申し訳ないが山下敦弘監督で一番好き
『リンダ リンダ リンダ』などで注目を浴びている若手監督・山下敦弘が描くドラマ。AV男優であり刑事でもある尾崎を主人公にした“最も危険な刑事まつり”で上映された『汁刑事』と、そのロングバージョン『その男狂棒に突き●』を同時収録。
この作品に出会ったのは10年前くらいか。
当時、「リアリズムの宿」が好きで山下敦弘監督の作品を片っ端から漁っていた時に発掘したDVD。
この作品、レビューしといてなんなんだけどあまり人に勧められるシロモノじゃない。
タイトルだって北野武監督のデビュー作「その男凶暴につき」のパロディでギリギリだろ。
いわゆるフェイクドキュメンタリーで本業は刑事で副業は汁男優という奇抜すぎる設定。
そして山下監督の中学からの友人の山本剛史の怪演がハンパじゃない。
もう全編キレまくり。
マジでヤバイ人なんじゃないかと一瞬演技を忘れてさせてくれるくらい。
話としては汁男優しかやってこなかった尾崎(主役)がついにAVの撮影で本番をするというもの。
もうプロットとしてはこれだけ。
そして全編ほとんど山本剛史のアドリブが続く。
唯一ラストだけがグダッてるけどトータル悪ふざけにしては面白い。
マジメに作った作品もある中で山下監督には申し訳ないが私はこの作品が一番衝撃を受けたし山下監督の中で一番好きだ。
一番面白いのはコメンタリー
奇しくもこのDVDで本編よりも面白いのが主演である山本剛史によるコメンタリー。
1人でこの作品を解説するという無茶振り。
本人も言ってるけど「あんま話すことがないですね」って聞いて、そりゃまぁそうだろうなと納得。
しまいには山下監督についてボロクソにダメ出ししている。
「この作品がいいとは思わないんですけどね」とか「最近妙に演出してきてウザい」とか「彼は真面目な人間ではない」とか後半にいたっては作品というより山下監督を全否定しにかかっている。
もうこのコメンタリーがいちいちつぼって仕方がない。
この作品の後にも似たような感じで「不詳の人」という作品もあるので気になった方はご覧ください。
当然こちらも山本剛史の怪演をたっぷり観ることができる。
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