【舞台Blu-ray】悪童「今までのNACS舞台作品と毛色が異なるため楽しめるかどうかは観客次第」

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はじめてNACS以外の人が作った

TEAM NACSの15回目の公演です。

今までの作品はほぼリーダーの脚本だったのに対して今回は脚本、演出は外部委託です。

これまで1人何役もこなしたり女装したりと5人だからこその知恵を使った演出方法とは異なり登場人物5人のみの正統派の会話劇となっています。

なので今までのNACSの舞台が好きだった人には少しだけ違和感のある、ある意味では普通の演劇だったかなと思います。

だからと言って面白くないわけではないです。

脚本もよくできてるしメンバーの個性もよく出ていて話が二転三転して最後まで目が離せないです。

そこはプロというか流石のひとこと。

そもそも2時間もある会話劇を飽きることなく最後までみせるのって本当に凄いなと感心するばかりです。

だけど見た感想としては、上手くまとまりすぎてるというか…

話の展開もうまいんですけどなんかNACSである必要があったのかな?と思ってしまいました。新たな挑戦と言われればそれまでですがむしろ王道な舞台を見ているような感じ。

森崎作品の『honor』のようなラストにカタルシスを感じる作品ではなかったです。

まぁあえて今までとは変えたかったという意図があったんでしょうからそう意味では成功でしょうね。

とん平を取り巻く会話劇

今回は登場人物の「とん平」を取り巻く話です。だけどとん平は出て来ない。彼らの会話の中でとん平がどんな人物か想像しながら観客が人物像を形成していくわけです。

この辺『桐島部活やめるってよ』や『キサラギ』のようです。

最初はそのとん平が学生時代に先生に虐待されていたことにより自殺未遂をしたというところからどんでん返しが起こります。

ちょっとしたミステリーやノスタルジー要素もあって謎が謎を呼ぶ。

伏線があって最後にはちゃんと回収はされています。

さりげなくイジメをテーマにしてたりします。

5人全員が本人達に自覚がないのに実はとん平をイジメていたのではないか?という。

本人にその気がないのにはたからみればイジメということになる。あとはやられた本人の意識の問題というか。

やられた本人がイジメと思えばイジメで、イジメじゃなくて遊んでるだけと思えばイジメではないんですよね。

観ながら難しい問題だなと考えてしまいました。

しかし2時間ずっと5人は出ずっぱりだったので相当大変だっただろうなと思います。

これ、映画にしても面白いかもしれないですね。まぁ、ほぼ会話劇なので舞台が一番なのかもしれないですけど。

今回は内輪ネタもなかったし、ある種意図的にNACSらしさを排除しようとした意欲作っていうところでしょうか。

初見の方にはとっつきやすい作品であったことには間違いないです。逆にこれきっかけで過去の作品を観てどう思うのかな?

今までの作品をずっと観てきたってのもあって私はやはりNACSが作った舞台が観たいと改めて思ってしまいました。

この新しい彼らの挑戦を受け入れられるかどうかでこの舞台の評価って分かれると思います。

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