群馬県館林市にある「天ぷら 車」へ。
場所は館林駅よりタクシーで15分。店は田んぼの真ん中にあります。
電車で来る者からするとかなり優しくない立地だが逆にこの距離感がワクワクしたりしたりもする。
この日は17時半にお邪魔した。
ちょうど日の入り時刻で田園に夕日が沈む景色がさらにこのロケーションを盛り上げる。
おまかせコースは一斉スタートではなくバラバラなのもありがたい。
大将の車﨑智也さんは天ぷらの老舗「天一」出身だが名古屋の「にい留」の天ぷらを食べてショックを受けたそうでそこから衣を見直したんだとか。
小麦粉をマイナス60度に冷やしダマの原因であるグルテンの発生を抑えて作られた衣は非常に口溶け良くタネの旨味が残る完成度の高いもの。
ダマがなければ火の通りも早い。すなわち余計な油を吸わない為、食べ疲れがないということ。
油は太白胡麻油とコーン油のブレンドで胡麻感は強すぎず嫌味なく仕上げる。
さらに穴子の前に再度油を変えてリセットするという手間も惜しまない。
正直、群馬県でこの様なハイレベルな天ぷらがいただけるとは驚きだ。
以下、いただいた料理。
毛蟹
煮詰めて味噌と和えた毛蟹。
サヨリ、アオリイカ
天ぷらの前に生魚を。
本日のタネ
春一色ですね。
海老の脚
繊細な食感の脚は下粉や味噌不使用のシンプルな素揚げで。
海老
サクッと軽い食感の衣が次第にジュワっと口内で溶けていく。あらま。この感覚はあの名古屋の…!
衣の甘さ?いや、ちゃんと海老の甘さです。
レア気味に揚げられ、口溶け感と甘みの強さに感動。
海老2本目
より長く揚げて。プリッとしてむっちりとした肉質と強い甘味を楽しむ。相変わらず衣の溶け感いいです。
白魚
サイズの大きいトロトロの保水された白魚。
味わいは淡白ながらも嫌味がない。
蕗の薹
30分、一時間前に取って皮をむいたもので小さいながらもその香りの威力に驚かされる。改めて野菜の取れたて鮮度に感動。
白子
しっかりめに揚げることで白子をコーティング。トロンとした旨味と潤いもしっかりと内包。
アスパラガス
サイズも大きく感動級のみずみずしさ。下の方まで柔らかく香りも抜群。ジュースです。
もずく・蛍烏賊
黄身酢と共に。天ぷらが続いたので酸味で口直し。
ワカサギ
香ばしさを出すためしっかりめに揚げてある。揚げの強弱もつけてます。
海老詰めの椎茸
芝海老を粗めに叩き塩胡椒したものを椎茸に詰めて。プリプリの海老の風味と椎茸のお得な一品。
蛤
衣は厚めにし、蛤エキスと旨味をしっかりと内包した。とにかく味が濃く、旨味の余韻が素晴らしい。
たらの芽
牡蠣
岩手県広田湾。かなりサイズ大きくクリーミーさはないが牡蠣らしい旨味はしっかりと。
ブロッコリー
朝摘み。
玉締め
白身の魚のしんじょ、帆立の貝柱、くわい、木耳、生の青海苔の餡、下に茶碗蒸し。
穴子の骨
前回の骨を干したもので柔らかく味もある。
穴子
直前に捌いた穴子。このタイミングで油を変えて衣も作り直しす。
新しい油、割きたて、衣は作りたて。この三つの条件を満たした状態でないとうまくいかないらしい。ツメも提供してくれた。
ホイップ状のこの衣と揚げる力の強い新しい油のおかげで劣化する前にあっという間に火が通り、ホクホクの身を楽しめるようになる。
何もつけなくとも香りはよく、身に甘味がある。もちろん臭みもなく、胃もたれもない。
間違いなくこの店のシグニチャー。
下仁田葱
ネギは香ばしく、そしてトロトロで甘みも。
もう半分はちり酢などで。
そら豆
雲丹の大葉巻き
ゆり根
ホクホクの後にくる強烈な甘み。
糖度が22度~24度とメロンより甘い「月光」。
追加 アオリイカ
先ほど生で食べたがどうせならという事で天ぷらで。この衣と柔らかい烏賊の食感の調和がなんとも言えない魅力がある。甘さは言うまでもなく。
帆立
食事は天丼、天茶、天バラから選択。
天バラってあまり聞かないので天バラを。
天バラご飯
芝海老、帆立をバラバラに揚げてご飯と混ぜたもの。大葉の刻み、煎り胡麻、味付けは塩で。
タレでなくサッパリいただくなら天丼よりもいいかも。
この赤だしが旨い。最後まで堪能しました。
苺
お会計は17,600円。
やたらと高級食材を使うことなく実直に技でみせる姿勢に非常に好感が持てました。
ダマのない完成度の高い衣、温度と香ばしさの強弱による天ぷらはかなりの種類を食べたはずなのにコースを通して食べ疲れが全くない。
超ハイレベルな天ぷら屋が群馬県の田んぼの中にあります。これだけでも来たくなりませんか?笑 ごちそうさまでした。
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