのでこうやって出てくるのは有難い。
オスはメスに比べてそこまで味が強くはないのでかすかな苦味(雑味)を感じる。
このあと生姜のお茶を飲んで蟹で冷えた身体を温める。
紫蘇海蜇 (紫蘇を和えたクラゲ)
濃厚な上海蟹の後はあっさりなクラゲを。
コリコリザクザクっと食感よく、先は繊維が細かくだんだんと荒くなっていく。
雉雲吞湯 (キジのスープ)
ワンタンにもキジの肉が入っておりスープ自体はやや野生感はあるものの限りなく薄味。
後味は茶の苦味を感じた。
麻辣亀鳳 (手羽先)
大量の唐辛子の中に手羽先が入っている。
香り付けです。
プリッとジューシーな肉の中にはスッポンも入っている。唐辛子、山椒の香りもガッツリとついており僅かな痺れが心地いい。
柿と梅
口直しに柿と梅。
鴛鴦蒸蟹 (蒸し上海蟹)
メスとオスの味噌、内子を混ぜ下には蟹の身。
説明不要の旨さ。
途中、黒酢のタレで味変するとコク、甘みに酸味が加わりさらに深みが出る。
蟹皇魚翅 (フカヒレの上海蟹餡掛け)
上海蟹のソースにフカヒレ。
繊維一本一本が太く、上海蟹の身や卵などを巻き込んだ力強いソースがさらに極上の味に昇華。
フカヒレソースのおじや
先ほどのフカヒレのソースにご飯を入れおじやにしてからさらに上から白トリュフを削ってくれた。
先からどんどん鉄板ネタの素材がプラスされていき悶絶級。どんだけ上海蟹で楽しませてくれんよの。
翠玉白菜(広東白菜)
ここで一旦上海蟹の流れをリセット。
豆腐を発酵させた調味料「腐乳」で炒めた広東白菜は極めてシンプルでありながらみずみずしく、後に残る苦味がペアリングのお茶と合う。
重慶酢豚
驚いた。これ酢豚?
皮は厚くカリカリ。肉の旨味強く酸味と香辛料が効いている。
ちゃんと手が汚れないように両手で掴めるようになっているのが好印象。
香草と共に。
鶏出汁の清湯麺
濁りなき清澄な淡麗スープ。
飲んでみると鶏出汁の丸さの存在感が凄まじく物足りなさは皆無。
シンプルだけどこの奥行きは究極的な鶏出汁の答えなのか。
ここに毛蟹のXO醤で味変。
ココナッツアイスとイチジク
杏仁豆腐
右は冷たく、右は熱々。
右の冷たいのは寒天的な。
熱い方は葛粉を入れねっとりと粘り気のある感じ。
なつめ団子
上のは針生姜。下はプーアル茶。
パラっと解ける驚きの食感。
コースは以上。怒涛の3時間半。
これだけ食べて食べ疲れがないのが凄い。
コース全ての料理を食べてはじめて一つの料理を食べた様な感覚。
川田シェフの料理は清浄無垢という印象を受けた。一点の汚れもない。
足し算、掛け算などの素材同士の掛け合わせも秀逸だが時には限りなくシンプルに作る。
シンプルに見えるが物凄く手が混んでいる。
お会計は約69,000円。
料理の説明から、順番、ペアリングと料理以外のホスピタリティも徹底されている。
日本最高峰、ダテじゃない。
ごちそうさまでした!
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