東京・池袋にある鰻の名店「かぶと」。
東京・池袋。居酒屋やラーメン激戦区のこの街で、ひときわ熱狂的なファンに支持される鰻の名店がある。その名も「かぶと」。
池袋駅西口から徒歩約7分。ビルの谷間にひっそりと佇むこの一軒は、鰻好きなら一度は行ってみたい“聖地”のような存在であり、予約困難なことでも有名だ。
店舗情報
住所:東京都豊島区池袋2-13-2 ESビル1F
アクセス:池袋駅北口から徒歩5~6分
営業時間:15:00~、18:00~(2部制)
定休日:日曜・祝日・木曜
席数:12席(カウンターのみ)
予約方法:予約はOMAKASE(https://omakase.in/ja/r/xs398896)からのみ受付
支払い方法:現金のみ
【かぶと】ってどんな店?
先代の店主は岩井和雄さん。
新宿の思い出横丁の「カブト」で修行され、1948年に独立し、池袋に「かぶと」を開業。なかなか歴史があります。
岩井氏はこだわりの強い職人肌な方で、天然・養殖ともに最高のものを仕入れ、鰹節、砂糖、塩、割りばしに至るまで厳選された最高級品を使用していました。
裂きたて・焼きたてのウナギを提供するスタイルで、「他のお店のうなぎが食べられなくなる」とまでお客をうならせるその味と、頑固さや毒舌トークであっという間に人気店となりました。
「ウナギは蒸さず、捌きたてを焼いて提供するよ。」
「今まで食べてきたうなぎと、うちの養殖モノの違いがわからないうちは、天然モノは出さないよ。」
「うちの山椒は特製だけど、まずは山椒なしで食べてくれ。
それでも山椒がほしかったら、お代はいらないから帰ってくれ。」
昭和ですねぇ笑。いまこういう職人って減ってます。
2016年4月からは藤森公将夫妻が2代目を継ぎ、先代とは異なるアットホームな雰囲気が評判となっております。
食べログのうなぎ部門でも常に1位の座を守っています。
2024年8月訪問
今回はお誘いを受けて初訪問。店に入るとまず感じるのは、燻されたような煙と、ぎゅっと詰まった空間に漂う昭和の空気。
カウンターは横一列に並び、奥には小上がりとテーブル席も。
けして広くはないが、むしろその“密”な雰囲気が酒を進ませる。
「こういう空気感、まさに“肴”だよな」と思わず唸る。ノスタルジーという味のスパイス。
焼台から立ち上がる煙と、大将の手際のよさを肴に、まずは金宮焼酎で乾杯。
この日は15時〜の予約で店内は煙モクモク系。
横一列のカウンターにテーブル席、小上がり席あり。
だいぶコンパクトでこの昭和の雰囲気で酒が進みす。なんでしょう、ノスタルジックって肴になるんですね。
オクラと長芋のおかか和えという精力つきそうな突き出しから。
えり焼きは関東風に蒸してタレにつけて提供。
えりとは頭の部分です。外はカリカリ、中はトロトロ。骨はあるがいただけます。
食べ終わって大将が言う。
「実は今のがうちでいちばん美味くない料理です」。ほう。
こちらは関西風。とにかく香ばしい香りと鰻の味がハッキリと。おぉ、確かにこちらの方が美味しいぞ。
大将はめちゃ手際良く目の前で鰻を捌いていきます。
こちらは単品でオーダーしたが、これがものすごい勢いコクと豆腐の甘味。塩をふればさらに大豆の甘味が際立ちます。うまぁ。金宮が進んで仕方ねぇ。
その間に捌いては焼いて、捌いては焼いてを繰り返す。凄いな…なんか鳥しきの池川さんを彷彿とさせるような素早い動き。
柔らかく凝縮した旨味が最高です。
捌いても天然はまだ動いてる。天然のパワーってすごいんだ。
串巻きや一口蒲焼など次々と堪能し次に出てきたのは心臓。
「心臓は噛まずに飲み込むように召し上がってください」
言われた通り心臓を丸呑み。元気になりそう。
天然の肝は養殖よりもあっさりと。個体差かな。
鰻の尻尾は特に味濃い。動かすからだそうだ。
天然のヒレ。
天然の白焼きは肉肉しく、変な脂のクドさがない。香りもいい。
養殖はネットリとして量は食べられそうにない。
金宮濃いめと鰻を散々食べて最後は最強の鰻ご飯。
直前に鰹節を削って昆布と出汁をとっためちゃ染みる。
最後は結構酔ってしまった。鰻屋でこんなに飲んで楽しんだのははじめてかも?
