東京・銀座にあるフレンチレストラン「アンシュマン」。
店名の「En-Chemin」はフランス語で「途中経過」や「続く」と言った意味がある。
店内は清潔感があり木の温もりが感じられるフルオープンカウンター8席。
格式張った感じはなくとても和やかな雰囲気が漂う。

料理は仕込みからなにまで全てオーナーシェフである大岸さんがお一人で行う。デザートのマカロンまで作ってしまう。
「一人は気楽でいいですよ」というシェフは時に20時間も厨房に立つという根っからの料理人。
2023年6月訪問
2月に大岸シェフが倒れ、復活後の「アンシュマン」初訪問。
場所は銀座駅B7出口より徒歩3分。

クラシカルなフレンチで誰が食べても美味しいフランス料理レストラン。
仕込みから料理まで全て一人で行う、まさに料理に命をかけた料理人。
大岸シェフ

頑張りすぎて、ついに過労で腸に穴が開いたそうです。
前回、冗談交じりに「そんな働いてたらいつか倒れますよ」って言ってたのが本当になってしまった。
人間、休みは大事です。けどご無事でなにより。今回はその快気も含めての訪問。
12皿のコースは13,200円。ディナーですよ?お得すぎるでしょ。
ちなみに8皿のコースは6月より値上げするそうです。いや、むしろいままでが安すぎですって。
一皿1000円って下手したらいまのラーメンより安いですから。
※この動画を観るなら一番下までスクロールください
以下、「皐月(5月)のお料理」。
・生ハム マスカルポーネ

生ハム、マスカルポーネチーズを合わせたものを自家製のシュー生地で挟んだアミューズから。
これらの塩味と泡との相性がすこぶるいい。
・トリュフのシフォンケーキ

作り方は通年で変わらないが、時期によって使うトリュフの香りが変わってくる。
今日のは特にトリュフの香りがいいです。デュクセルと共に。
・箱根芦ノ湖桜鱒 豌豆豆 ミント

冷やし固める「ショーフロワ」という古典料理。

マリネしたサクラマスの上にマヨネーズ、ヨーグルト、生クリームをかけて冷やし固めてある。
フヌイユ(フェンネル)のソース、ミントの香りをつけたオイル、えんどう豆のピューレと共に。
濃厚さや旨味、清涼感、塩味と色んな要素で構成され、トータルのバランスもいいです。
だって鱒にマヨネーズって間違いないでしょ。
・ホッキ貝 ホワイトアスパラ ミモレット

ホワイトアスパラガスの上にはホワイトアスパラガスで作ったブランマンジェ。
フランボワーズビネガーとマリネした北寄貝は甘味と酸味が共存。
上からミモレットというチーズをかけて、こちらも味わいは軽やかだ。
・稚鮎 国産地鶏 クレソン

メロンと胡瓜のマリネは瓜と鮎の鉄板の組合せ。

見た目も綺麗。鮎の内臓と瓜の爽やかさがなんともいい感じ。
・長野県産兎 春キャベツ エスカルゴバター

長野のウサギのコンフィのキャベツ包み。
ウサギの骨からとったソースをかけて、さらに上から牛乳の泡を。
ウサギは鶏肉の様でホロホロ。臭みもないです。
・新潟県長岡牛蒡 フォアグラ

これも立体的な盛り付けが美しいです。パリパリと牛蒡チップスを崩しながら温かいスープに濃厚でマイルドなフォアグラを溶かしながら。
・本日鮮魚のお料理

本日の魚は金目鯛。

パリパリに焼き上げた鱗と身は火は通ってるがレア気味に仕上げてある。
金目鯛の出汁を使ったソースは滋味深い。
付合せは沖縄の島らっきょう、茗荷のピクルスで酸味をアクセントに。
・長崎県アワビ 春牡蠣 モリーユ茸

昨年より鮑は小さくなったが、さらに春牡蠣、モリーユ茸を追加してパイで包んだ。味わいにコクが増している。
肝で作ったソースも重厚感ある旨さ。
・国産仔牛 リ・ド・ヴォー 野生黒舞茸

