東京に松葉蟹を出す店はいくらでもあるが、果たして松葉蟹の専門店はあるのだろうか?
昨年のクリスマス時期にオープンした「銀座かに松」は鳥取の松葉蟹を銀座に直送する松葉蟹の専門店である。
しかも営業はなんと漁期の11月6日〜3月下旬までという潔さ。その間は休業というから全く驚きである。銀座で半年も空にしておく勇気には感服だ。
こちらは現在、鳥取に店が二軒あり、かねてから銀座で勝負したいということで昨年の12月にオープンしたばかり。
店主の田中拓也さんのは鳥取出身で、友人は松葉蟹漁船の漁師。さらに田中店主自身も競りに参加する。かなり太いパイプにより最高級の松葉蟹がこちらでいただける。大将自ら蟹を選っているため、いつでも絶対的なクオリティの蟹が入る。
2023年一発目に景気付けということで家内と訪問。
店内はカウンターと個室席があり、今回は個室席で目の前で蟹を捌いてくれた。
本日の松葉蟹はなんと1.85kgの巨大サイズ。これ、驚異的なサイズなんです。
そもそも1.2kg以上の厳しい審査を通過したものが「五輝星」という最高級ブランドなんだけど、ぶっちゃけ微妙な足の長さとかで味なんて変わりませんよ。ブランドにこだわる人は別だけど。そういうのを大将自ら触ってよってくる。
今回はその五輝星レベルのはるかに大きい1.85kgの松葉蟹を銀座で食べられるとは…鳥取現地でもなかなか巡り会えないレベルで多分鳥取で食べより…それ以上言わんとこうか。
以下、いただいた料理。
松葉蟹の真薯
上は大根。つなぎは使っておらず、もうすでに松葉蟹の味が濃くて濃厚です。
せいこ蟹
松葉蟹の雌蟹。「松葉セイコ」っておきまりの使い古されたギャグをね。
まずこの外子の量ったらない。赤いものより黒っぽい方が味が美味しいとのこと。目が覚めるようなシャキシャキの食感、味も濃い。
低温調理しておりパサ付きが一切ない身の美味さも勿論だがなにより内子の濃厚さといったら…
そしてついに…
松葉蟹1.85kg。でけぇ…
迫力すご。
大将のお友達の船だそうで。
松葉蟹の蟹味噌
一度火入れして冷やしたもの。これ味噌だけ?ってくらい甘い。フォアグラの様な濃厚さと甘さに驚く。こんなに旨いんだ…
聞けばこの様に白っぽいのが美味しい証拠なんだとか。逆に黒っぽいのは苦味があるそうだ。
蟹の刺身
ってまずこのサンタなんだ?と思ったら田中大将が作った高野豆腐の彫物だそうだ。一枚一枚重ねていってブロックにしてから彫物にしているんだとか。凄いな…
時期が外れてしまってるけどこれはサンタクロースが釣りをしている様子。
そしてこの刺身、まず巨大過ぎて一口では食べれません。そして驚くほど味が濃い。
通常、氷水に漬けて血抜きするところ別の方法で花を開かせてるそうだ。こんなに味がある蟹の刺身を食べたのは私の人生で初めてです。
蟹の昆布〆
脱水され凝縮された昆布〆による旨味成分を堪能。
蟹のバター焼き
バターで焼いただけなのにもはやグラタンの様なふくよかな味わい。生姜がアクセント。
焼き蟹
身が出た部分は完璧に火入れし、根本はあえてレア気味にして一度で二度楽しめるように。
勿論、火入れされた蟹はグッと味が濃く深まった。
松葉蟹の茶碗蒸し
柑橘をくりぬいた器の中に。
この柑橘の香りが爽やかなアクセントに。
松葉蟹のしゃぶしゃぶ
繊維と繊維の間に入り込んだ出汁と火入れで味が濃くなった松葉蟹との最高の調和。個人的にはこれが本日の優勝。
繊維が太くて噛めば噛むほど味が出てくる。
松葉蟹の土佐酢のジュレがけ
お口直しも松葉蟹。火入れし冷やした蟹は味がしっかりと引き出されている。冷たいと味をより感じます。
松葉蟹の蓮根饅頭
炊いて蒸してから叩いた蓮根饅頭。器がかっこいいな。中には松葉蟹が入っていてシャキシャキの蓮根と一緒に食べさせる。蓮根の持つでんぷん質とシャキシャキの食感変化もいい。
松葉蟹の天ぷら
しかしこの甲羅も馬鹿でかい。お面みたいだ。
やっぱり天ぷらって素材の旨味をギュッと閉じ込めるよね。
松葉蟹の雑炊
色は蟹味噌によるもの。ご飯はこの為に土鍋で炊いた。
ご飯と蟹の身の量の比率は半々。蟹味噌の旨み、出汁が存分に出た究極の雑炊。美味しすぎる…
自家製の金柑シャーベット
流石にシャーベットには蟹は入っておりません。が、過去に蟹味噌のアイスを作った事があって「クドイ」と言われたのでやめたそうだ。ちょっと食べてみたい気もする。
本日のお酒
お会計は一人約75,000円(じか)。もうね、安過ぎます。どう考えてもこれ10万超えでしょ。コスパで言ったら最強だと思います。
なによりコースで他の魚介類の刺身など出すお店もあるがここは徹底して蟹だけで完結してます。多彩な調理法と味変、温度変化で飽きることなく楽しませてくれる。
全く、銀座に凄い店ができた。今季は3月までなので早めに行くべきお店。ごちそうさまでした。
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