信州・八ヶ岳の麓にある最近評価が爆上がりの薪火イタリアンレストラン「カエンネ」。
臼井シェフとは2度ほど食事会でご一緒させてもらったが今回は満を持して彼の店に訪問。
新宿から特急あずさにのって茅野駅まで2時間ちょっと。この特急あずさがなかなか揺れるので二日酔いでは行かないように。
茅野駅からはさらに車で20分という立地。
木々の葉は色付き、色彩豊かとなった山の中という素敵なロケーションの中にポツリとレストランが佇む。
ここはイタリアの田舎?いえ、長野県です。
天井が高く開放感がある店内、目の前に薪窯が見えるカウンター4席、テーブル、個室。
シェフ: 臼井 憲幸さん
出身は横須賀だが奥さんの出身が長野という事でこの地で店を開く。3年間イタリアのロマーニャ、ピエモンテなどで修行の後に帰国。東京で経験を積んだ後にこちらでレストランを立ち上げる。
店内で薪が燃える音に耳を傾けながら滋味深い料理をいただくという贅沢空間。
料理のベースはイタリアンだが八ヶ岳麓の食材を引き立たせるため薪を使ったシンプルな料理の数々。どの皿にも発酵の要素を散りばめるのも特徴的だ。
冬が半年続き食物が採れないこの土地では発酵文化が根付いており臼井シェフはこの地で自信がレストランを営む意義を料理に宿す。
季節のコース 13,000円。
以下、いただいた料理。
自然熟成生ハム/真澄の酒粕
本場イタリアで学んだクラテッロの伝統製法を基に地元の銘酒「真澄」のこうじを用いて自然熟成させた生ハム。下は酒粕と発酵させたジャガイモをパスタ生地に混ぜ合わせたものを揚げたもの。揚げ物と一緒に食べる事でよりふわっとした生ハムの食感と旨味を引き立たせる。
ジャージー乳/寒天
ミルキーでまるで豆腐を思わせるふくよかなフレッシュチーズ。寒天、発酵させたトマトとセミドライトマトを使い酸味とのコントラストをはかる。
八ヶ岳天然茸/鼈
すっぽんの身、発酵させた青唐辛子のペーストを詰めたラビオリのスープ。
滋味深い味わいに茸の香り。スープは味付けを控えめにし、代わりにラビオリはほんのりスパイシーに仕上げる。あくまで茸の香りが主役でありこのバランス感覚が素晴らしい。
甲斐路軍鶏/クレソン
軍鶏を発酵させた茸ソースに漬け込み薪で表面を焼いたもの。下には焼き茄子のペースト、卵黄のソース、泡、クレソンを添えて。
まろやかななソースに薪火特有の香りが優しく調和する。
鰆
薪焼きの鰆の火入れの巧みさが見た目にも現れている。皮目はパリッとし仄かな薪焼きの香りが綺麗な余韻の相乗効果となる。
添え物はつるむらさきとトレビスをソテーしたもので一年熟成させた鮎の魚醬で味付したもの。ソースは酒粕とサフラン。
シルクうなぎ/蕎麦の実
岡谷のシルク鰻の薪焼き。鰻を発酵したブルーベリーに漬け込み、かば焼き仕立てにしてあるのが面白い。
添えてあるのは信州らしく蕎麦の実とビーツのサラダ。
〜信州産小麦〜八ヶ岳天然茸
信州の小麦で作った手打ちパスタに八ヶ岳で採れた2種の茸。
茸の肉厚な食感に芳醇な香りを纏ったパスタ。
なんだこの胃に馴染むような優しくも茸の旨味に溢れたパスタは。
〜薪焼き〜信州新町 峯村さんのサフォークラム
薪焼きされたラム肉はジューシーで旨味に溢れ薪の香りもスパイスとなる。薪焼きのメインたるやの存在感である。
他に自家製農園の野菜の南蛮漬け。
蓼科米/天然ハナビラタケ
アマゾンカカオ/洋梨
ホオズキ/ほうじ茶/アマゾンカカオ
本日のお酒
お会計は一人約15,300円。ビール一杯しか飲んでいないとは言え安過ぎる。
コース通して食べ疲れが一切なく、だけどダレることもなく、素材を活かしたイタリア料理はしっかりと信州を感じさせてくれる。まさにこれぞ臼井シェフのイタリア料理である。真摯に料理に向き合う臼井シェフの人柄が現れた料理でした。ごちそうさまでした。
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