東京・銀座にある鮨屋「はっこく」。

銀座の鮨シーンは群雄割拠。
だがその中で「握り」で真っ向勝負を挑む異端の存在がある。
それが、銀座六丁目「はっこく」だ。
「はっこく」ってどんな店?
2018年2月3日オープン。
店主は「鮨 とかみ」出身の佐藤博之氏。
わずか30代にして銀座の中心で独立し、握り30貫という潔いスタイルを掲げた。
店名の「はっこく」は「白黒」。
白はシャリ、黒はネタ(海苔や醤油)。
その二極の世界で、どこまで鮨の真髄に迫れるか──
そんな問いが、この一文字に込められている。
この「はっこく」からは2022年3月に「東麻布 さいこう」が独立。

ちなみに佐藤親方が有名にした「鮨 とかみ」からも赤坂見附の「きざ㐂 (きざき)」木崎親方、愛知県名古屋市「寿し道 桜田」の太田親方、札幌の「鮨 しょう太」の小田親方など色々な職人を輩出している。
握り一本勝負という哲学
一般的な鮨コースは、つまみの後に握りを出すが、「はっこく」は違う。
登場するのは、約30貫の握り。
「鮨屋は握りで語るべき」
そう語る佐藤氏の姿勢が、コース全体を貫いている。
シャリは赤酢を2種類ブレンド。香りが立ち、酸味が強く、ネタを引き立てる。
温度管理にも徹底的にこだわり、一貫ごとに“最高の瞬間”で差し出される。
特にマグロの扱いは圧巻だ。
大トロ、中トロ、赤身、突先──
その日の個体に合わせて熟成期間や漬け時間を変える。
同じ魚でこれほど多彩な表現を見せる鮨屋は、そう多くない。
三つのカウンター、それぞれの舞台
「はっこく」は18席。
6席ずつ3部屋に分かれ、それぞれに職人が立つ。
全席カウンター。一人の職人が、一組の客に集中できるよう設計されている。
この形式は、銀座でも極めて珍しい。
一度に全員に提供するのではなく、個々のテンポや会話に合わせて進む。
2018年9月訪問
「鮨 とかみ」の元大将 佐藤さんの独立店。
2018年2月オープンではやくも予約が難しくなってる話題のお店です。
銀座から徒歩5分ほどでビルの三階です。
しかし店の内装がめちゃめちゃ凝っててかっこいいです。
「はっこく」とは「白黒」で相反するイメージだとか。名付け親はワンオクだったっけ?
なんと握り30貫コースのみ。
寿司屋に来てるんだから寿司食べたいでしょ?って感じか。
望むところです。今日はこのために腹空かせてきたんだから。
まずはビールで乾杯。

1.鮪の突先

「鮨とかみ」時代からの定番メニュー。
鮪の卸の「やま幸」の鮪。それに負けない赤酢。やっぱり安定して美味しい。
海苔もパリッと香り高いです。
九条ネギのお浸し

握り30貫といっても間に「箸休め」がちょくちょく出てきます。

ガリは辛みが強めのキレのあるもの。
2.平目

身がしっかりしていています。
ネットリしていてほのかに甘さも感じる。
3.春子鯛

平目とは食感が全く異なり今度はとても柔らかいです。味わいは淡い。
この春子鯛の仕事も「鮨とかみ」からの定番ですね。
4.牡丹海老

超絶ねっとりして甘みも凄いです。
5.鰹

気仙沼。ねっとりの後はサッパリな鰹で常に口の中に変化をってことか。
鰹もあっさりめです。
日本酒にシフト。宮城の「乾坤一」。酸味もあってキレのあるお酒。
6.蒸鮑