リードヴォーと黒舞茸をアーモンドのクルートで包んだ料理。シンプルに旨い。
・〆の一皿

今回はキーマカレー。ご飯はバターライス。最高でしょう。この量だからいい。
・マンゴーパッションフルーツショコラ

甘味はチョコレートのアイスとマンゴーとババロア。もちろんこれらも自家製です。







お会計1人辺り24,200円。
難しいことは一つもない。料理の説明に魂が宿っている。
人に聞かせる気がないカッコつけたフランス料理レストランのサービスに聞かせたいくらい。
カンテサンスのようなスタイリッシュさは求めてはいけないし、ここは大岸シェフの人柄を味わう店。ごちそうさまでした。
2022年10月訪問
5月以降2回目のフレンチレストラン「アンシュマン」。場所は銀座駅B7出口より徒歩3分ほど。
店内は温かみのあるフルオープンカウンター8席のみ。

今回は13,200円の12皿のコース。仕入れが上がった為少しばかりコース値段が上がったがそれでも十分にお得であり、フランス料理の良さとシェフの人柄が乗ったコースを堪能できる。
以下、いただいた料理。
タラバ蟹 / 蕪 / 柚子

タラバ蟹を京都のかぶらで挟みラビオリ仕立てにしたもの。柚子はキャビア、蟹とそれぞれ相性良し。
トリュフのシフォンケーキ

アンシュマンのスペシャリテ。作り方は通年で一緒でも時期によるトリュフの香りの変化によって風味、味わいも変化する。この日は前回よりも香りに華やかさが増した。
ほんのりとした甘さとトリュフの香りの品あるしっとりケーキ。
秋刀魚 / 秋茄子 / 生姜

秋茄子のピューレの間に秋刀魚、生姜、ドライトマトを挟み、秋茄子で巻いたもの。
ソースの秋刀魚の肝のほろ苦さとバルサミコの酸味が大人の味であり、クセになる。
牛テール / セップ茸

牛テール煮込み、セップ茸で作った肉まん。ビーフシチューの様な味わいのソースはどこか懐かしさがある。
舞茸 / クレープ / グラスシャンピニオン

舞茸、霜降りひらたけ、ハナビラタケ、柳松茸の天然茸4種をソテーしクレープで包んだもの。上はマッシュルームのアイス、マッシュルームのパウダー。ソースはなくアイスがその役割を担う。
キノコの香りが主役。クレープにアイスの温度感と食感も素敵な組合せ。
テットドコション / オマール海老 / ラビゴットソース

テット・ド・コションとは子豚の頭、耳、舌、足を煮込み冷やし固め、パン粉につけて揚げ焼きした王道フランス料理。ちなみにテットは頭、コションは豚の意。
豚のもってる濃厚なゼリーっぽいゼラチン質とカリっとした外側とのコントラスト。
また、ピクルス、マスタード、ケッパー、白ワインビネガーで作られた酸味とスパイシーなラビゴットソースも豚の旨味にアクセントを加えている。
付け合せは香り高きオマール海老のソテー、レンズ豆。
栗 / リードヴォー / ショコラ

滑らかで上品な栗のブルーテ、軽い牛乳の泡、柔らかなリードヴォー、カリカリのベーコンがアクセント。
クエ / モン・サン・ミシェルムール貝 / ポットベラ

本日の鮮魚はクエ。ポットベラ(ジャンボマッシュルーム)を貼り付けプレゼ(蒸し煮)にしたもの。
モン・サン・ミシェルムール貝のワイン蒸しを付け合わせに。

クエやムール貝の出汁を使ったアルベールソース、塩味やコクのあるチーズのガレットが味を引き締める。
長崎県黒鮑 / 帆立貝

鮑と帆立貝のムースのパイ包み。

鮑パイも旨いんだけど王道ブールブランソースの骨太な旨味と酸味がしっかりと皿を支えており重そうだが後味は軽い。
仔鳩 / 林檎 / 柑橘

腿肉、胸肉のロースト、ハツとレバーのソテー。ソースは骨から取った旨味を詰めて。
付け合せには林檎のキャラメリゼ。
内臓を使ったソースに柑橘の相性もいいです。
〆の一皿

小海老のリゾット。海老の風味が凄く〆に相応しい一皿。
ファーブルトン / 白胡麻グラス / 黒胡麻チュイル

本日のお酒(ペアリング)








