【東京・赤坂】amorphous (アモルファス)「時代の二歩、三歩先を進む料理が圧巻すぎた」

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イノベーティブフュージョン

東京・赤坂のイノベーティブフュージョン系のレストラン「amorphous」へ。

オープンは2023年8月15日とまだホヤホヤ。

店名の「amorphous」とは英語で「無定形」や「非結晶」という意味を持つ。

物質が特定の形状や結晶構造を持たず、不規則であることを示しており、従来の型にはまらない、独創性に富む佐藤幸大シェフの料理を表している。

つまりジャンル分けは不可。

シェフの佐藤幸大さんによる佐藤幸大さんの料理。イノベーティブフュージョンって言葉も相応しくない気もするが便宜上「イノベーティブフュージョン」としよう。

シェフ:佐藤幸大さん

もともと格闘家を目指していたが、プロとの格の違いを見せつけられ断念。そんな時にイタリアンの「カプリチョーザ」のワタリガニのトマトクリームスパゲッティを食べて衝撃を受け、料理の道を目指すことに。っていうなんだか微笑ましいエピソード。

国内の人気レストランや、イタリアのレストランで研鑽を積み、札幌の人気店「beija Flor (ベイジャフロール)」でシェフとして活躍。こちらはゴエミヨ掲載や全国の食通からも支持を集めていたレストランです。当初から長くやるつもりはなかったようで惜しくも閉店。世界を目指すべく、東京の赤坂にてレストランをオープンさせる。

コースは30,250円税込にペアリングを追加。

率直に言うと何でこんなこと思いつくのか?といった食材同士の組合せや、発酵を使った縦横無尽のスタイルは圧巻。もともと飽きっぽいとご本人が語るようにその時の気分で料理を変えるらしく、そのレパートリーや手腕にはただただ驚かされる。

どの皿にも遊び心が溢れ、その仕込み量に敬服せざるを得ない。

この動画は一番下のリンクから❗️




以下、いただいた料理。

・鹿/茸

人工物に全く触れていない蝦夷鹿のコンソメスープ。

塩はほんのひとふりだけ。まさに「鹿」を飲んでます。

これだけ濃くコンソメをとってるのに全くネガティブな印象がないのが素材の持つポテンシャルのおかげ。

ポルチーニのジェラート。下は白カビチーズのフォンドゥータと白カビのサラミ、キャビア。

ポルチーニとチーズの冷たいジェラートというまた新たな味わい。

キャビアもポルチーニと違和感なく交わります。シンプルに旨い。こういうジェラートなら大好物です。

・スッポン/つぶ貝

スッポンとつぶ貝のテリーヌ、茹でた三つ葉、ジュンサイ、なめ茸、赤玉ねぎのピクルス。

ビーツとポルチーニの出汁でとってるスープ。香り付けに燻製オイル。

スッポンのゼラチン質とつぶ貝の食感がなんだか新鮮です。様々な香りが際立つ料理。

・鰊/定点観測

こちらは「beija Flor」時代からのスペシャリテ。世界中どこにでもいるニシン。季節毎に状態が変わるニシンを自分の技術を定点観測する。

1日目は酢〆、2日目に酢〆にしたニシンを寝かせ、そこに発酵させた大葉のジュース、大葉、新生姜のピクルスを層にしてテリーヌにしたもの。

皿の端にはハスカップを乳酸発酵させたピューレと菊のマリネが添えてある。

ニシンの旨味や脂がしっかり〆られており、酸味が抜群の脂切り。かけられた本山葵のオイルで味変。

ニシンの卵である数の子、クリームチーズ、トリュフのタルト。

ニシンとチーズの組合せも斬新だけどこれが全く違和感なくタルトとトリュフが口中で溶け合う。

・冷麺/白甘鯛/八女茶

白甘鯛の骨とアラでとった薄めの水出汁で八女茶を加えたスープ。

アマダイは鮎のコラトゥーラ(魚醬)とオリーブオイルでマリネ、上の赤いのは発酵させた塩漬けプラム。

中にはタピオカと卵白で作った冷麺。すすれば出汁やあらゆる香りが鼻を抜ける。




・酢豚/発酵じゃが芋

豚の顔を茹で、固めてテリーヌ状にして、パートフィロという極薄の生地で包んで焼きあげたもの。

じゃが芋はアミラーゼででんぷん質を糖化させたピューレ。

上のソースは蜆のシェリー漬けの出汁と山椒、バルサミコのソース。

パリパリで中はトロトロ濃厚という食感コントラスト。コハク酸による旨味やバルサミコによる酸味、山椒など複雑で深みのあるソース。

・フォアグラ/治療

フォアグラはフランスから日本にやってくるまで2週間ぐらい経っているため、酸化してしまっている。アルカリ性水溶液で水分を入れ替え、中性にまで戻したフォアグラの料理。だから「治療」。

ビーツのパウダー、ピスタチオの飴掛け、ビーポーレン(蜂が集めた花粉)、カカオニブ、バルサミコ酢のソース。

フォアグラはフワフワです。本来のフォアグラってこういうものなんだ。極限まで軽いです。

・タヤリン/あら汁

タヤリンという極細パスタに魚のアラを炊き込んでいったもの。

烏賊墨のソース、ニンニクとサフランのマヨネーズ、バジルのソース、ニンニクと魚のピューレ、ピカンテのオイル

・バジル/グレープフルーツ

紫のバジルで作ったジュースのシャーベット、グレープフルーツ、オレンジのジェル

・クエ/ f西瓜/水キムチ

炭火で4時間強火で焼いては休ませながら。皮はパリッと力強く、ボディは旨味を伴う筋肉質な食感。

スッポン出汁のソース、白いのが大根と玉ねぎで作った水キムチのピューレ、胡瓜の水キムチのタプナード。

ムール貝のまわりのソースは発酵させたスイカ、ナンプラー、ネギのオイルを合わせたもの。

ポン酢っぽさはあるものの、瓜の香りや魚醬などで複雑さがありなんだかクセになる味覚。

・鹿/茸

ソースは鹿肉の出汁と肉醬。オクラ饅頭と茸のソテー。

手前のピューレは麹、肉醬、青唐辛子。

・蕎麦/トウモロコシ/昆布

そば茶のジェラート。トウモロコシの出汁を加えたエスプーマ。上には焦がした昆布のオイル。

そば茶の香り、トウモロコシのナチュラルな甘味、昆布の旨味と塩味と色んな方向から味蕾や鼻腔を刺激してくれる。

・小菓子

胡桃の蜜煮を乗せた水羊羹、バラの花のピクルスを乗せたチーズのタルト、台湾山椒を使った生チョコレート。

「こだわってるものは何もないです」って言いきるのも気持ちい笑




お会計は一人約47,000円。

随所に発酵技術を取り入れ、膨大な仕込み量が皿の上に乗っている。

イタリアン出身ではあるが、圧倒的な佐藤シェフのレパートリーによってジャンルレスな料理に仕上がっている。綺麗だけの料理は世の中いくらでもあるが、しっかりと旨味も伴っており、満足度も高い。

ここはまた是非季節を変えて訪問した。シェフが言う「一年後はもっとすごい」という言葉を信じて。ごちそうさまでした。

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