肝乗せでコク増し。香りの余韻が長く、噛み締めていたい。
7.鱚

サッパリした魚ですが昆布締めにすると本来の甘みが引き立つ気がします。
8.えぼ鯛柚庵漬

脂の甘みがなんともいいです。
9.いくら

塩分控えめで卵のような丸いニュアンスがいい。
ピーマンとナスの素揚げ

10.鮟肝

甘いです。蒸した鮟肝に味付けをしたもの。
甘みが赤酢のシャリを引き立てます。文句なしに美味しい。
11.煮蛤

とてもみずみずしくて口の中で蛤が踊ってるかのよう。いつまででも食べていられる。
次のお酒は「山城屋 1st class」
ほのかなフルーティな甘みはやりすぎずどんな料理にも合いそうです。そういう意味で「未完成のお酒」らしいです。
12.鮎魚女(あいなめ)

淡白なのであっさり気味。派手ではないけど旨みもあります。
13.秋刀魚

見た目が派手。そして時期だけに脂がのっていて美味い。今年の秋刀魚はいいですね。
14.墨烏賊

切れ目なし。噛むと歯がスッと入るまさに烏賊の理想形。
噛みしめる度に烏賊の甘みも感じます。
15.鮪

大間産。一週間前寝かせたもの。
16.血合いぎし

17.中トロ

中トロだけど今度は大トロに近い感じか。
一気に脂が増えてこの位が個人的には丁度いいです。
18.赤身漬け

ここで一旦赤身の漬け。さっぱりしていてリセット。
19.大トロ

まさかの鮪5貫目。そして大トロ。
この大トロにシャリも負けてないから凄い。赤酢のシャリ恐るべし。
20.小肌

怒涛の鮪5連ちゃんの後は小肌。締め具合適度です。キュッと赤酢と酸味がまぐわります。
21.車海老

プリプリで甘みもあっていうことありません。
22.真蛸

ほんのり甘みのある蛸。シャリの酸味とのバランスいいです。
次の酒は滋賀県の「七本槍」。
23.鰯

鰯の脂の甘味とシャリの酸味が見事な調和。口の中に旨みが広がります。
24.鰆(さわら)

昆布締めした鰆は柔らかく、脂の甘さが際立ちます。
25.蝦蛄

プリプリ。蝦蛄は海老とも違う味わい。
26.平貝

サクッ、シャリっと脂切りのニュアンス。
次の酒は三重県「じこん」。
クレソンとケール

渋みのある野菜。これいるか?
27.毛蟹

蟹の甘さと赤酢がいいバランスです。
28.太刀魚

脂の甘みのある太刀魚。こちらもこのシャリとよく合います。
29.バフンウニ

ネタが甘いと余計赤酢のシャリが活きますね。
30.のど黒

上質な脂と共に口の中でとろけます。
味噌汁

31.穴子

穴子さんもホロホロと口の中で溶けていきます。幸せ。
握りはこれまで。最初の鮪の突先を除いで30貫。意外と食べられるもんですね。
32.玉子焼き

上はカラメルっぽくケーキの様な玉子焼きで終了です。
最初は30貫食べることができるか不安だったけど提供する順番などもよく考えられ、常に口の中に刺激のあるように演出されている。
流石の一言。
これだけのネタを仕込むのも相当大変なんだろうなとひたすら感心するばかり。
合間にちょくちょく箸休めも提供されるのでかなりの満足度。
佐藤さんも気さくでとても過ごしやすかったです。
他にも「鮨 とかみ」出身店のお店



【はっこく】の動画
店舗情報
名称:はっこく(Hakkoku)
住所:東京都中央区銀座6-7-6 ラペビル3F
最寄駅:東京メトロ銀座線/日比谷線「銀座駅」徒歩2〜5分
オープン日:2018年2月3日
席数:18席(6席カウンター×3部屋)
営業時間:
月〜金 17:30〜22:30(最終入店20:30)
土 12:00〜13:30/17:30〜22:30(ランチは土曜のみ)
定休日:日曜・祝日(+不定休)
予算:ディナーおまかせ握りコース 約35,000円〜/ランチ 20貫コース 約25,000円〜
予約:完全予約制、2か月先まで受付








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