東京・銀座にある鮨屋「鮨 門わき」。

銀座には無数の鮨屋があるが、なかなか差別化が厳しい世界。
そんな中で、一際個性を輝かせる店が「鮨 門わき」だ。
さて、一体どのような店なのだろう?
「鮨 門わき」ってどんな店?
オープンは2021年12月13日。
門脇賢寿親方は東京都町田市出身。
17歳より町田の鮨屋で修業を積み、江戸前寿司の原点を学ぶ。
親方の引退と共に渡米し、帰国後に某飲食企業の総料理長を歴任。
その時の後輩に当たるのが、茨城県笠間市にある「鮨松榮 (旧店名 :松榮鮨)」の臼井親方である。
直接指導はしてないがいまだに飲み仲間の関係のようだ。
全国の漁師や仲卸き自ら訪問し独自の仕入れルートを確立したことで、豊洲市場に頼らない仕入れ力を手に入れる。
豊洲を軸にしながらも、産地直送の魚を柔軟に使い、独自の握りを提供する稀有な店である。

凄いのは漁師がやる血抜きを親方がやると言うこと。津本式の血抜きも学び、それを活かす握りを提供している。
2025年12月訪問
場所は銀座駅C3出口を出て、肉割烹の「肉屋 田中」を過ぎて新橋方面へ向かう途中のACN銀座7ビルディングの6階。

「銀座 きた福」の目の前ですね。

最初多少迷いました。ビルに看板が出ていないので常連も迷う時があるそうです笑
握り手は2名。
コースは35,000円税込にサービス料10%。
スタッフは美女でしっかりとサービス料分働いてくれます。
料理は時に熟成、いや、単に熟成したものでなく、適正に寝かせ、さらに旨味をブーストさせる深化させた握りが印象的。
食べ歩きをしている人こそ楽しめるお店ではなかろうか。
結構やってることがマニアックというか仕事が独創的です。親方は日々「答えのない答え」を探してるのが凄く伝わってくる。
以下、いただいた料理。
・加賀蓮根

蓮根の蓮蒸し。かなり澱粉質です。
上からマグロ節の餡をかけた滋味深い味わい。
・鮑

千葉の鮑と肝ソース。
定番かと思われたがソースにはバター、柑橘が使われ、濃厚の方向性ではなく、意外とサラッと。
柑橘の酸味が後味が軽くて新しい味覚です。

定番だけどこちらにシャリをぶち込んで。
シャリ山形の黒澤ファームが鮨用の米として作った「笑みの絆(えみのきずな)」である。
このシャリがやたらと米の旨味に飛んでおり、特に酢の酸味と米粒の甘味が見事な相性。さすが鮨用に作ったお米だ。
酢は赤酢2種類で仕上げに輪郭を整えるために米酢を少量。

さて、この時期の定番であるセコ蟹。そして真鱈の白子。
ここでは白子を炭火で焼いて潰してセコ蟹と合わせる。

さらに上からカラスミをかけ、山椒の葉を。
説明せずとも味の想像は容易だと思うが、当てには最高だ。日頃日本酒はあまり飲まないが、つい熱燗を頼んでしまった。
さて、ここから握りにはいる。

・白星フエフキダイ


全く聞きなれない名前の鯛だがこれが素晴らしい華やかな鯛の香りを発している。
津本式で血抜きを行った鯛で、そもそも津本式はやりすぎると風味がなくなってしまう血抜きだ。
それをいい塩梅で仕上げてみせる。
シャリとの調和も見事で、程よいコクと酸味がネタを引き立てる。
米次第はもっちりとして米の旨味を感じられるもの。

門脇親方は柔和で堅苦しい緊張感はなく食事を楽しめる。
・イクラ

時期的にギリギリのイクラ。ぷちんと口の中で弾けてジュースがシャリと混ざる。海苔の香りも口内調理。
・小肌

ジューシーだが、身質が一般的な小肌と違ってとろける感じだ。そして独特な熟成香を感じる。
旨みは濃く、聞けばナカズミだそうだ。
しかも細かい仕事で一週間旨味をまわしたもの。
・本ミル貝

縦に繊維を潰さないように包丁をいれる。
肉厚で食べ応えある身は甘味と旨味を発する。

焼いた貝はやたらと熱燗を進める力がある。
・中トロ

大間。わかりやすい脂の甘みがあるトロだが炭で少しだけ炙って香ばしく香り付け。
・タコ

佐島。中に海苔を挟んで。香り付け。タコ自体の香りも抜群。
・鰯

飾り包丁が美しい見た目の鰯。
食べてみるとねっとりクリーミーでフレッシュな鰯とは全く異なる別次元の味覚に深化しております。
聞けば一週間仕込んでるとのこと。鰯って繊細で少しサボればたちまち臭みが出る魚。
いやぁ、門脇さん、変態です。この一貫で確信に変わった。
・車海老

熟成がメインかと思ったら車海老は茹で置きではなく、茹でたて。
プリッと筋肉質な弾力に富む旨味とシャリの酸味に出会う。
・赤身

三厩。筋をはがした、いわゆる「赤みのはがし」。
驚くほどもっちりとして天身のような柔らかさ。
・雲丹

雲丹の握りは雲丹が気づかないうちに消えていることが多い。ならば最初から口内調理をということで雲丹とシャリを和えて。
だけどね、もちろん雲丹は旨いんだけど、結果的には「米が旨い」という感想になる。

巻物は追加。この海苔が特別で、直前に店でサッと炙る。

左が炙ってないもの、右が直前で炙ったもの。炙ったのは緑がかっていて香りの濃度が驚くほど高い。
・マグロの手巻き

マグロも美味いけど、

干瓢も美味いけど、
この海苔とシャリが主役級の存在感を放っている。干瓢は食感があり、程よい甘さと旨みがある。いい仕事してます。
・穴子

・しじみの味噌汁

しじみの出汁が出たほんのりと甘くも滋味深い味わい。
・玉子焼き

芝海老、大和芋を使ったクラシカルな玉子焼きでコースを締める。



ビールと数杯熱燗を頼んでお会計は約50,000円ほど。
「銀座で鮨屋」と言うと既視感しかないが、しっかりと印象に残る握りをいただけたと思う。ごちそうさまでした。
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店舗情報
名称:鮨 門わき
住所:東京都中央区銀座7-4-6 ACN銀座7ビルディング 6F
最寄駅:銀座駅 徒歩5分
営業時間:
月・火・水・木・金・土
17:00〜22:00(L.O.21:30/最終入店20:00)
定休日:日曜・祝日
席数:10席(カウンターのみ)
予算:¥30,000〜¥39,999
支払い方法:カード可(VISA/Master/JCB/AMEX/Diners)
サービス料:10%
予約:完全予約制
備考:個室なし/全席禁煙
オープン日:2021年12月13日







