銀座のフレンチレストラン「アンシュマン」。
銀座駅B7出口より徒歩3分ほどに位置するビルの7階。以前お邪魔した鮨屋「一㐂」があるビルだ。
店名の「En-Chemin」はフランス語で「途中経過」や「続く」と言った意味がある。
店内は清潔感があり木の温もりが感じられるフルオープンカウンター8席。
格式張った感じはなくとても和やかな雰囲気が漂う。
料理は仕込みからなにまで全てオーナーシェフである大岸さんがお一人で行う。デザートのマカロンまで作ってしまう。
「一人は気楽でいいですよ」というシェフは時に20時間も厨房に立つという根っからの料理人。
コースは「季節のディナーコース 6,500円」と他店のランチ価格でディナーコースが楽しめる。銀座の一等地でおそらく最安値だろう。
ペアリングも驚きの4400円。
料理はクラシカルないわゆる「王道フレンチ」だがソースは濃すぎず柔らかな味わいで食材を引き立てる。フランスでの修行経験など含め30年以上のキャリアが一皿一皿を丁寧に作り上げる。
以下、いただいた料理。
・播州赤穂の新玉葱 甘海老 天豆
新玉葱のブランマンジェに甘海老、そら豆を添えて。ジュレは甘海老でとったコンソメ を。
ふくよかで口当たり滑らかな新玉葱のブランマンジェに豆と甲殻類の柔らかな香りが馴染む。
・トリュフのシフォンケーキ
皿の温度は高く、シフォンケーキもトリュフ香る温度帯。
その香りに嫌味はなくフワッとしたシフォンケーキの甘さが呼応する。
エシャロットとマッシュルームを煮詰めて作ったデュクセルと合わせて香りと旨味を楽しむアンシュマンのスペシャリテ。
・長茄子 赤海老 クレソンソバージュ
茄子、赤海老アボカドで作ったテリーヌ。
ソースはイタリアンパセリ、セルフィーユ、オリーブオイル、生クリームで仕上げた。
キャビアの塩味、レモンの酸味が爽やか。
・鮑 牛スジ
鮑と牛スジのパイ包み焼き。焼き色素晴らしいですね。
色気を含んだ香り立つサクサクのパイ、赤ワインなどでじっくり煮込んだホロホロの牛スジ、ムチムチの鮑。
ソースは牛スジを煮込んだ時の出汁に鶏出汁を加えて伸ばしたもの。
食感と香りの見事なバランス。
・本日鮮魚 帆立貝 新じゃが
クロムツにガレット仕立ての新じゃがをはりつけ、他に帆立貝のポワレ、帆立貝のラビオリ。ソースはブールブランとえんどう豆のソースの2種類。豆がブールブランの酸味を柔らかくする。
・仔羊 ズッキーニ クロケット
オーストラリアの仔羊のロースト、フォアグラと肩ロースのクロケット、ズッキーニのキッシュ。
ソースは仔羊の骨から取ったものとパセリを使用。香り高いです。
クロケットはフランスの揚げ物料理のこと。ちなみに日本のコロッケの元になった料理である。粗挽きの肩ロースのクロケットはどこかメンチカツの様な身近さ。
・チーズのリゾット
〆はシンプルなチーズリゾット。トリュフ掛け。
量もこれ以上だと食べられないし、だけどもう少し食べたくなる適量。シンプルに濃厚で旨い。
・オレンジ マスカルポーネ ショコラムース
なんとマカロンも手作り。
オレンジとチーズ、チョコレートとオレンジの相性もいい。
茶菓子
本日のお酒
お会計は約12,000円。
人々をワッと驚かせるインスタ映えやイノベーティブなものはない。
そこにあるのは誰が食べても美味しいと思える王道のフランス料理であり、30年以上のキャリアを持つ大岸シェフのひたむきさや実直さである。
高級食材を使用する事なく自分の腕一つで料理を展開していく。
温和なシェフの表情の中に確固たる職人としてのプライドが垣間見えた。ごちそうさまでした。
この動画を観る⬇️
コメント