静岡県が誇る最強の鶏「天城軍鶏」。

名前は聞いたことがあっても、どんな環境で、どんな思想で育てられているのかまで知っている人は多くない。
今回訪れたのは、伊豆市の山間部にある天城軍鶏の鶏舎「堀江養鶏場」。
山から吹き下ろす風、川沿いの澄んだ空気、そして人の手が過剰に入りすぎない飼育環境。
料理として完成した一皿の前に、「素材が生まれる場所」をこの目で見てみかたかった。

それはまさに、大人のための社会科見学だった。
天城軍鶏とは何か──静岡が誇る地鶏の背景

天城軍鶏(あまぎしゃも)は、静岡県伊豆市・天城の山間部で育てられる希少なブランド軍鶏。
狩野川沿いの風通しの良い環境で平飼いされ、ブロイラーの約3倍にあたる120〜150日という長い飼育期間をかけて育てられる。
飼料には米、豆乳、ワサビの葉などを用い、成長を急がせないことで、筋肉がしっかりとついた締まりのある肉質になるのが特徴だ。
柔らかさを売りにする鶏ではなく、噛むほどに旨味が広がり、臭みがなく、赤身と脂のバランスに優れる。
塩焼きや焼き鳥などシンプルな調理でこそ真価を発揮し、料理人からの評価も高い。
天城軍鶏は、伊豆の風土と時間がそのまま味に表れた鶏肉である。
実際に鶏舎を訪れて感じたこと【大人の社会科見学】2025年4月
天城者軍鶏といえば大好きな焼鳥屋「やきとり shira」でお馴染みの鶏肉だ。

とにかく旨味が濃い鶏肉で、地鶏ならではの生命力溢れる強い歯ごたえ。
噛めば肉汁と味が湧き出る日本を代表する地鶏だ。
そんな天城者軍鶏の養鶏場に行くことになった。
いや、見学させてもらうことになった。
場所は三島駅から車で50分ほどいった伊豆「堀江養鶏」。
天城者軍鶏はブロイラーの3倍以上の時間をかけ、平飼い鶏舎で育てられている。

歩き回って自由に動いている分当然筋肉が体につく。
夏は暑くてケンカっ早くなる。人間でもやたら暑ければイライラする。だからよく動く。おかげで筋肉質で味が濃くなる。
逆に冬は寒くて脂を蓄えるから餌に栄養を抜いて調整する。
この細かな仕事こそがあの美味を作っている。
一般的な地鶏にはトウモロコシ、大豆粕、小麦をベースにした配合飼料が基本。理由は明快で栄養設計がしやすく、安定供給でき、コストも安いからだ。
だが、天城軍鶏には米も豆乳もワサビ菜も使う。
米は脂質が軽く甘味が出やすく、鶏臭さを抑え、余韻が穏やかになる。豆乳は植物性たんぱく質に肉の水分保持の役割で硬くなりがちな軍鶏の身質を角を取る方向に持っていく。
そしてワサビ菜は抗酸化・抗菌的な役割。
これらによってゴリゴリの野性味溢れる味わいではなく、軍鶏の旨さを上品に磨く方向となるのだ。

この日は天城者軍鶏を扱う色んな料理人や天城者軍鶏のファンを集ったファンミーティング。
ひと通り鶏舎を見学したあとは、天城者軍鶏を使った鍋をみんなつつく。

見学前に自生しているクレソンをとって鍋に使う。

しかし、天城軍鶏の出汁も抜群ですね。さらに色々な野菜から出る出汁と相まって何とも言えない「旨味」が鍋を満たしている。


ワインもガンガン飲んでみんなのテンションも爆上がり。

桜が咲く春。花見も兼ねての鍋会なんて最高じゃないか。

一緒に写っているのは東京・広尾の日本料理店「日本料理 四四A2」の福島親方。

そうなんです。よしあつさんでも天城軍鶏を使った料理がちょいちょい出てきます。
最近になって天城軍鶏の魅力に気づいて使いだすお店が増えてきた印象があります。




とにかくシンプルに天城軍鶏はうまい。
肉の味がダイレクトに伝わる。そしてこの鶏肉を愛してる人が沢山いるということ。
普段、皆さんは飲食店に行って生産者のことまで考えないだろう。だけど目の前に出てきた料理の根源は、一次産業の人たちの汗と苦労あってのことだと言うのを是非知ってほしい。
いや、それを伝えるのも私の役目でしたね。実に有意義な大人の社会科見学でした。
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鶏舎情報
所在地:静岡県伊豆市矢熊周辺
飼育環境:山間部・川沿い・自然換気
主な特徴:
– 山から吹き下ろす強い風が通る立地
– 鶏舎内の空気がこもらず、湿気が少ない
– 過度な密飼いを避けたスペース設計
育て方の印象
鶏の動きが落ち着いている 羽の状態が良く、無駄なストレスを感じさせない 「効率」よりも「肉質」を優先した育成思想が伝わる








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