2005年/アメリカ映画/144分
かつてボクシングのスター選手だったが、引退を余儀なくされ、日雇いの肉体労働で妻子を養うジム。
再びリングに上がるチャンスを得た彼は、奇跡的に世界ランク2位の強豪を倒し、やがて世界チャンピオンとの試合に挑むことになる。
最近改めて観たロン・ハワード監督の「ビューティフル・マインド」が思いのほか良かったので続けて本作を。
今回も実際にいたジェームス・J・ブラドックというボクサーをラッセル・クロウが演じている。
ロン・ハワード監督 + ラッセル・クロウ主演 + 実話ということでもろ「ビューテフル・マインド」の流れを汲んでいるんだけど正直言って今年観た映画の中でダントツの出来でした。
簡単に言うと怪我で落ちぶれたボクサーが大恐慌による貧乏生活から脱却する為に再度ボクシングで奮闘する王道パターンの話。
もうね、ボクシングものは貧乏設定に限ります。
まぁ、何不自由ない金持ちボクサーの話なんて誰も観たくないだろうし応援する気になれないしね。
で、この主人公のブラドック(実際にいた方)はエグいです。
とことん金が無くて借金までして日雇いの過酷な肉体労働で家族を支えてるんだけどついに家の電気も止まってさらにボクシングのライセンスまで剥奪され、子供が体調崩して…
もうかなり生き地獄。
観てて辛くなってくるレベル。
でも世界恐慌でこの時代はみんなこう言った貧困と戦っていたんだよね。
なんだか今のコロナ不景気の先の世界を見せられてるようで妙にリンクしてしまったよ…
だけどね、人は追い詰められ負けられない状況になればなるほどブラドックを応援したくなるわけです。
これ、ボクシング映画としては完璧な要素。
これを観てる人はブラドックにさらに不幸になってくれなんて絶対思わないはず。
ブラドックは右手を骨折してるにも関わらず試合に出たことでやる気のない試合をしたとみなされライセンスを取り消しされるんだけどこれはちょっと処罰がエグすぎるだろ。
家族もいて明日の食うものもない状況で血も涙もなさすぎる。
結果、ブラドックは一回限りの復活ということでリングに上がるんだけどこれが思った以上の活躍で再びライセンスを与えられ、ここからブラドックの快進撃が始まる。
ラッセル・クロウだいぶ鍛えてんだろうな。
ボクシングシーンは演技だとわかっていながらもかなり手に力が入るものになっている。
おまけに編集も上手い。
で、ついに世界チャンピョンのベアーと試合をすることになるんだけどこのベアーは試合中に二人も殺してる殺人マシーン。
ボクシングではなくまるで殺戮と言われるベアーと対戦することにブラドックの奥さんは大反対。
だけど最終的にブラドックは試合を放棄することなく殺人マシーンのベアーに挑む。
このベアー、悪態はつくわ、試合中反則はするわでまぁわかりやすい悪役として描かれている。
これくらい憎い相手なら観てる方の気持ちとしてはブラドックの勝利一択だろう。
ある程度の演出もあるんだろうけどベアーの親族とかからしたら実際複雑な気持ちだろうな。
この最終決戦も物凄い迫力でベアーのパンチの重さも伝わってくる。
最終ラウンドでも距離を取ってれば楽に勝てたものをあえてブラドックは接近戦で挑むあたりもドラマ性があっていい。
完全に作品にのめり込んでたし最後の戦いは一瞬も目が離せなかった。
「感動」と一言で言うと安っぽい感想になるけど観ているうちにどんどん胸が熱くなってくる感覚はなんでしょうね。
きっと自分にも子供ができて家族のために戦う親父の姿がブラドックに投影したのかもしれない。
戦う親父はカッコいい。
若い人が観ても最高に楽しめるが子を持つ親父が観るとさらに感情移入できると思う。
強いて言えば練習シーンってほぼないので復活してから結構トントン拍子で進んでいく。
家族ドラマに重きを置いてるのでそこが物足りなさを感じる人もいるかもしれない。
だけど間違いなく今年観た映画の中でダントツの出来栄え。
観てない人は是非。
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