2001年/アメリカ映画/134分
天才数学者ナッシュは、周囲に変人扱いされながら研究に没頭、やがて精神状態に異常をきたすようになり、病との闘いが始まる。ゲーム理論の基礎を築いたノーベル賞数学者ジョン・ナッシュの伝記小説を、オスカー俳優ラッセル・クロウを主演にロン・ハワード監督が映画化。
かつて一度は観たことあると思うんだけどこのインパクトのないタイトルだけ聞いても見事に内容を覚えていない。
ラッセル・クロウ主演と言われてもピンときてないのでよっぽど印象に残ってない作品ということになる。
なので今回は初見のつもりで鑑賞したんだけどこれが想像以上に素晴らしい作品で感動すらしてしまった。
実際にいた天才数学者であるジョン・ナッシュをラッセル・クロウが演じてるんだけど一つだけ気になる点と言えば、ラッセル・クロウの身体つきが良すぎて「天才数学者っぽくない」ということくらいだ。
運動してないはずなのにTシャツ姿は完全にグラディエーターそのもの。
ただの偏見かもしれないけどもっとヒョロヒョロの人が演じた方が自然かと思った。
ジョン・ナッシュの性格だけど「脳みそは人の2倍だけどハートは半分」という自分を卑下したセリフの通り。
日本の原爆について「快挙に代償はつきものだ」とさらりと言ってのけるあたり学者としては優秀なんだろうけど人として大きく欠けてるものがあるのかな。
セックスの誘い文句にいきなり「体液の交換をしよう」って軽いサイコパス感を出す辺りにもそれが現れてる。
けどその言い回しちょっと面白いな。
女性はドン引きだろうけど。
だけど結局彼は精神分裂症(統合失調症)だった事が物語の後半にわかりちょっと複雑な気持ちになった。
そうなると政府の仕事もただの妄想でエド・ハリスも存在しないんだろうなと思ってたらまさか学生時代からの友人であるチャールズさえも幻覚だったとは。
劇中でも触れていたけど友人との楽しかった思い出が全て本当はなかったと知った時の本人の気持ちって地獄なんだろうな。
せめて奥さんは本物で良かったよ。
幻覚で出てくる女の子が歳をとらない事に気付きようやく幻覚と受け止めた様だけど果たして精神分裂症ってそんなにリアルなのだろうか?
考えたら幻覚と現実の違いがわからなくなるってかなり恐ろしいよね。
何となくこの二年前に公開された「ファイト・クラブ」を思い出した。
現実のジョン・ナッシュは30年に渡ってこの病気と闘ったそうだ。
最後は奥さんと乗った車が交通事故に遭い二人とも死亡したらしい。
天才って他の人と違うって言うけど「自分の素直な感情を他人と歩調を合わせる事に苦痛を感じる」と述べるジョン・ナッシュは果たして幸せだったのだろうか?
とても孤独に見えるけど感性が異なるのでそれもまた勝手で失礼な話なのかもしれない。
ラッセル・クロウの身体つきの違和感以外はよくできた作品だと思いました。
では次はこの映画の監督であるロン・ハワードとラッセル・クロウが再びタッグを組んだ「シンデレラマン 」でも観るとしようか。
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