【軽井沢】LA CASA DI Tetsuo Ota「軽井沢にて年間営業40日のみ!自然と共存する太田哲雄シェフによる4時間半にも渡る壮大なコース!」

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イノベーティブフュージョン

軽井沢にある幻のレストラン「ラ・カーサ・ディ・テツオ・オオタ」。

「予約困難」どころではない。

本年度の営業は40日のみ(ちなみに昨年は12日)。

現在、なんと2026年までの予約は全て満席。

次の予約は3年後の2025年で2027年度の予約という知る人ぞ知る、幻のレストラン。

シェフは今では「アマゾン料理人」と呼ばれる太田哲雄さん。

以下、経歴を簡単に。

19歳でイタリアに渡り、その後スペイン、ペルーなどで経験を積む。

スペインでは世界最高峰レストラン「エル・ブジ」で無休で働き、ミラノではセレブのプライベートシェフを勤め、「料理で世界を変える」という料理人ガストン・アクリオの元で腕を磨き、その後南米にてアマゾンカカオに出会いその魅力に取り憑かれる。

カカオの生産国にも関わらず貧困である現状を打開するため太田氏は個人でカカオ農園と契約し、正当な対価を生産者に払うフェアトレードの仕組みを作る。徐々に太田さんの想いに賛同者が増え、今では数百件の取引先を抱えるようになる。

…という、これほどの経験をしているシェフが果たして日本に、いや世界にどれほどいるのだろうか?

このレストランで食べられるのは時にはウクライナ料理、時にはペルー料理、時には韓国料理など、太田シェフがこれまでの経験を元に作られるジャンルレスな無国籍料理。

今回のコースは山菜。

山菜に向き合うために1ヶ月前より自分の身体から塩分を抜く徹底ぶりで仕込みには1営業につき4日間を費やす。

レストランで出てくる水は山から湧き水を汲み、山菜は傾斜が急な山中に入りとってくる。

山が痩せるため、過度に予約は受け付けない。

だから次の予約は3年後。

客人をもてなす為、長野の自然を走り回る太田シェフの料理はまさに自然との共存である。

前置きが長くなった。本題に入ろう。

季節のコース料理 14,000円〜

以下、いただいた料理。


 

経産牛、山菜

ダボス牧場の経産牛の内もも、フレッシュチーズ、トマトのジュレ、キャビア、天然の山葵、山菜3種を添えて。

トマトの酸味が美しく、チーズでコクをもたせ、3種のそれぞれの山菜の苦みの個性、経産牛の赤身との調和を楽しむ。

なるほど、メインは牛でなく山菜なんだ。

藁のブイヨン、よもぎの新芽のラビオリ

よもぎの新芽を練りこんだラビオリ、藁と湧き水でブイヨンをとりラビオリを茹で、自家製発酵バターで合わせたスープ。ラビオリの中には藁で燻したチーズを。

よもぎと藁は繊細に主張し、バターは甘さがなくスッと流れていくような清らかさ。

全体を彩る酸味が美しいウクライナ料理。

ウドブキ、オムレツ

山菜の王様「ウドブキ」。

とろみはトウモロコシやジャガイモだと旨味が強すぎる為、キャッサバのしぼり汁を使用。

ウドブキは香り高く山菜特有の苦味は弱い。

あくまで山菜が主役であり、卵が旨味が強すぎない初産のものを使う。

コシアブラの天ぷら

山菜の女王「コシアブラ」。

発酵させたそば粉でくぐらせ揚げた。

サクッと香り素晴らしく、苦みも濃いがその分味も濃い。千代幻豚の前足と共に。

お隣は一年寝かせたルバーブと大根。

山ウド

山ウドと鮎を包んで揚げた春巻き。

付け合わせに山ぶどうの新芽を揚げたもの。

アカシアの花

こちらエグミ、苦味0。ワインと合います。

外で薪焼き。

肉はトモサンカク、ミスジを混ぜたもの。

標高1000mという事で火力はそこまで上がらない。

藁で香り付け。

経産牛とパン

火入れされた経産牛に赤ワインソース、バルサミコをかけてこんどは包丁で叩く。噛み切るのではなく引きちぎるという野生動物本来が肉を食べる醍醐味を堪能させてくれる。

これだけやったが牛肉は主役ではない。

主役は50年以上寝かせた天然酵母を使ったパン。

一緒に食べれば噛めば噛むほど肉の旨みと藁の香りを、そして天然酵母とカカオの風味の余韻。


 

軍鶏、大根のスープ

軍鶏と小川村の大根を湧き水で炊いたスープ。

凍らせた餅によるトロミ、軍鶏の旨味、山椒。そして大根の味の濃さに感動する。余計な調味料はいらないことを証明してくれる一品。

いわな、鱒のグラタン

テーマは混血。魚料理で単色でなく複合的な旨みを狙ったもの。


肉の脂はあまく、ペルーのスパイシーな乾燥させた唐辛子をまとわせて。

上のパンはホゲットの餌と小麦で発酵させ、餌でくるんで焼いたもの。恐らく縄文人が食べていたであろうパンを太田シェフが再現したもの。やや酸味があります。

鳩のビビン麺

山菜はヤマブキ、こごみ、黒わらび。

韓国唐辛子、すりおろしたリンゴ、生姜、ニンニク、ネギなどで和えて。

上には鳩の胸肉のソテーし、その下に鳩の内臓、モモなどを煮込んでほぐしたもの。

上からアマゾンカカオをふんだんにかけることで鳩の鉄感、山菜の苦味、甘み、辛さと味わいの複雑さをまとめあげる。

決して味が喧嘩しないのが凄い。豚肉でなく鳩を使う意味がよくわかる。

苺のジェラート

湧き水と苺のみで作ったジェラート。

本日のお酒


どちらもボトルで。

お会計は24,000円。

今までの太田シェフの人生経験、出会ってきた人達、知識、それら全てを料理に注ぎ込んだ結晶。

勿論高級食材は使わず、平たく言えば「山でとってきたもので料理を作る」。

それは「素材を美味しく」を究極に突き詰めた唯一無二の料理。

単に「料理を食べてきた」というよりは、「凄い体験をしてきた」と言った方が正しいだろう。圧倒されっぱなしの4時間半でした。ごちそうさまでした。

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