目の前で捌きを見れたのも良かった。名店と呼ばれる食べログ高評価の店で満足できたのは久々だ。ごちそうさまでした。
2025年8月訪問
一年ぶりの再訪。池袋西口(北)から徒歩10分弱。
15時〜と18時〜の2部制。
時間キッカリにならないと開きません。この日も15時の部。
逆に一日一食で済むからこの時間からの方が痩せるんです。
店内は相変わらずノスタルジックな雰囲気。これがたまりません。
藤森公将さん、何がすごいかって常に捌きながら、焼きながら、接客まで行う。スーパー職人です。
多くのウナギ屋さんはオペレーション上、朝に捌いて仕込んでおくんですがここは徹底的に「捌きたて」にこだわっています。カウンター席なら目の前で捌く光景を見ながら食事ができるのも魅力的。
最初に白焼き、蒲焼の量を聞かれます。この日は3人だったので1匹でお願いした。さらに天草の天然物があり、養殖との食べ比べも。
・胡瓜の梅おかか和え
お通しとして。シャキッと酸味爽やか。ウナギが出てくるまでこれを当てにして。
・豆腐(大桃豆腐)
これはマストで頼んだ方がいいメニューです。
大豆の味わい濃厚で甘味があります。対馬の藻塩をふると余計に甘味が際立ちます。
・えり焼き タレ
頭の部分。関東風で一度蒸して焼いている。パリパリと強い太骨とトロトロの身が特徴。
・えり焼き 塩
こちらは関西風で蒸さずに焼いています。
味や香りがはこっちの方がある。そしてこちらの方が骨が残らないな。
・ヒレ焼き
尻尾の部分。サクッと香ばしく、蕩け、濃厚。余韻と香りが抜群です。
・肝焼き
炭焼の香ばしさ、コリっとした触感にほろ苦さと甘味が共存している。
・一口蒲焼
鰻の身。タレの旨さが際立つね。旨味はあるがクドさがない。
・尻尾の方の身の肉
尻尾の方に味がいくのか濃厚で味が濃いです。
・尻尾
よく動かす部位なので味が最も濃い部分。
・鰻の心臓
動いてる。毒があるので噛んではいけません。飲み込みましょう。しびれてしまいます。
「これから新鮮な鰻を出すよ」という粋な一品でなかなか出てくる店は少ない。
動いてる心臓出す店なんてないよ。だいたい朝捌くから。ここは捌きながら焼くからできるんだね。天然の心臓はまだ動いております。
・えり焼き
天然の頭のえり焼き。しっかりめの骨。味はあっさりしてるけどさっきより香りがある。
・レバー
臭みは全くない。塩は強めに。小さい生命の旨味を感じる。
・白焼き 養殖
下が香川、上が静岡。
静岡は馴染みのある養殖の脂感と香り。養殖の産地でも全く味わいが変わります。
・白米
サイズを選べます。ノーマルで。
・ウナギのかば焼き
今回は養殖の静岡と天然の天草の食べ比べ。
天然の特徴はやはり筋肉質な食感でしょう。そしてあっさりとした味わい。天然は上振れもすれば下振れもする。
そして脂はあっさりとして香りがある。
別に天然と養殖どっちがいいかじゃなく、その日で「今日のこれはこうだよね、ああだよね」の感想を述べあうウナギ屋の楽しさがあるんじゃないかな。
オンザライス。
最高でしょう。
ご飯にタレが染み込んでこれだけでも十分いける。
・肝吸い
直前に鰹節を削って昆布と一緒に出汁をとったもの。ウナギの脂が流れていきます。
お会計はビール、金宮飲みまくって24,000円。
ウナギ屋でこの金額?と思うかもしれないが、ここでは他の店にはない雰囲気や体験ができ、それが人気の秘密なのでしょう。なにより藤森さんの客あしらいも良く、楽しんで店を出ることができる。冬あたりにまた来たい。
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