京都・祇園四条にある日本料理店「祇園 きだ」。
祇園きだは、京都・祇園の花見小路裏手にひっそり佇む完全予約制の創作割烹。
木田康夫店主が「因縁果」の哲学で四季折々の京食材を繊細に料理し、2018年の開業翌年からミシュラン一つ星を獲得し続ける名店です。
場所は京阪電車「祇園四条駅」7番出口より徒歩約6分。京都駅からだとタクシーで約15分(約2,000円)。
店主・木田康夫氏の経歴
店主の木田康夫氏は、ミシュランガイド京都・大阪で三つ星を獲得し続ける名店「祇園 さゝ木」で初代・佐々木浩氏に27年間師事し、伝統的な京料理の技と出汁の妙味を体得。
その後、佐々木氏が展開した「祇園 楽味」で初代料理長を務め、京の食材と技法を都市部に広める役割を果たします。
2016年に独立して京都・祇園に「祇園 きだ」を開業し、開業翌年の2018年ミシュランガイド京都・大阪で一つ星を獲得。
以降も「因縁果」の考えで四季の移ろいを細やかに表現する料理哲学を貫き、カウンター8席という小規模店ながら高い評価を維持し続けています。
因縁果とは?
「因縁果(いんねんか)」は元々仏教用語で、「①原因(因)と②条件・縁(縁)から③結果・果(果)が生じる」という理(ことわり)を示す言葉です。
「祇園きだ」ではこの考えを料理に応用し、
因:素材が育まれた気候風土や生産者の想い、
縁:季節や調理技法、器や客との出会い、
果:それらが重なって紡ぎ出される一皿の味わい、香り、余韻
という三段構成で、「この一品にはどんな時間と人の営みが詰まっているのか」を大切にしています。
つまり「因縁果」は、食材のバックストーリーから調理過程を経て得られる「料理の果実」までを一貫して味わう哲学である。
実食レビュー 2025年6月訪問
本日は静岡県菊川市「おぶね」の高木親方、長野県小諸市「弁慶橋せき」の関親方たちとの貸切会。
店内はカウンター8席+小上がりの個室数室のみ。木のぬくもりを活かしたコンパクトで落ち着いた和空間は、目の前で緻密な仕事を見るライブ感と、隣席を気にせず味わえるプライベート感を両立。
思ったのは一皿一皿のポーションがまぁまぁ大きい。
僕はそんなに食べる方じゃないので、もう1/4か1/3少ない方が最後まで気持ちよく食べられます。
この辺難しいですよね。胃袋って人それぞれ違うから。
自分としては少し足りないくらいが酒が進むんですが、たくさん食べたい方には最高かと。
全体的なコースのスピードはかなりゆったりめ。3時間以上の滞在を覚悟しておいた方が良いです。
伝統的な京料理というよりも、かなり現代的要素が強め。なんと握り鮨も出てきます。
邪道をものともしないエンタメ要素と、何よりも「お客さんに楽しんでもらいたい」。
そう言った親方の気持ちがこちらまで伝わってくる怒涛のフルコース。昼飯?食ってきちゃいかんです。
この夜のディナーに合わせてきましょう。
・とうもろこしの冷製スープ
ジュンサイ、枝豆入り。トウモロコシの甘味が際立ち、食感の妙を楽しむ冷製スープ。
肉は天地を焼くイタリアンスタイル。もしくはナスキロスタイル。ヒレ肉でこの焼き方は珍しいやうな。サーロインでやる焼き方ですよね。
雲丹のソース、鮑いいね。
肉厚カットのムチムチ鮑は香り高くクオリティが高い。下は肝ソース。
そこにウニソースと紫ウニ。
鱧のお椀。出汁が流石に綺麗です。割と塩味というか味の輪郭はハッキリしててお椀慣れない人にも照準を合わせにいってるかのよう。
銚子のキンメにキャビア。ずいぶん思い切った組合せでここに何かしら意図があるんだと思うけどその説明は聞けなかった。
キャビアは質が高く塩味よりもまろやかな旨味が強いタイプ。
さて、ここでなんと親方による握り。
淡路島の鯵。シャリは甘酸っぱいタイプ。江戸前鮨とはまたベクトルが異なり西のシャリです。
壱岐のマグロ110キロ釣り。
蛇腹、砂ずり。筋は旨味と言わんばかりの味の濃さ。
漬け。マグロ自体の酸味がいい。
もちろん夏のマグロだけど親方はしきりに「夏のマグロなんで脂はアッサリです」と説明されてました。それだけわからない人が多いと言うことなんでしょう。
脂だけがマグロの魅力じゃないことをいろんな人にも知って欲しいです。
ヒレ肉。こちらではヘレか。付け合わせは3年熟成のジャガイモ。
フカヒレ煮込み。白ナス、メスのワタリガニなど。生姜の香りはかなり強め。
ひつまぶし。
熊出汁、鶏出汁、干し椎茸などの出汁でとった蕎麦。
最後は暖かな蕎麦。シンプルなんだけどスッキリというよりも複合的な旨味があって考えさせられる。こりゃ旨い。
結果的に伝統的な京料理でなく、色々な料理が出てきたし、お客さんを楽しませたいという親方の想いが伝わってきた。これって一番重要だと思う。最後にお客さんが納得すればいいんです。
お会計は55,000円ほど。
超満腹です。帰りの新幹線の時間を気にしていただき、気遣いが嬉しかった。楽しい食事をありがとうございました。
店舗情報
住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-192
アクセス: 京阪電車「祇園四条駅」7番出口より徒歩約6分
営業時間:18:00~(L.O. 19:30)
定休日:不定休(公式サイト・電話で要確認)
席数:カウンター8席+小上がり個室数室
予約:完全予約制(電話/一休.com にて受付)
予算:ディナー約30,000~40,000円/人程度
サービス料:会計時に10%