いやぁ、すごいボリュームでした。昼調整しないと食べられないくらいの満腹満足コース。
本日のお会計一人約21,800円。なんたる良心的な金額。大岸シェフが身を削って提供してくださったおかげ。
料理はクラシカルなフランス料理がベースだがソースは決して重すぎず味わいは優しい。一皿での香りや味のバランスが計算され後味は軽やか。
「自分の電車賃やタクシー代は不要。それらをお客様に還元して満足して帰ってもらいたい」と言うシェフの熱い気持ちがこちらまでしっかりと伝わるコースでした。ごちそうさまでした。
2022年5月訪問
銀座のフレンチレストラン「アンシュマン」。
銀座駅B7出口より徒歩3分ほどに位置するビルの7階。以前お邪魔した鮨屋「一㐂」があるビルだ。

店名の「En-Chemin」はフランス語で「途中経過」や「続く」と言った意味がある。
コースは「季節のディナーコース 6,500円」と他店のランチ価格でディナーコースが楽しめる。銀座の一等地でおそらく最安値だろう。
ペアリングも驚きの4400円。
料理はクラシカルないわゆる「王道フレンチ」だがソースは濃すぎず柔らかな味わいで食材を引き立てる。フランスでの修行経験など含め30年以上のキャリアが一皿一皿を丁寧に作り上げる。
以下、いただいた料理。
・播州赤穂の新玉葱 甘海老 天豆

新玉葱のブランマンジェに甘海老、そら豆を添えて。ジュレは甘海老でとったコンソメ を。
ふくよかで口当たり滑らかな新玉葱のブランマンジェに豆と甲殻類の柔らかな香りが馴染む。
・トリュフのシフォンケーキ

皿の温度は高く、シフォンケーキもトリュフ香る温度帯。
その香りに嫌味はなくフワッとしたシフォンケーキの甘さが呼応する。
エシャロットとマッシュルームを煮詰めて作ったデュクセルと合わせて香りと旨味を楽しむアンシュマンのスペシャリテ。
・長茄子 赤海老 クレソンソバージュ

茄子、赤海老アボカドで作ったテリーヌ。
ソースはイタリアンパセリ、セルフィーユ、オリーブオイル、生クリームで仕上げた。
キャビアの塩味、レモンの酸味が爽やか。
・鮑 牛スジ

鮑と牛スジのパイ包み焼き。焼き色素晴らしいですね。
色気を含んだ香り立つサクサクのパイ、赤ワインなどでじっくり煮込んだホロホロの牛スジ、ムチムチの鮑。
ソースは牛スジを煮込んだ時の出汁に鶏出汁を加えて伸ばしたもの。
食感と香りの見事なバランス。
・本日鮮魚 帆立貝 新じゃが

クロムツにガレット仕立ての新じゃがをはりつけ、他に帆立貝のポワレ、帆立貝のラビオリ。ソースはブールブランとえんどう豆のソースの2種類。豆がブールブランの酸味を柔らかくする。
・仔羊 ズッキーニ クロケット

オーストラリアの仔羊のロースト、フォアグラと肩ロースのクロケット、ズッキーニのキッシュ。
ソースは仔羊の骨から取ったものとパセリを使用。香り高いです。
クロケットはフランスの揚げ物料理のこと。ちなみに日本のコロッケの元になった料理である。粗挽きの肩ロースのクロケットはどこかメンチカツの様な身近さ。
・チーズのリゾット

〆はシンプルなチーズリゾット。トリュフ掛け。
量もこれ以上だと食べられないし、だけどもう少し食べたくなる適量。シンプルに濃厚で旨い。
・オレンジ マスカルポーネ ショコラムース

なんとマカロンも手作り。
オレンジとチーズ、チョコレートとオレンジの相性もいい。
茶菓子
本日のお酒






お会計は約12,000円。
人々をワッと驚かせるインスタ映えやイノベーティブなものはない。
そこにあるのは誰が食べても美味しいと思える王道のフランス料理であり、30年以上のキャリアを持つ大岸シェフのひたむきさや実直さである。
高級食材を使用する事なく自分の腕一つで料理を展開していく。
温和なシェフの表情の中に確固たる職人としてのプライドが垣間見えた。ごちそうさまでした。












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